想い出のカケラ (調整中)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
小さい頃の夢をたまに見るんだ
吾朗君どうしてるかなぁ・・・
第4話 [久しぶり]
*横浜リトルに入って数ヶ月が経とうとしていた
入団した寿也たちも上級生に交じって練習できるようにまで成長していた
<キィイン>
軽い金属音と共に白いボールがキレイな弧を描き、フェンスに当たった
樫「いい当たりだ未架!」
『はい!』
周りの子が驚いている中、夏村だけは何やら悔しそうな顔
『あぁ、もう少しでフェンス越えだったのに~…』
バットを両手で握り絞め…とても悔しそうだ
寿「でもすごいよ夏村ちゃんは!
4年生の中でも一番バッティングが上手いもん☆」
真「そうふて腐れるな…
女であそこまで飛ばせるのはたいしたもんだぜ」
寿「真島さん」
横から今のバッティングを見ていた真島が夏村を褒めるが、それでも納得する様子のない夏村を見て
真「しゃあねー、特別に俺が見てやるよ
構えてみろ」
夏村は嬉しそうに構えた
*フォームを直すために背後に回り、後ろからグリップや肘を直していった
はたから見れば、真島が夏村を抱きしめているようにも見える
勿論、横にいた寿也なんかは目を丸くして驚きを隠せないでいた
寿「ま、真島さん!」
真「ん?」
樫「次のバッター!!」
寿也が二人に割って入ろうとしたとき、タイミング悪く監督の声が飛んできた
真「お前の番だぞ」
寿「え…ぁ、はい」
真「…」
寿也は二人を気にしつつも、練習をしないわけにもいかず、しぶしぶバッターボックスへ走って行った
『ありがとうございました☆
真島くんって教えるの上手なんだね』
真「俺が教えてもらったことを言ってるだけだ。 たいした事じゃねぇよ
……それよりお前、佐藤とここに入ったときから仲いいよな?」
『寿くんとは小さい頃から一緒にキャッチボールとかしてたから』
真「幼なじみってやつか」
『はいo(^-^)o』
真「(…なるほどな)」
寿也はバッターボックスに立ち、いい当たりをして見せた
樫「よーし、ナイスバッティングだ佐藤! その調子で頑張れ」
寿「はい!」
力をつけてきた寿也にとって監督に褒められることは、かなり嬉しいことだ
「とっ…寿く--ん!!」
今日の練習が終わろうとしたとき、グラウンドの外からとても聞き慣れた懐かしい声が聞こえた
寿「え…」
吾「オレ、オレ! オレだよ!
本田茂治の息子、本田吾郎だよー!!」
寿「ご……、吾郎くん!!」
声の主は、4年前に隣町に引っ越して行った吾郎だった
*二人ともビックリしながら、グラウンドのベンチに座って、お互いの事をいろいろ話していた
吾「そういえば寿くん、夏村ちゃんはどうしたの?
まさか、やめた…なんて……」
心配そうな顔で寿也を見たが、寿也はクスクスと笑いながら
寿「夏村ちゃんも横浜リトルにいるよ! ほら、あそこに」
指差した先には、上級生と楽しそうに話す夏村の姿があった
寿「おーい、夏村ちゃーん!!」
呼ばれて振り返る夏村の目には、寿也と一人の男の子の姿が移った
寿「吾郎くんだよ!
小さい頃、一緒にキャッチボールしてた本田吾郎くんだよー!!」
『吾…郎……くん』
吾郎が大きく手を降って挨拶をした
『吾郎くん! 久しぶり~!!(>_<)』
久しぶりの再会で嬉しさのあまり、吾郎に抱き着いてしまった夏村
『ご、ごめん; 嬉しくてつい…』
吾「あ…いや、夏村ちゃんも元気そうで///」
『うん!』
吾「(かぁー//////)」
顔を赤くした吾郎には気付かずに寿也に、そんなことしたら吾郎くんもビックリするよ! と、ちょっと怒られた
樫「オイ佐藤、未架
その子、あの本田選手の息子というのは本当か?」
吾「おじさん、おとさんのこと覚えてるの!?」
樫本監督は吾郎が本田茂治選手の息子だと知り、2、3球投げてみろと促した
*しぶしぶグラウンドに立った吾郎から放たれた球は、目を疑うほどの速球だった
キャッチャーをした寿也は、あまりの速球に言葉を失っていた。
それは夏村も同じだった
そこへ、樫本監督が吾郎に近づいて行き、来週から横浜リトルのユニホームを着るように言った
吾郎は何を言っているのか理解が出来ず、何が? という顔をしていた
寿「すごいよ吾郎くん!!
たった一球投げただけで入団テスト受かったんだよ!!」
吾「悪いけどオレ、そんな気全然無いんだよね~」
『どうして?』
吾「三船ドルフィンズは、オレが友達誘って立て直したんだ
裏切るなんて出来ないだろ」
そう言って帰ろうとした吾郎に夏村が思いも寄らない事を口にした
『…本田茂治選手もリトルの時、このチームにいたって言っても?』
吾「え…」
ガタン、ガタンと帰りの電車に揺られながら、大きなバックと小さな身体が二つずつ並んでいた
二人の間に会話はなかった
客室には人も少なく電車の音だけが聞こえてくる
夏村は顔を伏したまま…寿也は心配そうに何度も夏村の様子を伺った…
すると夏村が口を開き始めた
『…あたし、嫌な子…』
寿「え…?」
深刻そうな夏村の話を、寿也は静かに聞いた
*
『あたし…昔みたいに、また三人で一緒に野球がやりたかっただけなの…
なのに吾郎くんの事、何も考えてなかった……
どうしてあんな…お父さんの事、言っちゃったんだろ…』
寿「…でも自分のお父さんが着ていたユニホームを着たいって思うのは普通だよ!
お父さんを尊敬している吾郎くんなら絶対!
それで、吾郎くんに嫌な事を思い出させちゃったかもしれないけど…大丈夫だよ」
『……吾郎くんが横浜リトルに来たら…三船リトルにいる友達を裏切るって事だよね?』
寿「それは…吾郎くんが決めることだから…」
『もし…もし逆だったらって思ったら…』
寿「……!」
夏村ちゃんの言葉が僕の胸に刺さったみたいだった
正直そこまで考えてなかった…いや、思いもしなかった…
『あたし達を裏切って、違うチームに行ってしまったらって……』
寿「…夏村ちゃん」
夏村をなだめようとしたとき、寿也の肩に夏村の頭がトンっと乗ってきた
『あたし、嫌だよ…
そんなことになったら…いやだよ』
寿「……うん、そうだね」
少しだけ触れる手から、夏村ちゃんの悲しみと優しさが伝わってくる
吾郎くんがチームに来てくれればそれでいいと僕は思っていたから、余計に伝わってくる…
かける言葉が見つからなくて、夏村ちゃんの髪を優しく撫でてあげることしかできなかった…
*
次の日、寿くんの所へ吾郎くんから、横浜リトルには行かないと、言いに来てくれた…
ちょっと残念だけど、内心ホッとした…ホントに良かった
吾「なぁ、寿くん
夏村ちゃんって、そんなにオレと一緒に居たかったのかな~」
寿「そりゃあ…幼なじみだし」
吾「そっかぁ…
夏村ちゃん、スッゲーかわいくなってたしなぁ(v_v) エヘエヘvV」
寿「吾郎くん!!」
吾「じ、冗談だよ…やだな寿くん………って、なんで寿くんがそんなに怒るわけ?」
寿「っ///…夏村ちゃんの優しさを折るような事しないでって言ってるんだよ!」
吾「ふ~ん」
寿「な…なに?」
吾「ま、そゆことにしとくよ♪
そんじゃ、今度はグラウンドでね!」
寿「うん」
待ってるよ…!!
*END*
◆あとがき◇
はぁ~~……やっと書けたよ(@_@)
この友達以上、恋人未満っていう微妙なカ・ン・ケ・イvV
まだそこまでいってないか…
とにかく、ヒロインと寿くんはそんな微妙な関係を書いていきたい!ニヤケながら…(←変態)
吾郎くんとは、友達というより、兄弟に似た関係ですね☆
ではでは、この辺で!
ありがとうございました(>_<)
*07.11.4修正