共に過ごし


共に高めあった





無邪気で　幼かった





あの頃











　第六話
　　「兄弟子」




＊


ナ「邪魔しに来たのは俺たちだァ！！！」



我慢しきれなかったナツは、壊れた壁の上に立ち、炎を吐きながら思いきり叫んだ

もちろん、敵味方関係なしに全員がナツに注目した



シェ『あの紋章！！　妖精の尻尾(ﾌｪｱﾘｰﾃｲﾙ)ですわ！！』

ユ「なるほど・・・・村の奴らがギルドに助けを求めたか」

零「何をしている。　とっとと村を消してこい」



その一言に驚きの声を上げるナツとルーシィ

奴らにとっては、邪魔をする者は勿論、それを企てたものも全て敵とみなしているのだ

そんな中、グレイは一人走り出し、造形魔法を繰り出した

それと同時に、零帝も同じ氷の造形魔法を出した



グ「リオン・・・てめぇ、自分が何やっているかわかってんのか？」



そう言ったグレイを不思議そうに見やる
仮面を被った男零帝は、昔ウルを同じ師に持つ弟子、グレイの兄弟子であった

久々の再開だというのに、喜びの声は無かった


リオンは、村を消すよう３人になおも命令した
そんな事はさせまいと、ナツが止めに入るがリオンの魔法に体を凍らされてしまう

その間にグレイにより、ハッピーはルーシィを連れ、村へと向かう事になった

氷の雪だるま状態になったナツは、更に吠えるが、グレイの蹴りにより遺跡から転がり落ちる事となる



『・・・グレイ』

グ「ツバサ、ナツの奴を頼む」



グレイの見せる瞳
怒りと　悲しみに満ちた　瞳

それと　決意も・・



『・・・・わかった』



グレイの気持ちも組み、ツバサはナツの後を追いかけるため、ナツの転がり落ちた坂を走って行った

後ろで背中を守ってくれているグレイを知りつつ・・





　――――――





坂を下り平地になると、何やら氷の塊が目に入る
だが、見えるのは空に向かって足が伸びていることだけ



『・・・・ナツ』



すると頭を燃やしながらひっくり返る氷玉
ツバサそっちのけで、グレイの悪態を吐くナツ



ナ「しっかし火で溶けねぇってのは、どうなってんだ！！　この氷！！！」

『生きてた・・・』

ナ「お！　ツバサ！！　丁度いい、これ何とかしてくれ！！」

『・・無理』



きっぱり断るツバサに、ぎゃーすか叫ぶナツだが、村に急がないと、と完全無視



ナ「待て。　オレはあのクソ氷のところへ行く」

『・・・』

ナ「あいつを一発殴らにゃ気が済まねえ」



と言って、走りづらそうに走って行った



『ナツ』

ナ「止めんなよ、ツバサ」

『・・・グレイ、こっち』



と、ナツと反対方向を指さす
こんな時でも方向音痴のナツであった





＊
走りづらそうなナツと、漸く転げ落ちたスタート地点へ戻ってきた

そこには、さっきまでいたリオンや儀式、目にしたものは何一つ無かった
ただ、血を流して倒れているグレイがいるだけだった



『グレイ！』



駆け寄る２人
安否を確認すると、かなりの怪我だが生きてはいるようだ



ナ「だせえな・・・・ハデにやられやがって」



そう言いながらも、気絶したグレイを担ぐ

村へ急ごうと走り出したナツは再び足を止め、ぐるりと反転した



ナ「どうしたんだ？　ツバサ」

『・・・ナツ、先に行ってて』



と、呟くツバサは遠くの空をじっと見つめていた

首を傾げるナツだが、急げよと、一言残し村へ急いで行った


一人残ったツバサは、なおも空を見上げていた
依頼人のいる村の上空を



「おまえは行かなくていいのか？」



そんな声に後ろを振り向くと、青髪に大きな刺青を顔に施した男が立っていた



『・・・ジークレイン』

ジ「覚えてくれていたとは、光栄だな」

『・・・・』



彼に向き直り、警戒するように鋭く睨みつけた



ジ「そう怖い顔をするなよ、可愛い顔が台無しだぜ？」

『思念体が・・・何の用？』

ジ「用ってほどじゃないが・・・まぁ、顔を見にきただけだ」



ニッコリと笑いながらツバサに近づいていく
目の前に立ち、頬に触れた手は、フェイスラインをなぞる様に指を滑らせていく



ジ「あの怪物、手懐ければ面白いと思わないか？」

『・・・』

ジ「阻止したければ、今この島であの怪物を殺す事だな
それでなくても、ここで仕留めとかねえと、あいつ等も死ぬことに」



言う前に、ジークレインの思念体を右手で勢い良く払い除けた

瞬間、思念体は消え、払った右手の向こう側には何かがぶつかった様に壁が崩れ落ちた



『言われなくても・・・アレは、私が壊す』





誰も死なせはしない・・・









・ＥＮＤ・
10.4.6