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※ランティスがピンチ:イーグルぶちギレ、光ちゃん「落ち着いて」


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ジェオからの連絡を受けて、救護室に駆けこむ。ベッドの上では、呼吸器をつけたランティスが眠っている。
ランティスの左目を覆うように包帯が巻き付けられているのを見て、イーグルは心臓がぞくりと脈打つのを感じた。

「目が……」
「眼球は外れてる。失明の恐れはない」

先に救護室に辿り着いていたジェオが短く答えた。

「だけど、重傷に変りねえ。今夜を超えるまで安心はできないそうだ」

そのジェオの声色に怒りが滲んでいるのを感じたが、今のイーグルにそれを気にしている余裕はなかった。

「セフィーロに運べば魔法で何とかなるのかもしれないが、今の状態じゃ、セフィーロまでの移動に耐えられないらしい」

状況を理解し、すぐさま行動を起こさなければならないのに、頭が状況を理解するのを拒んでいた。
ランティスの戦闘能力は、どんなオートザムの兵士よりも高く、あの鍛え抜かれた精神と肉体を思い返せば、彼が意識を失うまでの重傷を負うなどという事態がまるで信じられない。
だれが? なんのために? よりも、「なぜ?」という疑問符が先に立ってしまう。

「最初に目を狙われたらしい。XYレーザー銃だ」

XYレーザー銃は、文字通り「目を焼く」光線を発する銃だ。その危険度の高さに、未だ、製造許可は下りていない。その有害性ゆえに、そもそも「製品化」し取り扱い可能にすることすら難しいのがXYレーザーの特徴だ。しかし、最近、そのコントロールに成功した研究チームがあるという噂は聞いていた。
本当にXYレーザー銃だったなら、眼球にヒットすれば確実に失明していただろう。ヒットしなくても、光線を直視すれば、しばらくは目が使えない状況になっていたに違いない。そうした状況の中で、同行していたヒカルを守り切ったというのだから、やはり、彼は戦士として賞賛するに値するだろう。

しかし、今は、賞賛している場合ではない。彼のあの青い瞳が、細胞を押し潰す有害な光に晒されているところを想像すると、頭が沸騰しそうだった。

「ヒカルはどこに?」
「精密検査も終わって別室で休んでる。ザズは今検査中だが、軽傷で済んでるらしい」

ヒカルとランティスがオートザムにやって来たのはつい、昨日のこと。
今日は、ザズと一緒に大統領府を見学に行く予定だった。しかし、その道すがら、何らかの集団が彼らを「襲った」。
だが、いったい何者なのか。オートザムの「反セフィーロ派」によるものではないかとジェオは推測しているようだが、イーグルも同感だった。今や、オートザムの精神エネルギー枯渇問題はセフィーロなしには解決しえない。しかし、それだけに、セフィーロにオートザムの「主権」を脅かされるのではないかと危惧する人間がいるのも事実だ。
やはり、このような状態で、二人をオートザムに来させるのではなかった。
後悔など意味はないのに、ランティスの血の気のない頬の色を見ていると、どうしようもなく「なぜ、止めなかったのか」と自分を問い詰めてしまう。精神的にも、肉体的にも頑丈なはずの彼だからこそ、ベッドに横たわっている姿はあまりにも痛々しかった。

「今夜を超えるまで安心はできない」「今の状態じゃ、セフィーロまでの移動に耐えられない」

ジェオの言葉が頭の中をぐるぐると回り始める。では、今夜を超えられなかったらどうなるというのだろう。足元から暗闇に吸い込まれそうな不安。イーグルは叫び出したい衝動にかられた。心臓は早く脈打ち、手にはじわりと冷たい汗が浮かぶ。

「ランティスは大丈夫だよ」

その声とともに、イーグルの手に暖かいものが触れた。はっと横を見ると、いつの間にやって来ていたのか、ヒカルがイーグルの手をぎゅっと握りしめていた。

「ランティスだから。大丈夫」

そう言って赤い瞳がじっと、イーグルを見つめる。その瞳の意志は強く、本当に「大丈夫」と信じているようだった。
ヒカルが言うのなら大丈夫だ、きっと大丈夫。
イーグルは、その意志の強さにすがりつくように、ヒカルの手を強く握り返した。

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※※※

あとがき

全部、p.1くらいの長さにするつもりだったんですが、やけに長くなりました……。
ものすごく勢いで書いてるので、後日、加筆修正とか削除とかしてるかもしれません。
4/4ページ
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