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心に空いた穴が まだ 埋まりきらない
こんな 私の心を 支えてくれるのは・・・
第23話 [愛の言霊]
*進学する高校も無事に決まり、後は卒業を迎えるだけとなった私には、まだ大きな出来事が残されていた
卒業式を目前に今日はやたらと騒がしい。クラスの女子がキャッキャッと噂をしている
そんな中、帰り支度をする私の元に地響きと共に近づいてくる人物が・・・
梓『夏村~!!』
ガバチョッ! と体当たり気味で抱きついてくるのは親友の梓。いつにも増して今日のタックルは強烈である
かなり息を切らしている梓にどうしたのか聞いてみた
梓『正門のところに他校生がいるんだって! 結構イケメンって話だよV』
『あ~・・そっ、よし!帰ろ梓!』
梓『それだけ~! もっとこう・・・リアクションはないのかよぉ~』
梓の話を無視してスタスタと教室を後にする。そんな夏村の行動も梓にとってはかわいく映ってしまう
上履きを履き替え、下駄箱を出た。グラウンドを横切り正門に向かうが、次第に先ほど梓が言っていた噂のイケメンのことであろう・・・女子生徒が何やら騒いでいる
女子『ねぇ、あの人じゃない?』
女子『カッコイイよね~v』
女子『誰か待ってるのかなぁ?』
そんな声が聞こえる中、かわいいモノ好きの梓もすかさずイケメンをロックオン!
目をキラキラさせて口を開き始めた。そんな梓の右から左へ受け流したくなるような話を聞きながら、私の目にもようやくその噂のイケメン男子の姿が見えてきた
・・・あれ?
そう思った時だった。イケメン男子がこちらに気付いたのか私の名前を呼んだ
*噂のイケメン男子は幼なじみである寿だった
予想外の人物に声のトーンが大きくなってしまった・・・
周りが注目する中、寿に近づき話をした
『どうしたの? こんなところで・・・』
寿「ちょっと夏村に話があって・・・・待ってたんだ」
『話し?』
二言三言話していると梓は我慢できなくなったのか、話を割るどころか切って入って来た
梓『夏村の知り合い?! 名前は? どういう関係なの?!! 答えなさい夏村~~(・o・)』
『・・・あ、梓ι』
目を光らせて黒いオーラを放ちながら近づいてくる梓に苦笑いをした
梓に寿を紹介した。いろいろ突っ込まれるんじゃないか・・・と思っていたが返ってきた返答は拍子抜けするほど短かった
そして何かを考えているようにも見えたが・・・
『わざわざ学校に来なくても、家に来てくれれば良かったのに』
寿「・・・決心が鈍っちゃいそうだから・・・・」
『?』
何の決心? と悠長に考えていると隣にいた梓の目が、カッと見開き勢いよく寿を指差した
梓『あーー!! 思い出した!
あの時夏村の胸、鷲掴みにしたラッキースケベ!!!』
し~~ん・・・となった周りの空気が痛かった
*駅前のファーストフード店では、学校帰りの学生やOLたちで賑わっていた
梓『ごめん・・つい出ちった』
気持ちブルーになっている寿に梓は舌を出して謝った
寿は気にしてないから、と言っていたがあの時の寿の顔は羞恥心でいっぱいだったであろう
ガヤガヤした店内でフッと思い出した
『そういえば寿、何か話があったんだよね?』
寿「えっ・・・あ・・うん」
ちらっと梓の方を見る寿の視線に気付いたのかピンっときた梓
梓『(なるほど・・)じゃ、私帰るね!』
と言って立ち上がり店を出ていった
その後、私と寿も店を出た
少し薄暗くなった河原沿いを北風が吹く中、並んで歩いていた
他愛ない話し。でも、どことなく寿からの返事は短い
違うことを考えているみたい
私は寿の前に出て、くるっと寿の方を見て足を止めた
寿は少し不思議そうな顔をしていた
『で。話しって何?』
寿「えっ・・!」
『それが気になってるんでしょ! なに?』
そう言うと寿は少し顔を赤くして俯いた
頭に?を飛ばしながら俯いた寿を覗き込んだ
寿「・・・今まで、幼なじみとしてずっと一緒にいた。それは今も同じだし、これから未来(さき)も変わらない」
『うん・・』
寿「・・そう思ってた」
寿は今までにないくらい真剣な眼差しを向けてきた・・・・私の心臓がドクンッと鳴るぐらいに
*
寿「でも・・・やっぱり、ダメなんだ・・・・・
僕はもう夏村のことを幼なじみとして見れない! 幼なじみだけじゃ嫌なんだ!!」
あまりにも真剣な寿から目が離せない・・・・・同時にある衝動に駆られるような感じがした
なんだろう・・・
聞いちゃいけない気がする・・・
心臓の音がやけに速い
寿「・・・僕は・・ずっと」
・・・・・・言わないで・・
寿「ずっと夏村のことが」
『ダメ!!』
一瞬、時間(とき)が止まった気がした
ハッとした私の両手は寿の口を塞いでいた。まるで、その先の言葉を遮るように
『ぁ・・・ごめっ・・・・ちがうの・・っ』
両手をどけて今の行動の意味を説明しようとした
でも、寿はビックリしているのかショックを受けているのか・・目を見開いて固まっていた
ズキンと何かが刺さった感じがした
『・・・・っ ごめん!!』
その場から逃げだしてしまった
その先の言葉を聞きたくなかった・・ううん、聞いてはいけない気がした
聞いてしまえば何かが・・・・何かが崩れてしまいそうだったから
・・怖い
・・・・・・怖いよ・・寿・・・
*
あの日以来、寿とは会わずに卒業式を迎えてしまった
元気のない私を見かねて梓はいきなりほっぺたをつねくってきた
『ひっひはひひょう~~(痛いよぉ~)』
梓『せっかくの卒業式だって言うのに、何辛気臭い顔してんの!』
『・・・ごめん』
梓『そんなに気になるなら、会いに行けばいいだろ?』
会いに行って何を話せばいいの?
誤れば許してくれる?
前みたいに話してくれる?
梓『事情があるんだろ? 聞けなかった理由が・・』
『・・(コクン)』
梓『なら、それを伝えなきゃ相手だって訳がわかんないよ』
『・・・・』
梓『夏村が傷ついている以上に、相手の方がもっと傷ついていると思うよ』
私以上に・・傷ついてる・・・寿が・・・・・・・私のせいで
・・・なんて馬鹿なんだろう!
『梓! 私・・』
梓『ほら! 行っといで!!』
バシッと梓は背中を叩いてくれた
ありがとう 梓
私は急いで学校を出て走り出した
わかってたの あなたの その先の言葉を・・・
だけど 受け入れるのが 怖かった
あの人を 失いたくなかったから
・・・・だから
*
倉「お~い寿! これから野球部で送別会だとさ! ・・・寿?」
寿「・・えっ! あ、ごめん何?」
倉「はぁー・・お前昨日から変だぞ?」
そんなことないよ! と笑ってはいるが正直、笑いたくもなかった
あの時、遮られた言葉
聞きたくなかったってこと?
僕はショックで、どうやって家に帰ったのかすら覚えていなかった
あれから連絡もない
やっぱり 言わなきゃよかった・・・
『寿!!』
寿「っ!!・・・・・夏村」
寿は驚いた顔をしていた。息を整えながら寿の前まで来た
寿は何も言わない。ただ私の姿を見ているだけ
『この前の・・・ことなんだけど・・・・・』
震える声を必死に抑えて話を切り出した
寿「もう・・いいよ」
『・・!』
寿「・・ごめん・・いきなりあんなこと言って」
『・・・・』
寿「夏村はそんな気なかったのにね」
『・・・・がう』
寿「忘れて」
『・・・・・ちがう』
寿「何も違わないよ・・聞きたくなかったんだろ? ならいいよ、これ以上は僕も惨めになるだけだから」
『違う!!!』
周りの目も気にせずに大声を出した
*これにはさすがに寿も驚いたのか、目を見開いている
私は寿の両腕にしがみつきながら自分の精一杯の気持ちを伝えた
『・・・まだ、心に余裕がないの・・・・寿を受け入れるだけの余裕がなくて・・・
受け入れてしまえば・・消えてしまいそうで』
寿「・・・・」
『お兄ちゃんが私の中から消えてしまいそうで・・不安で・・・怖かった
寿が・・・寿がどんどんお兄ちゃんをかき消していくの! でも私にはまだお兄ちゃんが必要なの!
・・・・だからっ』
ポタポタと落ちる涙が地面を悲しみで濡らしていく
キミの心の支えは まだ あの人なんだね
震えるキミの手は 僕が支えてあげられるのに
心は まだ 僕じゃ支えてあげられない
『・・だから・・・・待ってほしい・・』
寿「えっ?」
『私の中の・・お兄ちゃんが、もう少し小さくなるまで・・・待ってほしい』
僕は まだ あなたに勝てない
少し顔を上げる夏村に、僕は納得をしたように笑いかけた。そして、そっと自分の腕の中にその小さな震える身体を包み込んだ
寿「待つよ」
『・・・!』
寿「今まで待ったんだから・・何時まででも待つよ」
耳元で優しく囁かれた声は、確かに寿のもので夢でもなんでもない
恐怖も不安も一掃してくれる・・私の大好きな声
だけど キミの隣は 僕のものだから
大好きな あなただから
この手を ずっと 離さない
*END*
オマケ→
-おまけ-
倉「あー、お取り込み中悪いんだけどな・・・そろそろ周りを気にしてくれ」
寿「・・・あ/////」
ぱっと寿也は夏村を離し、夏村は涙を拭いた
倉「さっ、送別会に行くぞ! 未架ちゃんもどうだい?」
『えっ! でも・・』
倉「いいからいいから! 後でじっくり寿との関係も聞かせてもらおうかな!!」
寿「なっ//////ちょっ、お前ら!!」
倉「行くぞ! 野郎ども!!」
寿「倉本! 夏村から離れろ~!!」
卒業 おめでとう!!
◆あとがき◇
中学編、無事終了いたしました!!
そのまま告白OKでラブラブでいいじゃん!と思いますが、まだまだ~☆
ここで引っ付けてしまっては、海堂編がつまらないですよ(>_<)ムフフ・・
と、いうわけで次回からいよいよ海堂編です!待ちわびました☆
それでは、ここまでお付き合いして頂きありがとうございました!
海堂編も温かく見守っていただければ幸いです☆
*07.11.25