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夢島へ来て早3ヶ月
当初、共に夢島へ来た新入生の約半分は挫折していった
そして、条件だった一週間を乗り切った夏村の姿も当然、夢島組にあった
第27話 [イケナイ想い]
*太陽がギラギラ照り付ける真昼間
宿舎裏では、食後の運動と言わんばかりにボールを投げ合っている影が二つ
寿「ボール!」
吾「ボールゥ?! おいおい、インハイ一杯のナイスコースだろ!!」
3ヶ月が経ち、トレーニングもよりハードになっているにも関わらず、毎日のこのキャッチボールはある意味2人の息抜きなのかもしれない
『お~い! キャッチボールなら俺も入れてくれv』
寿「わっ!」
吾郎にボールを投げ返した寿也の後ろから抱き着くように飛び付いたのは薄茶色のふわふわ毛の未架
それをぽけっと見ていた吾郎は、寿也の方へ歩み寄った
吾「未架じゃねぇか」
『吾郎、俺もキャッチボールしたい!』
吾「おう! いいよな! 寿・・・・?」
未架に乗っかられている寿也の様子が何やらおかしい
ニヤリと笑う吾郎は寿也の顔を覗き込んだ
吾「あっれ~、どしたのとちくん?? 顔なんか赤くして~v
もしかして、照れてる~? 未架に抱き着かれてv」
寿「・・・何を言っているんだい? 君は」
吾「(・・マジ・・・ι)」
ギロリと睨む寿也の目つきは、これ以上何か言おうものなら後々どんな仕返しをされるかわかったもんじゃない
・・あの顔は、もしかして・・・
いやいや、あいつに限って・・・
それにあいつには夏村がいるんだぜ?
いくらこんなとこに監禁されてるったって・・・・よりによって男に・・・なぁ・・
ないない・・・
と、吾郎があらぬ方向へと妄想を膨らましていると、早くキャッチボールをしよう! と顔を覗き込んでくる未架
吾「あ・・ああ
(た、確かに男にしちゃあ、かわいすぎだけどな・・・)」
*
キャッチボールに満足したのか、未架は上機嫌で部屋に戻って行った
ふーっと、溜息をつき寿也はその場に座り込んだ
それを見た吾郎も隣に腰を下ろした
吾「どうしたんだよ、寿」
寿「・・何がだよ?」
吾「未架と何かあったのか?」
その一言に図星を突かれたのか、寿也は顔を伏せた
すると吾郎の表情が徐々に焦り始めた
あらぬ方向へ足を突っ込もうとしている幼馴染を引き戻そうと必死だった
吾「ま、待て寿! きき、気持ちはよくわかる! 確かにあいつは俺から見てもかわいいとは思う。 だがあいつは男だ! 今ならまだ間に合う!! 戻るんだ! と」
寿「何、馬鹿なこと言ってるんだよ」
予想と違う反応に目を点にする吾郎
内心呆れた寿也は、吾郎君じゃあるまいし・・と付け足した
吾「じゃあ・・」
寿「似てるんだ」
吾「は?」
寿「笑った顔が、すごく似てるんだ・・・夏村に」
あの無邪気に笑った顔を見ると思い出す彼女のこと
特待生で入った彼女は2軍のマネージャーをしているはず
自分がいない間、変な男に言い寄られていないかどうか心配だ
吾「そういやぁ、あいつ今頃何していんだろうな」
寿「・・さぁね」
冷たく言い放つ寿也の表情は沈んでいた
聞くと、ここ3ヶ月、手紙を出してはいるが返事が一度も返って来ないのだ
当たり前なのだが、この夢島に一緒に来ているとは露知らず、悩む寿也であった
寿「そう言えば、見送りもなかったな・・」
吾「はぁ? 何だよそれ! お前ら付き合ってんだろ?!」
寿「何言ってるんだい? 吾郎君
いつ僕と夏村が付き合ったって?」
吾「へ・・ιιι? ぃゃ・・・・・あれ・・ιι?」
ものすごい形相で睨みつけてくる寿也
てっきり2人は付き合っているものだと思い込んでいた吾郎は、予期せぬ寿也の反応にたじたじ
吾「な・・何だよ・・・中学のあん時、告ったんじゃなかったのかよ・・?」
寿「そんな事するわけないだろ」
お互いのわだかまりを取り去るのに精一杯で、そんな事言えるはずもなかったのだ
とその時、寿也が何かに気が付いたように伏せていた顔を上げた
いきなり顔を上げた寿也に吾郎はびっくりし、どうしたのか聞くが、考え込んでいる寿也の耳には届いておらず無視を決め込まれた
そういえば あの時・・
どうして わかったんだろう・・・
*
一日の練習を終え、疲れた表情の部員達がぞくぞくと食堂に入って行く
寿「ねぇ、未架君って何が好き?」
『ん?』
よほどお腹が空いていたのか、がつがつ食べていた未架にそんな事を聞いてみた
何が? と疑問の顔を向ける未架の口にはご飯粒が付いている
クスクスと笑いながら、寿也はそのご飯粒を取り自分の口に運んだ
あまりにもさりげない動作に、周りが気付かないほどだった
考えてみれば男同志。 不自然極まりない光景のはずなのだが・・・
寿也と未架という組み合わせだからこそ、自然と溶け込んだのだろうか
寿「どんな食べ物が好きなのかなって思って」
『そりゃ、断然! 親子丼v』
寿「じゃあ、好きな色は?」
『赤・・かなぁ』
寿「好きな教科は?」
『数学! それから国語だな』
寿也の質問攻めは夕食が終わっても続いた
さすがに変に思った未架は寿也に理由を聞いてみた
寿「あ、ごめんι 未架君の事、何も知らないなって思って」
『ふ~ん』
そんなことか・・と、あまり深く考えなかった
そして寿也から最後の質問をされた
一番好きな事
それを聞いた未架は満面の笑みで答えた
『野球!!』
その笑みを見た寿也は、クスクスと笑い出した
突然の笑いに未架は当然ついて行けず
寿「ごめん。 僕の幼馴染と同じだなって思ったからさ」
『吾郎か?』
寿「ううん、もう一人の幼馴染。 女の子なんだけどね、何よりも野球が大好きな子なんだ!」
『そ・・そうなんだ・・・ι』
自分のことを言っているのだと察した未架は、その話題にあまり触れたくないがために自然と目を逸らす
それを見た寿也はクスっと笑い
寿「僕・・・その子のこと、昔からす・・」
『わっ∑ わーーっ!!』
大声を出した未架の手は寿也の口を塞いでいた
あ・・・ι と思った時にはだいぶ手遅れ
なんとなく、寿也の笑みが意地悪に見えるのは気のせいだろうか・・・
寿「どうしたの?」
『あ~~・・その・・・ιι か・・・そう! 蚊が止まっててιι!!』
こんな時期にいるなんて、さすが山奥! と、苦笑いをしながら歩いて行く未架
その後を、笑いながら寿也も部屋に戻って行った
仲良しな2人の姿
そんな楽しそうなやり取りを、睨むように見ている眼があるとも知らずに
*END*
◇あとがき◆
長いことお待たせいたしました!
いやぁ、今回は吾郎の早とちり! ここが笑えて笑えて・・・
寿君も前回、それっ気はあったり・・それも楽しそうだな・・・とも思いましたが、話が進まなくなりますので却下いたしました☆
さあ、今後はどうなるのでしょうか?
ヒロインは無事に夢島を終えることができるのでしょうか??
それでは、この辺で失礼致します!
*09.1.23