メジャー短編 (調整中)
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『と~し~や~(TΔT)』
寿「わっ!」
突然僕の背中にしがみついて来たのは、可愛い後輩の未架
怯えた仔猫のような未架にどうしたのか聞こうとした時、後ろから走ってくる人影が・・・
*かわいい後輩*
榎「逃げることないだろ? 未架」
ささっと寿也の後ろに隠れる未架
はぁ・・、と大体の経緯(いきさつ)が分かった
寿「榎本先輩、いい加減未架にちょっかい出すの止めてくれませんか?」
榎「いいじゃん! かわいい子ほど虐めたくなるもんだろ?」
寿「怯えさせてるだけです・・」
この人は、僕の先輩で一軍のピッチャーだ
そして何かと未架にちょっかいを出してくる
その度に僕のところにこうやって助けを求めて来てくれるんだけどね
それはそれで嬉しいんだけど・・・
寿「で、今日は何されたの?」
『お尻触られた・・・(:_;)』
榎「しょーがねぇだろ? 未架のお尻、小さくて可愛いから触りたくなるんだよ」
寿「先輩・・・それセクハラです(ーー;) 訴えられますよ?」
少し脅し気味で言うと、ちぇっと口を尖がらせて今日のところは引き下がってくれた
それを確認した未架はひょこっと寿也の後ろから出て来た
『ありがとう! 寿也』
寿「未架も未架だよ? ちゃんと警戒してないと! それでなくてもここは狼の巣なんだから!」
少し怒られた未架は、しゅんとなったが、昼ご飯食べに行こうと寿也が言うと、ぱっと明るくなり寿也の腕を引っぱり食堂に向かった
もう少し自覚してもらわなきゃ
みんながキミを見る目を・・・
ヤりたくて仕方ない奴らばかりなんだから
*
榎「な! 未架いいだろ?」
『・・良くないです』
図書室のカウンターに身を乗り出しながら話をしている榎本
未架は図書委員の仕事で放課後、図書室にいた
それを知っている榎本は練習を抜け出して未架に会いに来ていたのだ
榎「俺と付き合ってよVv」
『嫌です(..)』
交際を迫る榎本だが、全く手応えが無い
一度声をかけたら断る女子はいない! というほどのモテっぷりの榎本だが、どうも未架には通用しないらしい
榎「いいじゃん! 今付き合ってる奴いないんだろ?」
『いませんけど・・・』
榎「俺のこと嫌いか?」
『嫌いじゃない・・ですけど』
じゃあ! と言う榎本に、それとこれとは話が別です・・とやはり頑なに拒否をする
榎「なんだよ・・・そんなに佐藤がいいのかよ」
『//なんで寿也が出てくるんですか!?』
少し慌ててうっすらと頬を染めた未架を見て、少々苛立ちを覚え始めた
榎「やっぱりそうかよ」
『・・・??』
一人で納得している榎本に未架は首を傾げる
とにかく先輩とは付き合えません! と図書カードの整理に奥の資料庫に入って行った
後ろから睨みつける視線にも気付かづに・・・
*
榎「じゃぁ、もし俺が佐藤だったら付き合っちゃう?」
『だから、なんで寿也なんですか!?』
榎「だって佐藤のこと好きなんだろ?」
『ぅ・・///』
赤くなる未架を尻目に、榎本は後ろ手で静かに資料庫のドアを閉めた
そして未架の目の前まで来て顔を覗き込んだ
榎「図星」
『////』
恥ずかしさの余り俯いてしまう未架だったが、それが榎本にとってはイエスという答えに聞こえてならなかった
榎「未架・・もう少し自覚しろよ」
『へ・・? きゃっ!』
いきなり腕を掴まれ本棚に押さえつけられた
訳のわからない未架は目を見開いて榎本を見ていた
その間にも榎本の右手は未架の腰から徐々にお尻へと下がって行った
同時に引き寄せ、未架の足の間に自分の足を滑り込ませ密着度が増す
榎「みんな、未架に手ぇ出したくて仕方ないんだよ・・・俺もな」
『・・せん・・ぱ・・・・』
*
寿「あれ?」
一軍の練習場にたまたま来ていた寿也はいつもいるはずの海堂(うち)のエースがいないことに気付いた
千「榎本? さっきまでいたんだがな~・・・
さては、また未架ちゃんにちょっかい出しに行ったかな?」
寿「また?」
“また”と言う言葉に寿也は何やら嫌な胸騒ぎがした
未架が放課後、図書室にいることは寿也はもちろん千石でさえ知っていることだ
それに、いつもはすぐに追い返されて帰ってくるが、今日はなかなか帰ってこない
千「我慢しきれずに襲ってたりしてな(^^)・・・って、おい! 佐藤!」
千石は冗談で言ったつもりだったが、寿也の何かわからない本能的なものが危険だと知らせてくる
嫌な汗を掻きながら寿也は図書室へ走って行った
寿「(未架・・!)」
『やめてください・・』
顔を無理に近づけてくる榎本から必死に逃げていた
と言っても、鍛えられた榎本の腕に抱かれているため顔を背ける程度のささやかな抵抗だった
*それが気に喰わなかったのか榎本は不適に笑う
榎「キスは嫌か・・・かわいい未架に免じてキスだけは勘弁してやるよ」
そういうと、未架の首筋に顔を埋めた
驚いた未架は小さく悲鳴を上げ肩を震わした
榎「あんまり声上げると誰かに聞かれるぜ?」
『・・・』
榎「こんなとこ佐藤にでも見られたら、あいつどう思うだろうなぁ?」
嫌われる
その言葉が未架の頭を過った
嫌われるのだけは絶対嫌だ!
そう思った未架は小さな身体を震わせながら大人しくなった
榎「いい子だ」
ニヤリと笑い未架の耳元で囁き、制服のボタンをはずしていった
*
先「こら佐藤! 廊下を走るな!!」
寿「すみません!」
物凄い勢いで廊下を走っている寿也に、すれ違った先生は拳を上げ注意をした
優等生である寿也だからこそ、注意だけで済んだ
謝りながらも図書室へと走る足は止まることは無かった
寿「はぁ・・はぁっ、未架!!」
ばんっ! と扉が壊れるんじゃないかと言うぐらい乱暴に開けた
だが、図書室はガランとしており人っ子一人いなかった
そこにいるはずの未架でさえ姿は無かった
寿「・・・未架」
キョロキョロと図書室を探すがやはりいない
どこ行ったんだ・・・
嫌な予感がする
物凄く嫌な予感
早く見つけたい
早くその愛らしい姿をこの目に映したい
ふと眼に入ったカウンター後ろにある扉
いつもは開いているはず
閉まっているところなんて僕の記憶の中には一度も無い
寿也はその扉をそっと開けた
・・っ・・・・ふっ・・
暗い部屋の中から聞こえて来たのは、甘味を帯びた声
そんなはずはない
間違いであってほしい・・・
そう願う寿也は恐る恐る声のする方へ近づいて行った
*そして自分の身体から血の気が引いていくのがわかった
榎「ん? なんだ佐藤か」
榎本が口にした名前に未架はビクッと身体を震わせた
頭が真っ白で何も考えられない
寿「な・・に、やってるん・・・ですか・・・」
榎「見たまんまだけど?」
寿也は汗ばむ手をぐっと握りしめ、怒りを抑えるように声を絞り出した
寿「・・離れてください」
榎「え~、これからがいいとこなのに」
と冗談半分な榎本の物言いに、寿也の中に何かがプッツンと切れた
榎本が、さっ続き続きv と、未架に振り返った時だった
自分の体が未架から離れ、宙に浮いた
と思ったら、後ろの壁に激突していた
鈍い痛みの中、何が起こったのか全くわからない榎本は、ばっと顔を上げた
そこは暗がりでよく見えなかったが、今までに見たことのない表情でこちらを睨む寿也がいた
寿「これ以上、未架に触るな」
榎「はっ! 未架はお前のもんでもないだろ?」
寿「俺のです」
と言う寿也の言葉に榎本は笑った
榎「漸く言ったな」
*思いもしない榎本の言葉に寿也は混乱した
押し黙る寿也に榎本は溜め息を吐いた
榎「お前、こうでもしないと未架を自分のもんにななかっただろ? 見ててウゼーんだよ! 誰にも渡したくねぇんなら、さっさと自分のもんにして捕まえとけよ! バーカ」
ポンっと軽く肩を叩かれて、漸く頭が冷えてきた
寿「先輩っ!」
榎「未架の傍にいてやれ・・・お前があんまり遅いんで悪ふざけが過ぎた」
そう言うと榎本は資料庫から出て行った
寿也は心の中でお礼をした
いつまでもぐじぐじしていた自分の頭を叩いてくれたのだ
そしてゆっくりと未架の方に近づいた
改めて目にする未架の姿に怒りが込み上げて来ないと言ったら嘘になる
でも今は未架の傷ついた心を少しでも癒してあげたかった
そっと涙でぐしゃぐしゃになった未架の頬に手を添える
びくっと未架は怯えるように伸ばされた手を拒否した
心がチクッとしたが、そんなことどうでもよかった
寿「未架」
『・・っ・・・寿・・・・也』
僕は出来る限り優しく名前を呼び、再び頬に手を添えた
『ごめ・・なさ・・・・ぃ』
途切れ途切れに謝る未架
何故未架が謝るのか正直わからなかった
*そんな未架を抱き起こしてそっと腕の中に包み込んだ
『だ・・から・・・嫌わ・・な・・・・で』
しゃくり上げながら泣く未架を見て漸くわかった
寿「嫌いになるわけないだろ? それに謝るのは僕の方だよ・・・ごめん、僕がぐずぐずしているせいで未架に怖い思いをさせて」
こんなことなら、何も考えずこの想いに気付いた時に、すぐにキミに伝えるべきだったよ
寿也は未架の頬を両手で包みこみ、上を向かせ視線を絡めた
寿「未架、ずっと僕の傍にいてほしい」
未架は驚いたように涙で視界が揺れる目を大きく開いていた
『わからないよ・・・ちゃんと・・言ってくれな・・・きゃ』
まだ震える唇を懸命に動かし、確かな答えを求めた
寿也は未架の瞳にそっと唇を寄せ涙を拭った
寿「好きだよ」
その一言が私をひどく安心させた
さっきまでの恐怖も不安も何もかも私の心から一掃してくれた
寿也の胸に再び顔を埋めると、そっと抱きしめてくれた
すごく温かかった
大好き
*すると”ありがとう”と言う言葉と同時に強く抱きしめてくれた
もしかしたらお互いに気付いていたのかもしれない・・・互いの気持ちに
気付かないフリをして・・・
でも、どこかもどかしくて・・
あっ
先輩には感謝しなきゃいけない・・・かな?
*END*
*