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最終試験 5人野球のトーナメント
第21話 [運命共同体]
*
吾「ちょっと待て! 5人でまともな試合なんかできるかよ!
しかもトーナメントに優勝したら合格だぁ?! そんなの個人の能力と関係ねぇじゃねーか!!」
最終試験の内容に納得していないのか、吾朗をはじめ他の受験者も口々に不満を漏らし始めた
北「ここまで残った20人にそんなヘタクソや飛びぬけた天才がいるはずがない・・・つまり大差ないってことだ」
『ま、要は勝てばいいのよ! 勝てばその5人は文句なしに海堂の野球部員になれるんだから!』
さっきまで制服だった夏村は、いつの間にか体操服になっていた
チームを区別するためにゼッケンが配られた
寿也と吾朗は幸いにも同じAチーム、これで合格するも落ちるにも一緒、運命共同体ってことだ
試合はじゃんけんにより、A対D・C対Bに決まった
夏村がルールを説明しようとしたときだった
*
「おいおい、まさかあんたが審判をやるんじゃないだろうな?」
『・・・そうだけど?』
「冗談じゃねーよ
俺たちの高校野球がかかってんのに、たかだかマネージャーごときに任せられねぇな」
グラウンドにいた受験者ほとんどが反対した
吾朗は少しムッとした顔をして反論しようとしたが、先に寿也の口が開いた
寿「そんなことはないと思いますよ? だって海堂高校が選んだマネージャー「マネージャーなんか所詮、俺たちの雑用だろうが! そんな素人に合否を決められたくないな!!」
寿「今まで海堂にマネージャーがいなかったのは何故だと思う? 海堂が認めるだけのマネージャーがいなかったから
そして彼女はその海堂に認められた、ここにいるのが何よりの証拠
それに、海堂が普通のマネージャーを採用するわけないだろ?」
『(寿・・)』
そんなやり取りに、仕方なく大貫が口を挟んだ
大「ま、そういう事だ・・どーしてもこいつのジャッジが信用できねぇってんなら、誰が見てもわかるようなホームランでも打つんだな」
Dチームが先攻で試合は始まった
Aチーム
キャッチャー 寿也
ピッチャー 葛西シニア寺門
ファースト・セカンド 浪速シニア三宅
サード・ショート・三遊間 横須賀シニア泉
外野 吾朗
一人ぽつーんと外野にいる吾朗は、淋しい奴以外の何者でもなかった
*一回の表
5人野球の弱点を突かれ、一気に2点を失った
寿也の戦術により、なんとかスリーアウトを取った
吾「ちょっと待てよ! お前らが三者凡退したら終わりじゃねーか!!」
三宅たちは一回表同様、勝手に順番を決めていた
吾朗が噛みつこうとしたが寺門たちの言葉に待てをされた
寺「俺たちの目はそこまで節穴じゃない」
泉「悔しいけど、どっちがプレーヤーとして格が上かわかったつもりだよ!」
三「点差考えたら、まずランナーためなあかんやろ」
Aチーム泉、三宅とアウト、二死に焦った吾朗は寺門から強引にバッターを代ろうとしたが、寿也にそれを止められた
ヘルメットを地面に投げつけて、苛立っている吾朗
吾「わかってんのかよ?! あいつが倒れたら不合格なんだぞ!!」
そんなごたごたを審判の夏村も見ていた
『(たとえ、ここで吾朗と寿が続けてホームランを打ったとしても、結局は負けちゃうだろうね)』
寿「気持はわかるよ、僕だって打席に立って自分で何とかしたいさ」
『(だけどお互いを信じあえないチームは、最後まで勝ち残れやしない)』
吾「信じあうだとォ? 今まで蹴落とし合ってきたこの即席チームでかよ!!」
寿「だからこそだ!!」
『(試合に勝つための当たり前の信頼関係)』
寿「それこそが、この最終テストに勝ち残る鍵だと思う」
*寺門は前に踏み込んでデットボールをもらい、吾朗はバットを短く持って後ろへ繋げた
そのみんなの信頼に答えるように寿也が逆転ホームラン
結果、Aチームの勝利
Cチームの攻撃で始まった決勝戦
マウンドには吾朗の姿
香取、唐沢を三振に取り、あっさりと攻守交代となった
『ストライクアウッ!
(・・・コーナーいっぱいのスライダーか・・・これはそう簡単には打てないよ・・寿、吾朗)』
あっという間に二死
そんな状況にも関わらず、吾朗はつまらないと言って寿也に打席を回した
吾「なんなら、決めちまってもいいんだぜ」
寿「無茶言うなよ」
冗談交じりに言葉を交わしバッターボックスに立った
香取の強烈なスライダーが投げ込まれた
香「う~~んvびびってるくせにそのポーカーフェイス
ますますかーわゆーいv」
男か女かよくわからない発言をする香取に気に入られてしまった寿也・・・間違っても嬉しくはないだろう
香取のスライダーを3球目で捉えた
泉・三「か・・勝った~~!!」
唐「ファ・・ファールだ!!」
*寿也の打ったボールはフェンスの向こう側に飛んでいったが、ポールの際どいところだった
唐沢がすかさずファールと抗議をした
審判である夏村に一斉に視線が集まる
『・・・ファール!』
三「ファールやて?! なんでやねん! ドライブかかって入っとるやんけ!!」
『惜しかったね、ま、疑わしきは罰せずってね! こんな簡単に決勝戦が終わっちゃったらつまんないでしょ?』
寿「・・ったく」
三宅の言った通り、寿也の打ったボールはドライブがかかり入っていた
目のいい夏村が見間違えるはずがない
だが、あえてファールとジャッジしたのは、寿也が香取の球を捉えていたことを知っていたから、次なら完璧に打ち直してくる! そんな自信があったから
寿也は夏村の笑顔からそれを察してやれやれと言ったところ
ホームランもそう簡単に打てるもんじゃないんだぞと、夏村の笑みに微笑み返した
4球目、軽快な音を放ち白いボールは香取の真後ろのフェンスを裕に越えていった
吾「まいったね、完璧に打ち直しやがったぜ・・・」
香「仕方ないね・・」
唐「ああ、二度続けてあそこまで飛ばされちまったらな・・・」
『・・・・ナイスバッティン!』
寿「!」
ベースを回り、ホームベースに戻って来た寿也に誰にも聞こえないぐらいの小さな声で祝福した
寿也は笑顔で応え、吾朗たちの元へ行った
*
北「合格だ」
夏村も編成部の連中を納得させ、野球部マネージャー試験(?)合格
なにはともあれ海堂高校野球部、3人とも無事合格!
・・・のはずだったのだが、最大の誤算が待ち受けていた
・・・・・高校入試
吾「しゃれになんねぇ・・・・・まだ最悪の6次テストが残ってたぜ・・・・・ぅぅ・・」
帰りの電車の中、吾朗にとっての最大の難関を前に、うなだれるしかない吾朗
『大丈夫だよ吾朗! まだ時間もあるし不安なとこがあれば教えてあげるし、私も出来るだけ協力するよ?!』
吾「・・・未架~~!!」
『わ、わっι』
寿「ごっ、吾朗君!!」
夏村の優しさに思わず抱きついてしまった吾朗
そんな吾朗の行動に驚いた寿也は、すぐさま夏村から吾朗を引き剥がした
寿「と、とにかくやるしかないんだよ吾朗君!
これをパスしなきゃ、海堂で野球は出来ないんだ! 僕も手伝う! 頑張って一緒に合格しよう!!」
*と、意気込んでみたものの、吾朗は”あしたのジョー”みたく真っ白になり帰って行った
『吾朗ちゃんと帰れたかなぁ?』
寿「相当ショック受けてたみたいだからね(笑)
それより夏村、どうしてセレクションの進行役なんてやってたの?」
そう聞かれ、今朝の出来事を話した
笑い合いながら、すっかり日の暮れてしまった道を2人で歩いて行った
『・・ぁ・・あのさ寿・・・』
寿「なに?」
『・・・お願いが・・あるんだけど・・・///』
少しほっぺを染め、言いにくそうに俯いた
時々見せるこんな仕草にも、ときめいてしまう寿也はかなりの重症カモ
*闇夜の中、キラキラ輝く星たちの中に一際大きな星が流れ星となってグローブの中に落ちていった
寿「まったく・・・キャッチボールがしたいなら、そう言えば良かったのに
わざわざお願いなんてしなくても・・・///」
『だって、セレクション見てたらやりたくなったんだもん・・・それに、セレクションの後だったし疲れてるのに無理にやらせるわけにはいかないでしょ?』
寿「夏村とのキャッチボールは別腹だよ☆
(ま、どっちにしろ断るわけないけどね)」
『・・・・・・・使い方、間違ってない・・?』
寿「そう?」
たわいない話
キャッチボールなんて今まで数えきれないぐらいしてきたのに、寿とキャッチボールしてるとなんだか懐かしい気持ちになる・・・まるで何年もしていなかったみたいに・・・
『よーし! 寿、座って座って!』
寿「え? いいけど・・」
『いっくよ~』
寿「え! ま、待って夏村!」
バシッとピッチングを披露した夏村の球は、良い音を立て寿也のミットに収まった
『ね! どうどう? さまになってたでしょ!!』
誇らしげに言う夏村に、僕や吾朗君ならホームラン打ってるよ! と、厳しいコメント
プーッと怒る夏村に微笑む
寿「あ、それから今度からは運動できる格好でね」
なんでー、とふて腐れて言う夏村のスカートを照れたような困ったような表情で指をさした
*すると、夏村の顔がどっと赤くなった
『///み・・・・見たの??!////』
寿「・・・見るなって方が無理だよ・・//////」
『っ!/// わかってたんなら、何で教えてくれなかったのよ!!!』
寿「待てって止めたけど、投げたのは夏村だよ?」
赤くなって怒る夏村をいじめるのがよっぽど楽しいのか、寿也の顔が笑い始めた
『もう・・・! ・・だからムッツリって言われてんだよ・・』
寿「なっ! そんなこと誰が言ってるのさ///!!」
独り言のつもりだったが、良い耳をお持ちの寿也君にはハッキリ聞こえたらしい
『べ~、秘密だよ☆』
寿「夏村!!」
しあわせな時間
心地よくて
ずっと埋もれていたい
*END*
*◆あとがき◇
久しぶりの更新になりましたι
セレクション無事終わり、いよいよ高校編に入ります!!
いろいろネタを考えておりますので、楽しみに待っていて下さい☆
でも、あと少し中学編続きます!ちゃんと卒業しないとね☆
それでは!
*07.10.6