……っていう夢を見たんだ。2 無口と独白
昔から、結界魔法は苦手だった。魔法剣士であるランティスはどちらかと言えば、単体の相手に対する攻撃を得意としていて、守りの魔法や、広い範囲に魔法力を放出するのは不得手だ。結界を得意としていたのはザガートだ。結界を張るには高い魔法力と、内外の均衡が崩れないように魔法力を加減しながら境界を作り上げる繊細な技術が必要だ。桁外れの魔法力とそれを制御する技術を身に着けていたザガートはどんな場所でも美しい結界を創り上げた。
『沈黙の森には、お前がついて来い』
と言われた時、小さな違和感を覚えたのは、なぜ、ザガートではなく俺が? という疑問が、一瞬、心を過ったからだった。未だ、導師クレフが何か命を下す時、この仕事を任されるならザガートだろうと、予測する癖が抜けていない。ザガートの不在に感情のどこかが慣れていないのは、ランティスが、魔法騎士を襲った、最期の……なりふりかまわない彼の姿を見ていないからだろうか。ランティスの中で、ザガートは穏やかさと厳しさを兼ね備え、他の追随を許さない圧倒的な魔法力を誇る完全無欠な兄のままだ。だから、導師クレフに重要な役割を与えられると、それは本当は自分の役割ではないのではないか、という居心地の悪さを感じてしまう。
「いざという時は、お前が何とかしろ」
「……俺より、結界魔法が得意な魔導師はいるだろう」
導師クレフの言葉に、思わず、弱気な返答をしてしまったのは、そのような居心地の悪さのせいかもしれない。
しかし、ランティスの言葉はクレフにあっという間に一蹴された。
「正直に言えば、今回もお前に任せたいくらいだが、今は、お前には他に頼みたい仕事がある。
次、同じようなことがあったら、私はお前に振るぞ」
「……」
「できないとは言わせない。お前に結界魔法を叩きこむのに、どれだけ苦労したと思っている」
確かに、ランティスは殊、結界魔法については大層覚えが悪かった。魔法にも向き不向きがあるが、結界魔法はランティスには「不向き」だった。そもそも、結界魔法自体の難易度が高いのだ。あの赤い魔導書も、幾度繰り返し読んだか分からない。
しかし、それでも、導師クレフは実に根気よくランティスに結界魔法を教え込んだ。結界魔法は難易度が高いだけに、一度覚えれば他の魔法の技術も飛躍的に上がるし、結界魔法を成功させれば、他の魔導師からの評価も変わって来る。
「……分かった」
ランティスの答えに、クレフは茶化すように言った。
「私もそろそろ引退させてくれ」
「……努力する」
ランティスがそう答えると、導師クレフは楽しそうに笑みを深めた。
***
あとがき
相変わらずの尻切れトンボ感ですみません。
大分前の話になってしまうんですが、『……っていう夢を見たんだ。』みたいな、クレフとランティス(とザガート)の話というリクエストを頂きました。
なので、ちょっとつながってる感じで……。
こんな感じでよろしいでしょうか?? リクエストありがとうございました。
最初は「セフィーロの未来暗いわー」みたいな、ランティスとクレフが二人でどよーんとしてる感じの話になる予定だったんですけど(管理人の趣味ですすみません)、最近、クレフがランティスにお父さん感出してるのいいよなーと思うことが多いので、こうなりました(よく考えたら、どよーんとしてたらリクエストに応えてない……今もどよーんとしてますけど……)。
ランティスは、昔からずっとザガートと比べられてて、自分でも比べる癖がついてて、二部の後のセフィーロでもそれが解消されなくて、それどころか、ザガート本人が居ない分、余計、比べてしまうんだけど、
クレフは、ランティスのそういう葛藤を何となく知ってるから、いや、私は「お前に」ついてきて欲しいんだって言ってくれる。
っていうのを書きたかったです
『沈黙の森には、お前がついて来い』
と言われた時、小さな違和感を覚えたのは、なぜ、ザガートではなく俺が? という疑問が、一瞬、心を過ったからだった。未だ、導師クレフが何か命を下す時、この仕事を任されるならザガートだろうと、予測する癖が抜けていない。ザガートの不在に感情のどこかが慣れていないのは、ランティスが、魔法騎士を襲った、最期の……なりふりかまわない彼の姿を見ていないからだろうか。ランティスの中で、ザガートは穏やかさと厳しさを兼ね備え、他の追随を許さない圧倒的な魔法力を誇る完全無欠な兄のままだ。だから、導師クレフに重要な役割を与えられると、それは本当は自分の役割ではないのではないか、という居心地の悪さを感じてしまう。
「いざという時は、お前が何とかしろ」
「……俺より、結界魔法が得意な魔導師はいるだろう」
導師クレフの言葉に、思わず、弱気な返答をしてしまったのは、そのような居心地の悪さのせいかもしれない。
しかし、ランティスの言葉はクレフにあっという間に一蹴された。
「正直に言えば、今回もお前に任せたいくらいだが、今は、お前には他に頼みたい仕事がある。
次、同じようなことがあったら、私はお前に振るぞ」
「……」
「できないとは言わせない。お前に結界魔法を叩きこむのに、どれだけ苦労したと思っている」
確かに、ランティスは殊、結界魔法については大層覚えが悪かった。魔法にも向き不向きがあるが、結界魔法はランティスには「不向き」だった。そもそも、結界魔法自体の難易度が高いのだ。あの赤い魔導書も、幾度繰り返し読んだか分からない。
しかし、それでも、導師クレフは実に根気よくランティスに結界魔法を教え込んだ。結界魔法は難易度が高いだけに、一度覚えれば他の魔法の技術も飛躍的に上がるし、結界魔法を成功させれば、他の魔導師からの評価も変わって来る。
「……分かった」
ランティスの答えに、クレフは茶化すように言った。
「私もそろそろ引退させてくれ」
「……努力する」
ランティスがそう答えると、導師クレフは楽しそうに笑みを深めた。
***
あとがき
相変わらずの尻切れトンボ感ですみません。
大分前の話になってしまうんですが、『……っていう夢を見たんだ。』みたいな、クレフとランティス(とザガート)の話というリクエストを頂きました。
なので、ちょっとつながってる感じで……。
こんな感じでよろしいでしょうか?? リクエストありがとうございました。
最初は「セフィーロの未来暗いわー」みたいな、ランティスとクレフが二人でどよーんとしてる感じの話になる予定だったんですけど(管理人の趣味ですすみません)、最近、クレフがランティスにお父さん感出してるのいいよなーと思うことが多いので、こうなりました(よく考えたら、どよーんとしてたらリクエストに応えてない……今もどよーんとしてますけど……)。
ランティスは、昔からずっとザガートと比べられてて、自分でも比べる癖がついてて、二部の後のセフィーロでもそれが解消されなくて、それどころか、ザガート本人が居ない分、余計、比べてしまうんだけど、
クレフは、ランティスのそういう葛藤を何となく知ってるから、いや、私は「お前に」ついてきて欲しいんだって言ってくれる。
っていうのを書きたかったです
3/3ページ