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※光ちゃんがピンチ:ランティスちゃんぶちギレ、イーグル「落ち着いて下さい」

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 セフィーロに柱制度の復活を願う者がいるのは知っていた。だから、セフィーロの「一般住民」に彼女を会わせる時は殊更気を付けなければならなかったのだ。
 子どもだからと油断した。

『ねえ、お姉ちゃん』

 無邪気に話しかける子どもに、ヒカルは耳を傾けた。

『ねえ、何でセフィーロから柱を消しちゃったの?』
『え?』

 その子どもがナイフを取り出すのと、ランティスが彼に飛びかかるのはほぼ同時だった。そのナイフがヒカルの頬に届く直前で、ランティスはその腕を捻り上げた。

 怪我こそ負わなかったものの、ヒカルの精神的な衝撃は相当なもので、今、彼女は部屋で休んでおり、側には彼女の親友である異世界の少女二人が寄り添っていた。
 不甲斐なくて仕方がない。
 ヒカルを危険にさらしてしまったこと。
 彼らの言葉をヒカルに聞かせてしまったこと。
「子どもだから」と油断したこと。
 セフィーロに柱制度の復活を願う者がいること。

 すべてが不甲斐ない。

「落ち着いて下さい。あなたが冷静にならないでどうするんです」

 唐突に声が聞こえたかと思うと、知らず、力の入っていた拳を掴まれた。視線を上げると、見慣れた鳶色の瞳がランティスをじっと見つめている。

「このセフィーロで、セフィーロからヒカルを守ることができるのはあなただけなんですよ」

 その言葉に、ランティスは怒りに舵をとられた頭が、すっと冷えていくのを感じた。
 そうだ。今、怒りに我を忘れるのは相手の思う壺だ。

「……すまない」

 イーグルはいつも、ランティスが最も必要とする言葉を、ランティス以上に知っている。

「今は、彼らからヒカルを守る方法を考えましょう」

 ランティスはいつもこの親友の冷静さに助けられている。
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