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小「うわっ! こんなに受験するの!?」
寿「ざっと、200人は超えてるよ
このうち何人が合格するか分らないけど、競争率はかなり高そうだよ・・・」
吾「フン! 関係ねーよ
何人いようが、受かる奴は受かるんだからよ」
第20話 [セレクション]
*
*今日は、寿也たちがセレクションを受けに行く日・・・のはずなのに、なぜ私は海堂高校(ここ)にいるのだろう・・・?
『おはようございます!』
大「おお、来たか未架」
通された部屋には、大貫以外に4人の教員がいた
どうやら編成部の人たちらしい
夏村を見る視線は、決して温かいものではなかった
北「ほぉ、あなたが大貫や上の方が絶賛するマネージャーですか」
眼鏡をかけた、いかにも偉そーなオヤジ
この人が、野球部編成担当部長の北川って人らしい・・・
北「まぁ、いいでしょう
君を呼んだのは他でもない、今日行われるセレクション、それの進行役を務めてもらうためだ」
『え?』
北「君がこの名門・海堂高校野球部マネージャーたる器かどうか、見極める必要があるのですよ
いわば、君にとっての試験とでも言っておきましょうか」
『・・・・はぁ・・』
いきなりの試験(?)に、少し驚いた夏村だが、たじろぐ様子もなく、他の編成担当者にセレクションの内容と流れを聞いていた
そんな夏村の行動を北川は、黙って見ていた
*ウォームアップ中の受験生たちの耳に、北川の声が響いた
簡単な挨拶を済ませて、本題に入っていった
北「最終的に我が校にセレクションで入学できる人数は、最大5名 みなさんの実力次第では、2名になるか、1名になるか・・・
ちなみに昨年度のセレクションでは、1名も合格しておりません」
吾「・・・おもしれぇ! それぐらい敷居は高くしてくんなきゃ、わざわざ海堂受けに来た甲斐がねーぜ!!」
やる気満々の吾朗とは反対に、不安そうな顔をする小森
吾朗や寿也は、一度スカウトされているという実績がある
一方小森は、他の受験生と同じ位置・・・いや、それ以下かもしれない・・そんな不安があった
そんな時、聞き覚えのある声が聞こえてきた
『では、セレクションを開始します
今回、セレクションの案内、進行を務めさせていただきます、野球部マネージャーの未架夏村です』
吾、寿、小「!!」
北川から女の子の声に変わったことにより、スタートラインに着いた受験生がざわつき出した
海堂の野球部はマネージャーがいないはずだが、マネージャーがいることに驚きの声もあった
中でも、一番驚いていたのはお決まりの3人
吾「なっ、なんで夏村が??」
寿「僕にきかれても・・・」
小「(未架さんが、海堂のマネージャー・・・)」
そんなざわつきも無視して、サクサクと進めていく
一次テスト ランニングサバイバルレース
通過者 153名
二次テスト 基礎体力(腕立て、スクワット合計千回)
通過者 106名
さすがの吾朗や寿也も、この二次テストは堪えたようだ
*三次テストは北川に代わり、昼食を取るように言われた
大「さすがに、上がりもなければ、たじろぎもないな」
『・・・そりゃどーも』
大貫と共に昼食を取る夏村は、褒められたにも関わらず、淡々と食べている
大「・・・どうだ、茂野と佐藤は受かると思うか?」
ちらっと大貫の方を見た
それを私に聞きますか? と返したが、大貫は夏村自身の答えが聞きたいらしい
『さぁ・・・どうですかね』
大「なんだ、やけに冷たいな
お前、あいつらの友達じゃないのか?」
夏村の答えに、大貫は意表を突かれた
『さっきの二次テストでも、辛(かろ)うじて残ったものですし、次の三次テストでは食が細ければアウト
かなりの人数が絞られるんじゃないですか?』
そんな夏村の発言を聞いていた大貫はやはり、意外そうな顔をしている
他人はどうでもいいのか、それとも内心では受かることを願っているのか・・・
夏村の心情を推測する大貫の考えを夏村は、尽(ことごと)く壊していった
『まっ・・どのみち、受かる奴は、心配しなくても受かりますよ!』
そう大貫に言いきった
願っているでもなし、信じているわけでもない
合格するのが当然 そう言わんばかりの言葉だった
大貫の目が見開き、そして笑った
このマネージャーの存在が海堂高校野球部に、どれだけ影響をもたらすのか楽しみでたまらないからだ
三次テスト 仕出し弁当5人前完食
通過者 40名
当然その中には、吾朗・寿也・小森の3人の姿もあった
四次テスト、再び夏村が進行役として進めることに・・・
グラウンドに集まった受験者の前に、初めて姿を見せた夏村
「「「「(・・か、かわいい・・・///)」」」」
野球少年たちのハートを射止めるのに時間はかからなかった
吾「・・あ~ぁ、なんか予想通りの反応だぁね」
小「予想通り?」
吾「夏村を見て、かわいいと思わねぇ奴はほとんどいねぇってこと! なぁ~寿くんv
寿「なっ! なんで僕に振るのさ・・///」
からかう吾朗に、少し怒った風に照れ隠しをする寿也
とは言いつつ、夏村に見惚れていたのは事実であった
小「(・・・もしかして、寿君って未架さんのこと・・・)」
桃色になったグラウンドも、お構いなしに進めていく
*
『四次テストは、あなたたちのテクニックを見させてもらいます
と言っても後天的なものではなく、先天的なもの・・・つまり、運動神経です!』
ルールは、簡単
ハンドボール用のゴールを使い、一対一のPK戦を行う
8mの位置から交互にボールを投げ、ゴールを割るか、セーブするかで勝敗が決まると言うもの
最終テストへは、半分の20名だけとなる
そして組み合わせは公平にするため、抽選で行われる
夏村が引いた番号は・・・
『・・56番』
吾「うおっ! オレじゃん!!」
次に引いたのは7番
一次テストで、吾朗に邪魔をされ逆恨みしている多岐川だった
一回目 お互いにゴール
吾「なぁ、夏村・・・じゃなかった、マネージャーさんよ
このゲーム、キーパーはどこで守ってもいいのか?」
『ええ、フリースローする相手に触れさえしなければ、どこで守ろうと自由よ』
吾「オッケー」
そう言うと、吾朗はゴールと相手のちょうど真ん中ぐらいに立った
『・・・へぇ~・・(こういう時の吾朗のひらめきって、すごいんだよね・・・普段はおバカなのに・・)』
周りが驚く中、吾朗の考えを理解しているのはこのグラウンド内に果たして何人いるのかな?
コースのほとんど取れない多岐川は、唯一のコースであるまた抜きを試みたが、敢え無くセーブされた
前に出れば出るほど狙えるコースはなくなる、そう理解した多岐川は吾朗の眼に前に立った
吾「お前、バカだろ?」
多「は?」
吾朗にバカと言われちゃ、おしまいだろう・・・
吾朗の投げたボールは、フワリと奇麗な弧を描き、多岐川の後ろにあるゴールにパスっと入っていった
56番通過、7番失格
そう告げられた多岐川は納得できず、夏村に抗議した
多「ちょ、ちょっと待ってくれ!!
こんなの運動神経じゃないでしょ!? もっかいやらせてくれよ!!」
『あんた、あの56番(ゴロー)よりもバカね・・・
あれぐらい、少し考えればわかることでしょ! それに高校野球に、もう一回なんてないのよ!』
吾「56番(オレ)よりもって何だよ・・・」
多「ぐ~~・・あんたじゃ話になんねぇ! 部長さん!!」
北「失せろ 海堂にバカはいらん」
多「ガーーーーーーーン・・・・」
ガックリと肩を落として多岐川はグラウンドを去っていった
可哀そうだが、自分が受かるためには誰かを蹴落とさなければいけない・・・これが受験戦争なのだから
*夏村は次の組み合わせを読み上げた
『55番』
寿「は、はい!」
相手の番号を引いた夏村は読み上げるまで少し間を空けた
寿也は少し不思議に思った
『・・・・・57番』
吾、寿「!!!」
小「(う・・うそ!)」
夏村の引き当てた番号は、小森だった
神様の運命のいたずらか・・・
当然、3人とも驚きを隠せない
・・寿と小森君が当たるなんて・・・なんで、こういう時のくじ運っていいのかな・・
表向きは平然としている夏村だが、内心では3人同様
自分のくじ運を恨むほどだ
寿「す、すみません・・・できれば組み合わせを変えてもらえませんか・・・?」
寿也は、仮にも進行役である夏村に対して丁寧に頼んだ
友達同士では、雑念が入ってしまい真剣勝負が出来ない
それに、3人揃って合格するという意気込みが破れてしまうからだ
『・・・いいわ
やる気がないのなら帰ってもらって結構よ』
寿「なっ!!」
次の抽選を行おうとする夏村に寿也が猛反発した
寿「ちょっと待って! 誰もそんなこと言ってないだろ!!
僕らはただ・・」
『あなた、何か勘違いしてない?』
寿「・・え?」
寿也に向けた夏村の瞳は、決して冷たいものではなかった
真剣さを持った瞳だ
『あなたはここへ何をしに来たの? 海堂の野球部に入るために来たんでしょ?
友達だからって真剣勝負のできない奴がこの先、一軍のレギュラー争いに勝てると思っているわけ!? 自分が上に上がるには、誰かを蹴落とさなければいけない
そんな根性もない奴は、海堂のユニホームを着る資格なんてない!!』
寿、小「・・・・」
北「ほう・・・」
大「へへ・・」
一軍レギュラー争いは、壮絶なもの
それを夏村は知っている、そして寿也の優しさも、他人を裏切ることが出来ないことも知っている
知っているからこそ、夏村は敢えて厳しい言葉をかざした
寿也の優しさは、人を助ける慈悲にもなるが、反対に自分の足枷にもなってしまう
だからこそ、その言葉を通して寿に気付いてもらいたい
「自分のために 戦って」
夏村の言葉に吾朗も同感した
海堂の正捕手は一人、同じポジションの寿也と小森は遅かれ早かれ、どちらかを蹴落とさなければいけない
*
吾「だったら、正々堂々ここで決着つけるしかねーよ!!」
夏村の思いが伝わったのか、寿也と小森は顔を見合せて、お互い意を決した
寿「やります! やらせて下さい!!」
その寿也の姿勢を見て安心したのか、自然と笑みがこぼれた
寿也と小森 一対一の真剣勝負は、寿也に軍配が上がった
通過はしたものの、寿也の表情は曇っていた
他人を蹴落としていい気はしない
ましてやそれが、友達であればなおさらだ
吾「落ちるなよ 寿・・」
寿「!」
吾「オレたちは、絶対受かろうぜ! 絶対にな!!」
寿「・・・ああ!」
残すは、最終テスト
そこには、厄介な奴らが立ちはだかっていようとは、今の吾朗たちは思いもしなかった
*END*
◇あとがき◆
お疲れ様でした~!
セレクション突入です☆
今回は、何と言ってもヒロインが寿くんに一喝したところ! お互いのことを知っているからこそ、時には厳しくできるんですよね(^_^)
心が通じ合ってるカンジvV
それでは、この辺で失礼します☆
*07.9.11