好きと嫌いの間
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3年生も卒業した春休みを迎えている青道野球部。
「じゃあ、北川さん。 お願いね」
『はい』
と、高島から受け取ったのは、新入部員の名簿と名前の入った表札。
春休みに入ると、続々と入寮する新入部員がやって来るからだ。 早い奴は、明日にも来るだろう。
各部屋ごとに、予(アラカジ)め割り振られた表札を下げていく。
え~と、次…5号室は…
名簿を確認すると、見覚えのある名前が。
沢村栄純…
あ! あの時の子だ
と、沢村が見学に来た日の事を思い出す。
そして、表札を5号室に引っかけた。
『倉持と同室とは、不運だね~』
笑っていると、ガチャリとタイミング良く、5号室のドアが開いた。
「んあ? 何やってんだ北川」
『おお、倉持
新入部員の表札、引っかけに来たの』
「もうそんな時期か」
倉持は、自分の表札の隣を見た。
「”沢村栄純”
ヒャハ! なんか、バカそうだな」
『まぁ…バカと言えば、バカかな』
「なんだお前、知ってんのか? こいつ」
『ほら、前に東先輩を三振に取った中学生だよ』
「あぁ。 あいつ
いじめがいがありそうだな! ヒャハハハ」
笑う倉持に、こいつが先輩じゃなくて良かった…と思う日向であった。
順番に引っかけていき、ゴールも間近。
『次で最後…ゾノの部屋か』
名簿と表札を確認。
だが、その名前に手が止まる。
『…小湊…春市』
小湊って…
その苗字は、自分の良く知る先輩と同じものだった。
しかし、弟がいるなんて話は聞いたことがない。 同性の可能性もある。
悶々と1人考えていると、タイミングを見計らったかのように現れたこの人。
「どうしたの? 日向ちゃん」
『亮介先輩!?
もしかして、私の心の声を聞きつけて来たんですか?』
「日向ちゃんって、ホントおもしろいよね
ただ、通りかかっただけだよ」
いつもニコニコしている3年生、小湊亮介。
その素顔は、副キャプテンである伊佐敷純よりも、恐れられているとか。
日向が唯一、逆らえない先輩だったりもする。
余談だか、日向は亮介のお気に入りの後輩。 しかし、日向自身その自覚は全くない。
何をしているのか、再び訪ねた亮介。
『亮介先輩って、弟いますか?』
「え?」
『それとも、今年高校生になる従弟がいるとか』
「…妹」
『妹!?』
「…みたいな弟なら、いるよ」
『…』
この人の冗談とか、よくわからない
いつもニコニコしてるから…
そして、いつもからかわれる
『この”小湊春市”って、先輩の弟さんですか?』
「そうだよ
恥ずかしがり屋で、照れ屋なんだ♪」