ラン光短編集(明るめ)

目が覚めたら辺りは暗く、窓の外は闇色に沈んでいた。

この様子だともう真夜中だろうか。イーグルは小さくため息をついた。長い眠りから覚めてからしばらく経つが、全くもって体のリズムが整わない。昼間に急激な眠気に誘われたかと思えば急に夜中に目が覚める。ジェオとザズがセフィーロに訪れる日やヒカルがセフィーロに遊びに来る日に、一日中眠りこけてしまったりする。起きている時間が短いし不定期なので気晴らしにランティスと話すこともままならず、イーグルはこの現状に辟易していた。
ぼんやりと窓の外を眺めながら、久しぶりに誰かと話しがしたい、誰か来ないかなあ、などと考えていると、トントンとノックの音が小さく響いた。
まさか本当に誰か来るとは思っていない。予想外のノックの音に、驚いて返事をするのを忘れていると、もう一度、控えめなノックの音がした。このノックの仕方には聞き覚えがある。「どうぞ」と返事をすると、予想通り背の高い黒髪の彼が姿を現した。
「起きていたのか?」
その意外そうな口調にイーグルは「ついさっき目が覚めてしまったんですよ」と苦笑してみせた。
ランティスはいつもの正装ではなくくだけたアンダーウェア姿で、仕事帰りにふらりと立ち寄ったというわけでもなさそうだった。かと言って、こんな時間にイーグルの話し相手をするためにわざわざ部屋を訪れるとも思えない。
「ランティスこそ、どうしたんです。こんな時間に」
「いや……」
ランティスは静かに戸を閉めると、ベッド際に置いてある椅子を顎で指した。
「一晩、それを貸してくれ」
「は?」
意図を計りかねて首を傾げるイーグルに構わず、ランティスはさっさとその椅子に座り込んだ。どうやらこの椅子で一晩過ごさせろと言う意味らしく、要するに彼は椅子をベッド代わりに部屋に一泊するつもりらしい。
確かにその椅子はサイズは大きく背もたれは柔らかく、ゆったりと腰掛けるにはもってこいではある。しかし、それでも寝にくいには違いない。
「それは構いませんが……。何で自分の部屋で寝ないんですか?」
イーグルが事情を聞くのも当然だろう。ランティスは一瞬、答えづらそうに視線を泳がせたが、話さないわけにもいかないとでも思ったらしい。
「……ヒカルが俺の部屋で寝ている」
ぼそりと彼は答えてくれた。
「……」
イーグルはその発言をどう解釈すればいいのか逡巡せざるを得なかった。
「えーっと、それはつまり……"そういう"……」
「つまらん誤解をするな」
思わず無粋な聞き方をしてしまったが、ランティスは不快そうに眉を寄せて、即座に否定した。
「俺の部屋で話しているうちにヒカルが寝てしまっただけだ」

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数年前に書いたものなのですが、今は書かないような話だなあと思いながら読み返していました。
カップリングものを書くのは得意じゃない上に、この後どう続けるつもりだったのか覚えてn……(またか)。
どう続けたらいいんですかね……。
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