想い出のカケラ (調整中)
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まだ日が昇りかけている早朝
雀が朝を知らせるかのように鳴いている
そんな中、寿也は自然と目が覚めた…朝の5時、起きるにはまだ早い時間帯だ
ふと目をやると、皆寝ている中、布団一組だけがキレイにたたまれていた
寿「(あれ? 夏村ちゃんもう起きてるのかな…?)」
布団の持ち主は夏村だった
第7話 [幼馴染み]
*朝早くに目が覚めてしまい二度寝するには目が覚め過ぎていた
と、いうわけで朝の散歩に出掛けた
『んー…っ気持ちいい~♪』
伸びをしながら、軽い足取りで木々の中を歩いていった
そんな中、ポン…ポン…とそよ風に紛れて聞こえてくる音
『なんだろ…?』
その音がする方へ行ってみると、吾郎が壁を相手にキャッチボールをしていた
吾郎は夏村に気付く様子が無く
吾「おっし! ラストー!」
パシィィ
『ストラーイク! バッターアウト!!』
吾「Σ! 未架、夏村ちゃん!!」
ビックリして振り返る吾郎に、ニッコリと笑顔で言った
吾郎は合宿に来たせいで妙に興奮してしまい、こんな朝方に目が覚めてしまったらしい…
吾「夏村ちゃんは守備、どこやってんの?」
『セカンドだよ!
吾郎君はピッチャーで4番だったよね☆ いいなぁ』
吾「夏村ちゃんバッティング上手いじゃん!
4番なんてチョロイだろ?」
『ウチには真島さんがいるから、4番を奪うのは難しいよ』
と、他愛ない話をしながら合宿所裏にある湖沿いの道を並んであるいた
朝早いせいか、少し霧がかっていた
*
吾「そうそう知ってる?
この湖に蛍がいるんだってさ」
『ホントに!
あたし蛍見た事ないんだ』
吾「じゃあ見に行く? まだ光ってるの見れると思うよ!」
そういうと吾郎は、湖の周りにある斜面を一気に下って行った
吾「…ぁ! いっぱいいるよ!
夏村ちゃんも来てみなよ☆」
『ほ、本当に…?!』
今すぐ駆け寄って見たいが、斜面が思ったよりキツく朝の霧で辺りが見にくい
雑草も露で濡れた状態だった
このままじゃ、見られないよ…
吾「夏村ちゃ~ん、ゆっくりでいいから降りてきなよ!」
『でも、下濡れてるし…滑りそうだよ』
吾「大丈夫だって!
もし滑っても、俺が下でキャッチしてやるから」
そう言って、吾郎は手を差し伸べてくれた
夏村は慎重に斜面を下り始めた
『…』
吾「もうちょっと…オレの手に掴まって」
もう少しで吾郎の手を掴むと思った瞬間
『きゃっ!』
案の定、足を滑らせてしまった
そのまま吾郎にダイビング
吾「…だ、大丈夫?」
『な…んとか…ビックリしたぁ』
吾郎の腕の中にスッポリと入ってしまった夏村
それをガッシリと吾郎の腕が包み込んでいる
すると、ほのかに甘い匂いが吾郎の鼻を掠めた
…なんか
夏村ちゃんって、いい匂いだな……///
『ありがとう吾郎くん、もう大丈夫だよ?』
吾「ぇ…あ、うん///」
腕の力を緩めると、少し離れた夏村と目があった
瞬間、吾郎の心臓がドキンッと高鳴った
*急いで吾郎が離れるので、夏村は不思議そうな顔をした
吾「そ、それより、ほら! 蛍…蛍いっぱいいるよ!!」
はぐらかすように言った言葉に、夏村の頭は蛍一色になった
ほっと胸を撫で下ろす吾郎…
吾「(な…なんだ?
なんでオレ、こんなにドキドキしてんだ…?////)」
顔を赤らめて夏村を見ている吾郎を、木の影から一人の少年が見ていた
寿「……」
――
―――
―――――
樫「よし! 午前の練習はここまで!
午後は13時からだ!」
朝とはうって変わって、お天道様がギラギラ降り注ぐ真っ昼間
汗だくになりながら、水道に群がる子供達
昼食をとり、各々休憩をした
木陰で寝転がりながら一休みしていた夏村に、寿也が近づいた
ちょっとビックリした様子で寿也を見た
『どうしたの?』
寿「僕も一緒に休んでいいかな?」
『(あれ…気のせいかな…?)』
いつもと少し様子が違うと思いつつ、起き上がっていつもの明るい笑顔に戻った
『…それでね、今朝蛍を見に行ったんだ!』
寿「…吾郎くんと?」
『え…うん、よくわかったね?』
そういうと寿也からは何も返事が返ってこなかった…
何気に目に入った寿也の顔は、いつもの優しい表情とは違って、ムスッとした感じだった
何か寿也を怒らせるような事をしてしまったんじゃないかと、一人不安を募らせる夏村
*すると寿也が沈黙を破るかのように呟いた
寿「…好きなの?」
『え…?』
突然の質問にあまり聞き取れなかったのか聞き返した
寿「吾郎くんの事好きなの?!」
聞き返す夏村に、少し怒ったような、切羽詰まったような表情をして夏村を見つめた
『う、…うん、好き……だよ』
その一言にショックを隠しきれない寿也
夏村はそんな寿也を見て、何故そんな哀しい顔をするのかわからなかった
『寿くん…どうしたの?大丈…』
寿「そっか…わかった」
心配で寿也の頬に触ろうとした夏村の手を制止して、そのまま立ち去ってしまった
『寿……くん…?』
嫌な予感がした…
何かが崩れていく…そんな感覚だった
「…キミにとって僕は…ただの幼馴染みでしかないんだね…」
*END*
◇あとがき◆
なんか…学園ものになってきたぁvV
いい感じだ~(v_v)吾郎とヒロインの絡みで、寿くんが嫉妬する展開…今後の書きごたえがある!!
二人には、もっとヒロインに惹かれてほしいなぁVv
では、この辺で☆
*07.11.4修正