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稚『ん? なんだ夏村、今日はずいぶんと遅いんだな?』
『始業式だからね!
じゃぁ、行ってきまーす』
今日から、ほとんどの学校は新学期を迎えるであろう
夏村は、中学三年生になり、中学最後の一年をスタートしようとしていた
『・・・あれ?』
立ち止まった夏村は、郵便ポストに入っていた一通のはがきに目がいった
宛名を見ると夏村宛だった
思い当たる人物がないわけではないが、誰からだろう? と裏を見てみた
夏村は目を丸くして、そのはがきをまじまじと見た
そして、少し嬉しそうに笑った
『・・・帰って来たんだ・・・・・吾朗くん』
第11話 [再会]
*
梓『夏村ー!!』
『あっ! 梓・・ぅおっ』
梓『今年は同じクラスだよー!!(>_<)』
勢いよく私に抱きついて来たのは、中学で知り合った親友の梓
彼女のスキンシップは、時折過激である・・・
梓『今年の一年生は、かわいい子いるかなぁ~V』
『梓・・・』
梓は、かわいいものが大好き
一番のお気に入りは、もちろん夏村である
梓『あとは、今年は何人あんたにフラれるかだね~』
『・・・何よ、それ』
梓『だって~、一年の時は11人、二年の時は16人・・・今年は20人突破かな~(^^♪』
親友をからかうのが、いかにも楽しそうなこいつを憎めない夏村である
始業式も終り、新しい一年がそれぞれ始まった
*
吾「あ”~~くっそ!!あの先公、一時間も説教しやがって~~~
たかが、テストで一桁とっただけだろーが」
中間テストで赤点のオンパレードだった吾朗は、担任にこっぴどく怒られた
吾「さて、これで心おきなく練習ができるぜ!」
急いでグラウンドへ向う吾朗
グラウンドでは、小森たちがすでに練習を開始していた
出遅れたといわんばかりに急ぐ吾朗の目に、ノッカーをしているであろう小森が目に入った
だが、バットを持ってボールを打っているのは、小森でもなく、はたまた山根でもなかった
不思議そうに、吾朗はノッカーをしている奴をよく見た
髪を高い位置で縛り、セーラー服にスカート・・・
どこからどう見ても、女の子の格好である
かといって、清水とは似も似つかない姿
『こらーーー! ダッシュが遅い!!
打った瞬間に、ある程度予測しなさい!!』
牟「・・・・無理だっつーの」
ノックを受けていた牟田は、ボソッと愚痴をこぼした
あんなノックをあいつが捕れてたら、俺はこんなに苦労はしねぇよ・・と、牟田を完璧バカにしている吾朗である
そんなことよりも、吾朗が気になっているのは、さっきからノッカーをしている奴だ
それを見る限りでは、かなり上手い奴に違いない
女にしておくにはもったいないぐらいだ
半分感心している吾朗の頭に、昔バッティングの上手かった女の子のことが浮かんだ
だんだんと、その姿がノッカーをしている子と重なってきた
吾「・・・もしかして」
そう思ったとき、ようやくその子は吾朗がいることに気がついた
『・・ごろう・・くん? ・・・吾朗くん!!』
そいつは、あん時と同じ笑顔で、俺に抱きついてきた
リトルの時と同じ笑顔で
吾「夏村・・/// マジで夏村か?!」
『えへへ(*^_^*)』
吾「なんでここに・・つか、何でお前がノックなんてしてんだよ」
小「僕がお願いしたんだよ
未架さんが野球上手いの知ってるからね」
横浜リトルとの試合で、夏村の実力は、小森もうらやむほどだった
*
吾「ふ~ん、腕は鈍ってねぇってことか
・・・ところで、お前今どこの中学なんだ?」
夏村の制服を見て、ここじゃねえよなぁ、と何やら考えている様子
『海堂付属中学の野球部マネージャーよ!』
吾「へっ、安心したぜ、野球やめてなくてな! でも、お前ならソフトに行った方がよくねえか?」
幼なじみの清水はソフトをやっているため、そんな事を聞いてみた
『私は、野球が好きなの!
ソフトも同じようなものだけど、野球がいいの』
吾「そっか・・・
んじゃ、久々に一打席打ってくか?」
手加減してやるぜ! と、笑う吾朗に冗談交じりに睨みつけた
『やめとく・・スカートじゃ集中できないしね』
吾「・・残念
まっ、俺も気になって集中できそうにもねぇからな」
『・・・アホ』
吾朗の腹にパンチをくらわしたが、清水ほど威力がないため、あまり効き目がない様子
帰り道
四年会ってない分、存分に話をした
福岡リトルのこと
右肩を故障したこと
自転車で横浜まで走ってきたこと・・・
話題が尽きることはなかった
吾「おっ、そうだ! 寿の奴はどうしてんだ?」
何げなく聞いたその一言に、一瞬ビクついた
吾「あいつなら、シニアのどこかで正捕手でもやってんだろうな~
連絡とか取ってんだろ?」
『うん! 相変わらずだよ! キャッチャーで四番』
吾「へっ、寿なら当然といやぁ、当然だけどな!
シニアか・・じゃあ、寿也とは、中学で試合はできねぇってことか・・・」
何もなかったかのように振る舞う夏村に、吾朗が気付くはずもなかった
あれから二年
寿也から、連絡が来ることはなかった
きっと
寿にとって、私と過ごした時間は、もう過去の想い出になっているんだ
今の自分には必要のない過去の人物・・・
それが悔しいのか、悲しいのか・・淋しいのか、憎らしいのか・・・
どれもあてはまるようで、違う気がする
私は、寿に会ったら
一体、どんな顔をするんだろう・・
寿は・・・・?
*
梓『・・夏村・・・夏村ってば!』
『!・・な、何?』
梓『何じゃないよ! せっかく部活休みなんだから、久々に梅田屋に行かないかって聞いてるの!』
『あ、うん! 行く行く!』
昨日、吾朗と久しぶりに会った
いろんな話をして・・・寿の話も少しした
ただそれだけなのに・・・あいつのことが頭から離れない
考えたくない・・・
『じゃあ、今日は久々に私が奢ってあげよう!』
梓『おっ! 太っ腹だね夏村』
『ただし! 私より先に梅田屋に着いたらね~!』
梓『あ! ずるいぞ夏村~!!』
そう言って、梓よりも先に走り出した
後ろを向き、走りながら、いつも私をからかっている梓をからかうのは、以外に楽しかった
梓『夏村! 前! 前!!』
『え?』
ドンッ
後ろを向いて走っていたため、曲がり角から出てきた人に気付かず、そのままぶつかってしまた
コケてもおかしくないぐらい派手にぶつかったのに、コケた様子がない
「大丈夫?」
あれ? と思っている夏村の後ろから、自分の身を案じてくれる声がした
どうやら、ぶつかった人が夏村を支えてくれたらしい
だが、夏村の顔は凍りついていた
倉「おい、大丈夫か? 寿」
連れの倉本が、その人物の名前を呼ぶ
聞き覚えのある声・・・
聞き慣れた名前・・・
夏村は、恐る恐る後ろを振り返った
*
予想は的中した
夏村とぶつかったのは
二年前、何も言わずにいなくなった
佐藤寿也だった
夏村の表情は一変し、寿也を睨みつけた
『・・・手・・どけて・・・・・痛いんだけど』
寿「え・・・あ//!」
ぶつかった時に、とっさに支えた寿也の手は、夏村の右胸を掴んでいた
ごめんっ、と夏村を急いで離すと、もう一度寿也を睨みつけ、そのまま走って行ってしまった
梓『え? ちょっと! ・・・あっ、ス、スミマセン』
あとから来た梓が、夏村の代わりに謝っていった
梓『ちょっと待ってよ! 夏村!』
梓が口にした名前に、寿也の目が見開いた
寿「・・夏村・・・?」
それは、小さい頃
大好きだった女の子の名前と同じだった
倉「礼ぐらい言ってけっての!
でも寿~、どさくさにまぎれてあの子の胸掴むなんて、ラッキーだなv ・・・どうした?」
倉本の話をまるっきり聞いていない寿也が、突然しゃがみ込み、何かを拾った
倉「あの子が落としてったのか?」
寿「・・・・・・」
寿也が拾ったのは定期券の入ったパスケースだった
中を見てみると、一枚の写真が入っていた
それを見た寿也は、口の端を少し上げ微笑んだ
*
その頃、全速力で走っていた夏村は、ようやく止まった
・・・・まさか・・・あんなところで会うなんて・・・
あの辺りは、友ノ浦の近くだから、今まで通らないようにしてたのに・・・
どうして、今日に限って・・・・
・・気付かれた・・・かな・・
しばらく止まっていると、梓が追いついた
梓『お~~い!
・・どうしたのよ急に・・夏村らしくない』
いつも礼儀正しい夏村
謝りもせずに走っていくなんて、今まで無かったことだ
思わず梓は聞いてしまった
『・・・ごっめーん!
だって、ぶつかったとはいえ、あの人胸掴むんだよ~! ビックリしたよ』
梓『まぁ、ぶつかったこっちも悪いけど・・・
あのラッキースケベめ!
夏村のかわいい胸を鷲掴みするなんて~~~~!!!!』
まさか、あんなんで気付くはずないよ・・・ね
誰かが心の奥にある扉を叩いている
誰?
いくらノックしても、その扉は開けられない・・・開けてはいけない
だから どうか納まって・・・
*
家に帰った寿也は、電気もつけずにベットに仰向けに寝転がった
おもむろに、ポケットから出した定期券
先ほどぶつかった女の子が、落としていったものだ
それを目の前にかざし、中の写真を見た
寿「・・・・」
頬が少し染まり、照れ隠しのように写真で目を覆った
ぎゅっと胸辺りのシャツを掴む
高鳴る鼓動を抑えるように
寿「・・・やっと・・・・会えた」
歯車が回りだす・・・
あの時から
止まってしまっていた歯車が
この日を境に
ゆっくりと動き出してく
その事に、寿も吾朗くんも・・そして私も
気付いてはいなかった
*END*
◇あとがき◆
始まりました!中学編!!
最初の絡みをどうしようかと、かなり考えました!
吾朗とは甘口風に、寿也とは辛口風に!が再会のテーマだったのでそうなってたらいいな・・・
今回の見どころは、ぶつかったところ!!
実は、ガンダムSEEDのシンとステラが、ぶつかったシーンを少し拝借いたしました(>_<)
あんなかんじで想像してください(←変態)
それでは、この辺で!中学編もよろしくお願いします☆
*07.11.8修正