メジャー短編 (調整中)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
このボールが キミまで届きますように・・・
*キャッチボール*
*焼けるような暑さの中、僕達は中学校最後の夏休みを迎えていた
そして、今日から3日間
僕は吾朗君の家に泊まることになった
吾「たっらいま~」
寿「おじゃまします」
『お帰り~!!寿くんv』
帰ってくるなり、いきなり飛びついて来た天使のような女の子は、本田未架ちゃん
吾朗君の二つ違いの妹だ
吾「未架!普通は兄ちゃんに先にお帰りするだろ?」
『だって私、寿くんが来るの楽しみだったんだもん』
寿「(あぁ・・かわいいなぁ・・・///)」
拗ねる吾朗君を尻目に、ぎゅっと抱きついてくる未架ちゃんの頭を撫でながら幸せに浸ってしまった
すると、中からパタパタと吾朗君のお母さんが出てきた
僕は、3日間お世話になります!と、あいさつをした
吾朗君と未架ちゃんとは幼なじみで、小さい頃から一緒に野球をしていた
未架ちゃんは昔から、短い髪がよく似合う可愛い女の子
そして僕は、そんな未架ちゃんに恋心を抱いている
桃『未架 ついでに、ケーキと紅茶を持ってってちょうだい』
2階へ行こうとする未架ちゃんに、ケーキセットを持たせた
寿くんは砂糖2つだよ!と、僕の好みをよく知ってくれている
できれば、違う好みも知ってほしいけどなぁ
*トントントンと、僕達の前を嬉しそうに進んでいる未架ちゃんが一番乗りで吾朗君の部屋のドアを開けた
勝手に開けるなよ!と言ってはいるものの、妹には甘い吾朗君が怒っているはずもなく、未架ちゃんに続いて僕も吾朗君の部屋に入った
寿「あれ?どうしたの?未架ちゃん」
『ん~~~・・・』
吾「何やってんだよ二人共、早く入れよ・・・・・・・・ゲッ!!」
入ってすぐの所で立ち止まる僕らに、声をかける吾朗君だったけど、部屋の状況を目にして血相を変えた
そこには、「人妻」「女子高生」などなど・・様々なエロ本が散乱していた
その散らかり様は、まさに昨夜お世話になりました!と言わんばかりだった
吾「ぅわあお~~~~~!!!!
未架たんま!! ちょっとたんまな!!!」
と、僕たちを外へ出してドアを勢いよく閉め、何やら片づけているみたい
未架ちゃんには見られたくなかったみたいだけど・・
もう遅いよ・・・吾朗君
本田家の賑やかな夕食も終り、床に着こうとしていた
吾「なぁ、寿」
布団を床に敷きながら、吾朗君の呼びかけに答えた
吾「お前、未架とはどーなってんだ?」
寿「なっ///なんだよ!いきなり・・///」
唐突に問われた質問に思わずたじろってしまった
吾「だって未架のこと好きなんだろ?」
寿「な、なんで知って・・!!」
ポロッとでてしまった本音に口を塞いだが、吾朗君の顔がにんまりしているのを見ると、すでに手遅れみたいだ
寿「はー・・ なんで知ってるの・・・///?」
吾「んなもん、小せー頃から見てりゃわかんだよ」
寿「・・・・///」
僕ってそんなに分かりやすいのかな・・・
吾「未架に言わねぇのか?」
寿「え?」
吾「未架のあの様子からすると、まだ告ってねぇんだろ?」
寿「そんなの僕の勝手だろ/////」
吾「・・・そうだけどよ
オレとしては、どこの馬の骨かわかんねぇ奴よりも、寿があいつの傍にいてくれたら安心なんだよなぁ」
娘を心配する父親みたいだよ・・と言ったら、うるせーって少し照れていた(笑)
でも、なんだか嬉しかった
ありがとう 吾朗君
だけど実際、告白するとなると、なかなか言い出せない・・・
その点、吾朗君はすごいと思う
ちゃんと告白して、彼女がいるんだから
その勇気、少し分けてほしいよ・・・
『う~~ん』
翌日、吾朗君は野球部の練習のため朝からいない
僕のところは、今日明日と練習は休み
と言うわけで、吾朗君のいない間、夏休みの宿題をやっているわけだけど・・・
後ろのベットから、何やら唸り声をあげている未架ちゃんの声がさっきから聞こえる
雑誌を見ているみたいだけど・・何をそんなに唸ることがあるのだろう・・・
『ねぇ、寿くんの部屋にもこういうのってあるの?』
寿「っ////!!」
*ベットにもたれた時に、後ろから雑誌を目の前に出された
僕の目には、裸の女の子があらぬ格好をしているものが映し出された
顔を真っ赤にして、勢いよく雑誌を両手で閉じた
寿「なっ//何見てんのさ////!!」
『寿くんもこういうのやっぱり見るのかなぁ~って』
寿「み、見るわけないだろ//////」
見せられた雑誌は、昨日この部屋に散乱していたアダルト誌だった
どこから掘り出したのか この子は・・・///
『え~~、一冊ぐらいはあるんじゃないの?』
寿「無いよ・・・(ち、近い・・・/////)」
雑誌を取り上げたはいいが、そのまま僕の首に腕を絡ませて密着した状態
肩口から話しかけてくる未架ちゃんからはいい匂いがする
顔が熱い・・・・クラクラする
『やっぱり、こういうの興味ない?』
寿「・・・やっぱりって?」
『あ、お兄ちゃんがね 寿くんに見せてあげても、見るどころか怒られるって言ってたから!』
吾朗君・・・・・君は僕の敵なの?味方なの・・?
『寿くんってもしかして、女の子に興味ないとか?』
え・・? ちょっと待って!
僕はそこまで言ってないよ!
なぜ、そうなる・・
そんなこんなで、吾朗君が帰ってきてしまい誤解(?)を招いたまま話は終わってしまった
まさか、そんな方に発想がいってしまうとは思わなかった
こんなことならウソつくんじゃなかったよ・・・
否
否定しなかった自分が悪い・・・か
*
吾「はぁー・・・、お前それでいいのかよ」
寿「いいわけないだろ?
・・・でも、自分でもどうすればいいのかわからないんだから」
バッティングセンターの帰り道
昨日のことを吾朗君に相談してみた
僕にとっては初恋だから、わからないことだらけだ
吾「素直に言っちまえばいいだろ? じゃねーと伝わんねーしよ!」
寿「それが出来れば、君にこうやって相談したりしないさ
・・・それに、今まで幼なじみとして、兄妹みたいに一緒にいたんだから・・・今更・・」
言えるわけないよ・・
未架ちゃんは僕のこと、お兄ちゃんみたいに今まで接している
きっと、これからもそれは変わらない
吾「・・・なら、兄妹でいいんじゃね?」
寿「・・・え?」
吾「だってお前、自分の気持ち伝える気ないんだろ?
だったら、今まで通りでいいじゃねーか」
他人事のように投げやりで言う吾朗君(確かに他人事だけど・・ι)
そんな彼の言葉に、僕はムッとした
吾「それが出来ないから、相談してるんじゃないか!」
僕は、少し声を荒げて言ってしまった
吾朗君はそんな僕を見もしないで淡々と歩いている
*
吾「・・・もし、スッゲー欲しいもんがあって、あと一つしか残ってなかったら、買っちまうだろ?」
寿「え?・・ま、まぁ」
吾「何で?」
寿「え?」
吾朗君の突拍子のない質問に、僕の頭の上には”?”が飛んでいる
一体、吾朗君は何が言いたいんだろ?
吾「別に次来た時に買えばいいだろ?」
寿「それじゃあ、他の人に買われて無くなっちゃうかもしれないだろ?」
吾「・・それと同じじゃね?」
寿「・・・え?・・同じ・・・・?」
吾朗君の言っていることが、よくわからなかった
吾「未架も、他の奴に獲られてからじゃ遅せーって言ってんだよ!」
寿「!!」
吾「好きだと思った時に言わねぇなら、いつ言うんだよ!」
でも、それでもしフラれたら・・・・そんなこと考えたくもない
吾「不安なのはわかるけどよ、何にもしないんじゃ お前の気持ちも、未架の気持ちもわかんねーままだろ?
今のまんまが嫌なら、自分で何とかしろ! 男なら、ドーンとぶつかってこいよ!」
ニカッと笑う吾朗君の笑顔は、僕に勇気をくれた気がした
*そう僕はきっと、明日買いに行けばいい そう思ってたんだ
欲しいものは、ずっとそこにあるはずがない
未架ちゃんも、ずっとこのままでいられるはずがないんだ
他人になんて 渡したくない
欲しい物は 譲れても
欲しい人は 譲れない・・・譲らない
僕は、学校のグラウンドで練習している彼女のところへ走って行った
そこには、ちょうど練習が終わったらしく片付けをし終わった未架ちゃんがいた
『あ! どうしたの寿くん? 息なんて切らして』
寿「未架ちゃん、今から僕と一球勝負しよう!」
『え? 寿くん急に何言って・・』
寿「僕が勝ったら話を聞いてほしい」
『・・・わかったよ』
清『(あれ?寿君・・・?)』
未架ちゃんはマウンドに上がり、僕はバッターボックスに立った
いたずらに、こんな勝負を切り出したわけじゃない
何かのきっかけが欲しかったんだ
僕達は野球で出会って、野球で共に育ってきたから
カキーーン
野球は キミと僕を繋ぐ強い絆だから!
*
『あ~ぁ、寿くんバッティング上手いんだから、女の子相手にちょっとくらい手加減してくれても・・・寿くん?』
寿「約束・・話し聞いてくれる?」
マウンドにいる未架ちゃんの目の前に立った
少し驚いていた表情をしていたが、にっこりと笑って”なぁに?”と言ってくれた
寿「僕達、ずっと一緒にいて兄妹みたいに仲良かったよね
でも・・・僕はもう、それじゃ嫌なんだ」
『・・・・』
胸の鼓動がやけにうるさい
こんなに緊張したの、初めて試合に出た時以来だ
寿「・・・・好きなんだ!未架ちゃんのことが・・・だから・・・・・//////」
どんどん大きくなる 鼓動
どんどん小さくなる 僕の声
それを打ち破るかのように、彼女は口を開いた
『あ~ぁ・・・なんで言っちゃうかなぁ・・』
一瞬 固まった
心臓が 止まったかと思った
やっぱり キミは僕のこと そういう風に想ってはいなかったんだね
でも もう遅いんだ 言ってしまったから
キミへの想いを・・・・
『・・・地区大会が終わったら、言おうと思っていたのに・・・』
頬を少し膨らまして、プイっとそっぽを向く未架ちゃんの顔はほんのり赤かった
*寿「ぇ・・じゃ、じゃあ・・///」
『うん・・・好きだよ、寿くん////』
ずっとキミに投げていた白いボール
なかなか キミの手の中に届いてはくれない
でも やっと届いたね
キミへのキャッチボール
*END*
-おまけ 吾朗-
清『お前、こうなることわかってたんじゃねーか?』
吾「まぁな!
あいつら、両想いのくせに なんやかんやとうるさかったからな」
清『そっか・・・んじゃ! 私たちは買い物デートでも行きますか!』
吾「デートぉ? お前の買い物は拷問だからな・・ι」
清『なんだとーー』
*おわり*
*
-おまけ 寿-
『ね、一つお願いしてい?』
寿「ん、なに?」
『これからは”未架”って呼んでv』
耳元で囁くキミの声に 僕は我慢できないかも・・・//////
*おわり*
*