想い出のカケラ (調整中)
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吾「ぼく、本田吾郎!よろしくね未架ちゃんo(^-^)o」
第2話 [友達]
*雲一つない空
ほんのり髪を撫でる風がとても心地良い…
青空に白い雲が上がったり下がったり…
吾「寿くん、いったよ~!」
寿「オーライ! …っよ」
吾郎から山なりに大きく上がったボールを、寿也がナイスキャッチ☆
寿「夏村ちゃ~ん、いくよ!!」
寿也から離れたボールは、夏村のグローブにきれいに収まった
寿也が夏村を見つけた日から、三人は毎日のように公園で野球をしていた
吾郎が投げて、寿也が捕って、夏村が打つ…毎日、泥だらけになりながら夢中で遊んでいた。
空がオレンジ色のグラデーションで染まる頃、少し低い声が聞こえた
「おーい吾郎」
吾「あっ、おとさん!!」
吾郎が嬉しそうに駆け寄る人物は、プロ野球のオーシャンズで大活躍している本田茂治、吾郎のお父さんだった
「いつまでやってんだ?
夢中になるのもいいけど、暗くなる前に帰らなきゃダメだぞ!」
そう言って、また明日ね! と、二人に手をふって帰っていった
吾郎は今日みたいに遅くまで遊んでいると、お父さんかお母さん(桃子)が迎えに来てくれる。
*残った二人の小さな身体に、少し冷たくなった風が吹き付けた
もうすぐ冬だという知らせかな?
寿「…僕たちも帰ろっか」
『…うん』
吾郎が先に帰ってしまう時は、わりかし家が近かった寿也と、暗くて危ない道をいつも手を繋いで一緒に帰っていた
『…! お兄ちゃん!!』
突然誰かを呼ぶ夏村の声に、数十メートル先にいた人物の歩みを止めさせた。
その人物は、横浜リトルのユニホームを着た夏村と五つ離れた兄、未架佑だった。
兄の元へ走っていってしまった夏村
寿也と繋がれた手は、いとも簡単に寿也から離れていった
それが、なんだか寿也の心を寂しくさせる
佑「夏村ダメだぞ!
こんな遅くまで遊んでいたら、稚紗さん心配するだろ?」
『はぁ~い…』
少しだけしゅんっとなった夏村の頭を撫でて、帰るぞと、優しく手を引いた
それを見ていた寿也
自分には迎えに来てくれる家族はいない…
あの時、一人でキャッチボールをしていた夏村を見て、自分に似たものを感じていた
でも、夏村も吾郎と同じで暖かい家族がいる…そう思ったら、無償に寂しくてやるせない気持ちでいっぱいだった
*夏村は、待って! と言って後ろにいる寿也の手を引いた
『何してるの寿くん! 帰ろo(^-^)o』
寿「え…あ…でも
せっかくお兄さんが迎えに来てくれたのに……僕は一人で帰れるからいいよ」
そう言って立ち止まったが
『夏村は寿くんと一緒に帰りたいの!』
にこっと笑って再び走り出した
…友達がいるって、こんなにも暖かい気持ちになれるんだ
吾郎くんも夏村ちゃんも僕の大事な友達だ!
楽しくて幸せな日々が、ずっと続くと思っていた…
突然の別れは、前触れもなくやってきた…。
*あれから数ヶ月が経ち、スポーツ新聞に吾郎の父・本田茂治の死去の記事が大々的に載っていた。
吾「寿くん、夏村ちゃん……ぼくね…あした、隣町の三船町ってとこに引っ越すんだ」
寿「じゃあ…もう吾郎くんとキャッチボールできないの!?」
『三人で野球できなくなっちゃうの!?』
吾「わかんない…
でもぼく、おとさんが死んじゃったから……もう野球したり観たりしたくないんだ……」
寿「……」
『吾郎くん…』
吾「ぼくは野球やめちゃうかもしれないけど…二人はずっと野球続けてよ……じゃぁね」
あんなにも大好きだった野球をやめちゃうなんて…そんなの…
『…っ、ダメだよ!!
吾郎くん野球やめたらダメだよ!!
夏村も寿くんも吾郎くんと野球するのが大好きなんだから!!』
寿「そうだよ! 会えなくなっても、僕は吾郎くんに教わった野球はやめない!
だから、吾郎くんも…おとさんに会えなくなっても…おとさんに教わった野球をやめちゃ、絶対ダメだよ!!」
吾「寿くん…夏村ちゃん……」
幼い心には とても辛い出来事
でも この青空の下で野球をやっていれば いつか・・・
いつかまた、きっと
一緒に野球やろうね!!
*END*
*07.11.4修正