哀しみの蒼に (調整中)
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心に咲く花は 素直には育ってはくれない
それが 青春なのだから
・猫祭り・
*いつもの生徒会室には、いつもの生徒会メンバー
そして、いつもニコニコのスザクの姿もあった
リ「なんだよスザク! 今日はえらくご機嫌だねぇ」
机を部屋の隅に片付けながら、リヴァルがスザクの顔を覗き込む
ス「別にいつもと同じだけど?」
リ「いいや、何かいつにも増して顔が笑ってる
な~にか嬉しいコトでもあったんだろ~?」
にんまりと笑うリヴァルに嘘のつけない正直者のスザクは、言葉を濁した
嬉しいコト
確かに今のスザクには思い当たる節があった
ミ『もしかして、色恋物ぉ~v?』
ス「いや・・そういうんじゃ」
話を聞き付けたミレイとシャーリーに少し慌てるスザク
シャ『もしかして、シリルと何かあったの?』
ス「へっ!?」
ミ『さぁ、スザク君! 洗いざらい吐いちゃった方が身のためよv』
詰め寄る2人に無意識に後退りするスザク
だが、特別隠しているわけではなかった為、すんなりとミレイ達に話した
ス「その・・・名前、読んでくれたんだ」
リ「・・・へ? 名前?」
ス「うん。 初めてシリルが名前呼んでくれて・・・すごく嬉しくて」
物凄く嬉しそうな表情をするスザクに皆、同情の眼差しを向ける
そんなことで、ここまで喜べるなんて、今までどれだけシリルが冷たかったのかが伺える
ミ『一途ね~ スザク君』
はぁ~・・と、意味ありげな溜息を付くミレイに、俺も一途だけどなぁ・・・ と、さりげにアピールするリヴァルだったが無視を決め込まれたのは言うまでもない
*
*
暫くしてから生徒会室に入ってきたのは、きょとんとした表情で扉の前に立っているシリル
ミ『おはようにゃんv』
『おはよう・・・ございます・・』
生徒会の異様な光景に理解が出来ないでいるシリル
その光景とは、全員が猫衣装に包まれていたのだ
と、いうのも今日はアーサーの歓迎会
そのためメンバーはみんな猫に扮しているのだ
ミレイが簡単に説明すると、ある物を取り出した
ミ『シリルは似合うと思うわよv 猫っぽいし
私が特別に選んでおいてあげたから!』
『・・・・』
ぱっと取り出された衣装にシリルは回れ右をした
『今日は顔を出しに来ただけだから』
そそくさと生徒会室を出て行こうとするシリルに、ミレイが逃すまいと声を上げた
ミ『スザク君! 捕獲しなさい!!』
ス「えっΣ! は、はい!」
その声と共にスザクは、シリルの脇の下から手を回し、捕獲した
当然、ばたばたと暴れるシリル
『なっ! 離せ!! スザク!』
ス「ごめん、会長命令だからf^_^;」
『お前っ、私は仮にもお前の上司だぞ!』
ス「うん、でもここ学校だし」
ああ言えば、こう言うスザクに苛々が募る
そうこうしているうちに、生徒会室に連れ戻されてしまった
待ち構えていたのは、ニヤリと怪しく笑うミレイ
ミ『観念なさ~いシリル
じゃないと、私が着替え手伝っちゃうわよんv』
言いながらネクタイを外していく
突然、脱がし始めるミレイにリヴァルは勿論、後ろでシリルを捕まえているスザクも自然と目がいっていまう
今のこの場を凌ぐには、どうやら着替えるという選択肢しかないらしい
シリルは観念したように溜息を吐いた
『わかりました・・・着替えます』
ミ『あら、意外に潔いのね
まぁ、もうちょっと抵抗してくれても良かったのにv ね~、スザク君』
ス「あ、はい」
『はいぃ?』
ス「あ・・いや、僕は///」
『・・・・・どうでもいいが、そろそろ離してくれないか? いい加減、腕が痛い』
ス「ごめん」
下から睨み上げるシリルに、慌てて捕まえていた腕を緩めた
ささっと目の前に衣装を出してくる笑顔のミレイ
さて、どうしたものか・・・
目を細め、その衣装を見てから受け取った
シリルの口角が上がっていたことは誰も知らない
『じゃあ会長、着替え手伝ってもらえますか?』
その表情は、モラトリアムを楽しむミレイの表情を一瞬にして消し去っていった
*
生徒会室の隣にあるほんの5、6畳ほどの部屋にぱたりと閉まる扉の音
ミ『で、何かしら?』
『・・・・』
ミ『私に、わざわざ着替えを手伝わせる為に呼んだわけじゃ無いんでしょ?』
そう、会長を呼んだのはそんなことのためじゃない
この衣装を着られない理由を・・
するとシリルはおもむろに上着を脱ぎ出した
目を丸くして驚いているミレイに漸く口を開いた
『会長、私は別にそれが着たくないわけじゃない』
ミ『え?』
『着られない理由がある』
すっと出したシリルの右肩を目にしたミレイは驚きのあまり口を両手で覆った
シリルの右肩には、普通の17才の少女には有りえないモノがあった
それは、今のこの世界の情勢、そしてシリルが今在るべき場所はここではない。 それを物語るものだった
ミレイは言葉が出なかった
いや、どんな言葉をかければ良いのか分からなかったのだ
大変だったね
頑張ったね
辛かったでしょ
そんな労(ねぎら)いの言葉など何の役にも立たない
そんなミレイの心情を汲み取ったのかシリルは苦笑いを浮かべた
『こんなもの、シャーリーやニーナに見せるわけにはいかないだろ?』
ミ『・・・・シリル』
漸く発した言葉の続きをシリルは待たなかった
そんなもの今のミレイの表情を見れば分かる
次に紡がれる言葉ぐらい
『謝ることはない』
ミ『!!』
『だいたいこんなモノ、ミレイ会長や皆が知らないのは当たり前だから』
自分の事を知ってもらおうとは思わない
理解してもらおうとは思わない
ただ、今まで歩いてきた道が違っただけ
皆が学校で勉学に励んでいた時、私は軍で戦いを学んでいた
只、それだけだ
だが、そんなものを突然突き付けるには、あまりにもここが平和過ぎる
何も言えないミレイは顔を俯かせてしまった
そんなミレイに心の中で謝罪した
『だからこの衣装、アレンジしていただけますか?』
ミ『?!!』
『これが隠れるように・・・』
だから私はあなたを選んだ
ミ『・・・・わかったわ、任せといて!』
こんな嫌な役に・・・
*
*
ミ『おっ待たせー!!』
リ『遅いですよ~! 会長ぉ~』
ミ『少し手直しとかしてたからさ!』
『会長、この耳も付けなきゃいけないのか?』
ひょっこり出てきたシリルに男性陣は赤面
シャーリーは可愛いーv と叫びながら抱き着いた
きゃっきゃっと騒ぐ周りにうんざりな表情をするシリル
ミ『見よ! この軍人とは思えぬスタイル!』
『私は見世物ではない』
そう抗議するもミレイの開いた口が塞がるわけが無い
ふー、と溜息を付いていると後ろからがっしりと抱き着かれた
ミ『シリルってさ~』
酔っ払いのオヤジの如く、絡んでくるミレイを少しばかり睨んでやる
すると、むぎゅっと胸を鷲掴みされた
ミ『ちょうどいい大きさよねぇ~、この胸・・おまけに柔らかいし~v』
『な゙っΣ!! 何をする!』
シャ『シリル、お気の毒に・・・』
リ「俺・・鼻血出そう・・・///」
ス「///」
相手が会長なだけに投げ飛ばすわけにもいかない
誰かに・・
『こら・・そこ! 見てないで助けろ!! ・・・スザク!!』
名前を呼ばれたことで、ぼーっとしていたスザクは我に返った
そして直ぐさま一歩踏み出した
ル「会長、あまりシリルで遊ばないでください」
いつの間にいたのか、ミレイの悪戯からシリルを救出したのはルルーシュだった
た・・助かった・・・
溜息と一緒に肩の力も抜けたシリル
だが、そんな意味深な2人を放っておくミレイではない
ミ『なぁに、ルルーシュ今の? まるで”俺のシリルに触るな!”みたいなセリフは??』
ル『はぁ?』
ルルーシュに抱きしめられるのなんてシリルにとってはなんてことのない行動
だが、2人が血縁関係であることを知らない周りにとっては、怪しく見られて当然だろう
リ「そうだよルルーシュ! ぶっちゃけ2人ってどういう関係なんだよ!!」
双子です
そう言ってしまえばさぞや簡単に話しは終わるのだろうな
そんな他人事のように思っているシリルは只今ルルーシュの腕の中
好奇心に溢れたミレイとリヴァル
複雑そうな表情をするシャーリーとスザク
ルルーシュは深い溜息を一つついた
ル「シリルは転校して来て日も浅い。 会長のモラトリアムは、彼女にはまだ刺激が強すぎますよ」
ミ『そうかしら?』
ル「そうですよ」
そういうルルーシュに顔を向けた
すると、ミレイの方を向いていたアメジストの瞳がこちらを向いた
目がかち合った時、ピクっと肩が揺れた
ル「お前も簡単にこんな衣装、着るもんじゃない」
ミ『ひどいわね・・』
『そうか? 似合っていると思うが・・きっとルルーシュも似合うぞ?』
##IMGR31##
猫の手でルルーシュのほっぺをプニプニするシリル
そんなシリルになぜだか萌えているのが約2匹
面白くなさそうに2人を見つめる青猫と桃猫
2匹の考えている事は恐らく同じだろう
2人って・・・
この後、ルルーシュがあっさり捕まったのは言うまでもない
・END・
*08.11.30