哀しみの蒼に (調整中)
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平和の中で
また あなたの隣にいられたら
そう 願っていた
・仮面の下・
*
皇歴 2009年
ブリタニア本国で、テロリストによるテロ事件が起きた
狙われたのは、マリアンヌ王妃と思われた
*
『えっ?』
シャ「あの2人は、エリア11に行くことになった」
『エリア11・・・? どうして・・・』
シャ「王位継承権を返上したということは、皇族の名を捨てるということ。 そんな者をここに留まらせておくわけにはいかぬのだ」
皇帝の間を側近が止めるのも聞かず、飛び出して行った
どうして 2人だけなの?
わたしは?
わたしも 連れてってくれるんだよね?
一緒だよね・・?
飛行場では、今まさに飛び立とうとするジェット機
そこへ走り込んでくるシリル
兵士達は皆、突然のことに反応が一歩遅れ、シリルを止めることが出来なかった
『まってーー!! まだっ・・・まだ、わたしがっ』
すると腕が急に引かれ、シリルはそれ以上前へ進むことが出来なかった
振り返ったシリルの瞳には、金髪に紫色の瞳をしたシュナイゼルが映っていた
シュ「いけないよ、シリル」
『っ・・・離して! わたしも一緒にっ・・・ルル達と一緒に!』
懸命にシュナイゼルの手を振り解こうとするが、子供の力ではどうすることも出来ない
ジェット機はシリルの視界から確実に消えようとしていた
どうして 2人だけなの?
何で わたしだけなの?
どんなに泣き叫んでも、視界から消えたジェット機が戻ってくることは無かった
伸ばされた手が空を切るように、一人だけ残されたシリルには、言いようのないほどの絶望と孤独感が襲った
それは まるで翼を折られた天使
二度と 自由に大空へと羽ばたくことができないように
*
*
・・・
・・シリル
ふと眼を覚ますと、花の香りと共に大空が広がっていた
そして目に入ったピンク色
ユ『シリル』
『・・・ユフィ・・』
起き上ったシリルは昔、母・マリアンヌが作った庭園にいることを思い出した
だからなのか・・・あの時の夢を見るなんて・・
ユ『どうかなさいましたか? 悲しいお顔をしています』
『・・・あぁ・・嫌な夢を見ただけだから』
大丈夫と言いユフィの手を頬から外した
エリア11へ戻るということでユフィが呼びに来てくれたらしい
あの時、私一人だけブリタニアに残された
理由は大体見当がつく
私が当時、すでにナイトメアのデヴァイサーだったからだ
後々、使えるとでも思っていたのだろう
戦力としても、政治の道具としても・・・
*
エリア11では、大規模なテロリスト掃討作戦が行われようとしていた
そのため総督であるコーネリアは、機体を預けている特派の格納庫に来ていた
そこでロイドは、特にランスロットをそれはもう自慢げに説明をした
ロ「第七世代のナイトメアフレームでして、その能力は通常の」
コ『そのランスロット、パイロットはイレブンだと聞いたが』
ロ「はい・・名誉ブリタニア人です。 しかし・・・」
コ『一等兵から准尉に特進させた。 それだけで満足せよ!
ナンバーズなどに頼らずとも、私は勝ってみせる』
ランスロット自体の性能は申し分ない
が、問題はデヴァイサーの方だ
コーネリアは、ブリタニア人とイレブンをはっきりと格差をつけている
よって、イレブン=ナンバーズの力を借りるのは、自身のプライドが許さないのだろう
コーネリアはそのまま格納庫を出て行った
はぁー・・と深いため息をつくロイドだった
*
*
エリア11に到着したシリルは特派へ向かうため、ユフィに一礼をして別れようとした
ユ『シリル・・・学校の方はどうですか?』
『・・・以外に楽しめそうだ』
ユ『本トですか!? それは良かった・・・・あの・・・スザクは・・?』
眉を下げ、心配そうに聞くユフィ。
スザクのあんな姿を見たら、ユフィが責任を感じてしまうことぐらいシリルは安易に想像できた
『あいつも上手くやってる。 とても楽しそうだ』
ユフィが安心したのを確かめ、ユフィの笑顔と別れた
*
ス「すみません・・宿題まで見てもらって」
特派では、テロリストの掃討作戦の出撃準備をしていた
セ『本当言うとね、ちょっと心配してたの
フランクな学校とは言っても、馴染めないんじゃないかって』
スザクも初めは覚悟していた
だが、思いもよらない友達との再会でなんとか馴染めるようになった
嫌がらせがあの程度で済んでいるのは、生徒会やルルーシュのおかげでもあった
セ『その友達、大事にしなさい。 2人の友情が続けば、その再会は偶然じゃなく必然になるの』
ス「はい! あ、セシルさん、ここなんですけど・・」
シューっと軽い機械音と共に特派の出入口である扉が開いた
セシルの声にスザクも扉に目を向けた
セ『お帰りなさい、シリルちゃん』
『あ・・ぁぁ・・』
ス「・・・・」
明らかに疲れているシリルだったが、スザクはシリルと目を合わすことなく再びノートに視線を落とした
シリルは察してそれを気にせず、ヴァイスの調整をするためモニターの前に座った
するとセシルは、何か思いついたかのように、ぱっと明るくなった
セ『そうだわ! スザク君、シリルちゃんに宿題見てもらったらどうかしら? 私なんかよりもわかるだろうし! ねっ! シリルちゃん!』
『断る』
モニターから目を離さずに即答するシリル
それをきょとんとした目で見るセシルと、ムッとした顔のスザク
『宿題は、自分でやるものだ』
セ『それはそうだけど・・』
ス「僕も、シリルに見てもらうぐらいなら自力でやります」
『だ、そうだ』
何やら重たい雰囲気に、セシルは2人を交互に見やった
一体何がどうやって、こうなったのか皆目見当もつかない
だが、この雰囲気は良くないということだけはわかったセシルは、あるモノを取り出した
*
セ『ね! スザク君、これ食べてみて!』
と、セシルが取り出したのは、ごく普通のおにぎり
スザクはお礼を言い、一つおにぎりを手に取った
セ『シリルちゃんもどお?』
『遠慮しておく。 セシルの味付けは斬新だからな』
ス「ぁん・・・ん? ・・・・ジャム・・ι?」
セ『いいブルーベリーが手に入ったのv』
『・・・ぷっ』
ス「・・・ム」
セシルの手料理の餌食になったスザクを見て、思わず笑いが漏れてしまった
そんなシリルにスザクは睨みを利かせた
すると、なんとも気の抜けた声が特派全体に広がった
ロ「は~い! 解散解散、今日は出番なし! おーめーでーとーお、おしまい!! はぁ~・・」
がっくりと項垂れたロイドにどう反応してよいやら
困っているスザクにセシルは、学校へ行くように促した
時間的には授業は終わってはいるが、友達に会うということも学生の仕事だとセシルは言う
その時、特派に通信が入った
セシルはその通信をシリルに回した
シリルが出ると、モニターにはコーネリアの姿
『コーネリア総督』
コ『シリル帰国早々悪いが、すぐに私の所へ来るように』
『サイタマゲットー・・・ですか?』
コ『・・・お前は本当に話が早くて助かる。 私の軍に合流し、作戦に参加してもらいたい』
突然の出撃命令、しかもシリル限定のようだ
皆、耳を澄ましシリルとコーネリアのやり取りを聞いていた
そんな中、シリルの表情が一層険しくなった
『それは、”総司令官(私)”への命令ですか?』
コ『そうだ』
『でしたら、そのご命令には従えません』
周りが一気にざわめき出した
驚くのも無理もない。 この国を統括している総督の命令が聞けないと言ったのだ
『総司令官(私)へのご命令は、皇帝及び、皇族の場合は第一級命令のみ動きます。 総督はご存知かと思いますが?
特派へのご命令でしたら、別ですが・・・それに、私を投入しなければ勝算のない相手なのですか?』
ピリッとした空気が流れた
つばを飲み込むのもままならないほど恐ろしい空気だ
何を言っているんだ、誰しもそう思った
だが、コーネリアは短く笑った
コ『お前だけだよ、私にそんな口を聞くのは』
『お嫌いですか?』
コ『いや・・むしろお前のそういう所を気に入っている
では、今回特派に出した通り、任務は無い以上だ』
『イエス・ユア・ハイネス』
ふぅー・・とシリルは椅子にもたれかかった
サイタマゲットー・・・か
今回のこの作戦は、ナンバーズへのただの見せしめだ
そのために、サイタマゲットーにいる非戦闘員の命まで奪うなんて・・・
新たな憎しみと争いを生むだけだというのに
それをわかっていて、何もしない私も同罪か・・・
そんな自分が一番腹立たしい
少し乱暴に椅子から立ち上がったシリルにセシルの声がかかった
セ『シリルちゃんも、学校行ってきなさい』
『私はまだ、やることが』
セ『行くわよね?』
顔は笑顔なのに、その口から発せられる音はかなりの重低音だった
シリルは短く溜息をついた
『わかった・・・キリがついたら行くよ』
諦めたように髪をワシャワシャと掻き乱し、シリルは特派から出て行った
*その姿をぼーっと見ていたスザクにセシルは優しく声をかけた
セ『スザク君、シリルちゃんと何かあった?』
ス「えっ!? ぁ・・いえ・・・別に・・」
セ『スザク君があんなにムキになるなんて、何かあったのかなって思って』
ス「・・・・」
図星を突かれたスザクは、目を細め俯いてしまった
セ『話したくない事なら、無理には聞かないわ』
こんなことを相談しても良いものか迷ったが、一人で悩んでいても答えは出ない
本人に直接聞こうにも、かるくかわされるのが落ちだろう
ス「・・・シリルって、イレブンが嫌い・・・・なんですか?」
セ『え・・?』
*
セ『そう・・そんなことがあったの』
ス「はい・・・、だからシリルは、イレブンである僕のことを避けているんだと・・・」
嫌われることには慣れているはずなのに、なぜだろう・・?
彼女には嫌われたくないなんて・・
険しい顔になっていくスザクに、セシルはストップをかけた
セ『そうよね、シリルちゃんはあんな風だから誤解されやすいのよ』
ス「誤解?」
何の? という顔でセシルを見やるスザクの隣に再び座り直した
セ『シリルちゃんは、スザク君の事、本心で嫌っているわけじゃないと思うわ』
そんなはずはない
現に、面と向かって言われたのだから・・・嫌われているのは事実
でも 本心って・・・?
もしそうだとしても・・・・
困惑するスザク
セ『スザク君じゃなくて、自分を”イレブン”だと言っているスザク君に怒っているんだと思うの』
言っている意味が分からず、さらに困惑の表情をするスザク
ブリタニア人であるシリルが、どうしてそんな事で怒る必要があるのか全く分からない
セ『シリルちゃんのこと誤解しないであげて
あの子は、幼い頃から汚れた世界に囲まれて、理不尽な世の中をずっと見てきているから』
すると、セシルはぽつぽつと話し始めた
セシルがシリルに初めて会ったのは、特派にシリルが配属された時だった
まず驚いたのは、その幼さ
わずか12才の幼い子がデヴァイサーとして専用機を持っていたのだ
そして、見た目とは掛け離れた冷静な発言と行動
何よりも、子供とは思えないほどの冷めた瞳
何も信じない、誰も信じないようなそんな瞳をしていた
汚れた大人の世界にずっと埋もれてきた結果が、シリルのような哀れな子供を生んでいた
セ『権力・戦争・差別・・・シリルちゃんの嫌いな事よ』
ス「・・・・」
セ『”エリア11”や”イレブン”は、”日本”や”日本人”を格付け、差別するために付けられたものでしょ』
ス「っ!!」
セ『・・そういうことなの』
はっとした顔をしたスザクを見て、セシルは誤解が解けたことを確信し頬笑んだ
そうだ・・シリルは一度だって口にしなかった
僕が何度も口にしていたのに・・
僕を嫌っていたわけじゃなかった
僕が自分自身を差別させていたから・・だからあの時
そういえばお前、日本人だったな
今までの矛盾がすべて繋がった
*
*
トントントン・・
格納庫では、整備班がナイトメアの整備にあたっていた
その奥には、黒色が特徴のヴァイスが待機していた
その中から聞こえてくる等間隔の音
機体の中では、今の自分の苛立ちを表しているかのように、ペンでバインダーを小突くシリルがいた
すると、不意にピタッとペンが止まった
はぁ~・・・何をイラついているんだ・・・
本国で見たあの夢が原因か・・・それとも・・
唇を噛み締めた
あの時のことを考え出したら切りが無い
バンッとバインダーを操縦機の上に叩きつけた
『だめだ・・集中できない』
シリルは操縦席に凭(もた)れかかり、コックピットを後ろへずらした
視界の端の方で見覚えのある茶色毛が見えた
そちらを向くと、丁度スザクが学校へ向かうところだった
その光景をじっと見ていたシリル
『学校・・・・か・・』
*
アッシュフォード学園内にあるクラブハウス。 その奥にある一室では、ベットに寝転がりピザのシールを楽しそうに台紙に張り付けているC.C.の姿があった
そこへズカズカと部屋に入ってくるルルーシュ
その表情は何とも険しい
ルルーシュにC.C.は声をかけるが、返事はなくテレビを睨みつけていた
テレビでは、2時間後にサイタマゲットーへの総攻撃が開始されるというニュースが流れていた
C『乗るつもりか? 敵の挑発に』
ル「わざわざ招待してくれたんだ。 それにコーネリアには聞きたいこともあるしな」
C『ブリタニアの破壊と、母殺しの犯人を見つけること。 お前はどっちが大事なんだ?』
ル「同じだよ、その二つは」
ルルーシュの瞳が一瞬、愁いを帯びた
ブリタニアの皇族は、次の皇帝の座を巡って常に争っている
いや、争わされていると言ってもいいだろう
現皇帝、シャルル・ジ・ブリタニアによって
だが、そうやって勝ち残った最も優秀な人間が、次の皇帝になる
これがブリタニアの強さでもある
まさに弱肉強食の世界だ
弱き者は、すべてを失い這い蹲(つくば)る
そう、シリルが見てきた世界がまさにそれだ
C『弱肉強食は原初のルールだ』
ル「だったらナナリーはどうなる!! 弱いから諦めなければならないのか!
俺だけは絶対に認めない! そんな世界は、俺が消し去って・・っ!」
部屋を出ようと振り返ったルルーシュにC.C.は銃を向けていた
まるで足止めをするかのように
*
*
柔らかい日の光が差し込むクラブハウスの廊下
ゆらゆらと猫じゃらしを揺らしながら、鼻歌を歌っているスザクは何やら上機嫌のようだ
向かっていた生徒会室からは、数人の話し声が聞こえた
カ『とにかく! 私とルルーシュは関係ないから! ・・・あっ』
ス「ルルーシュ?」
聞き慣れた名前が聞こえたと思ったら、生徒会室の扉が開き出てきたのは、赤髪でショートヘアーの美少女、カレンだった
扉の向こうに誰かがいたとは露知らず、驚いたカレンはバツの悪い顔をし、何でもないから・・と、生徒会室をそそくさと出て行った
頭に?を浮かべたスザクは、そのまま生徒会室を覗き込んだ
すると、中にはアーサーを抱いたシャーリーが立っていた
ス「・・・ルルーシュは?」
シャ『知るわけないでしょ! あんな奴!!』
ス「え?!」
異様な雰囲気の中、天然スザクは空気が読めなかったのか、自ら地雷を踏んで行った
*
なんとかシャーリーを落ち着かせ事情を聞いた
どうやら、カレンとルルーシュの仲を疑っているようだ
シャ『カレンは違うって言うけど、何か誤魔化すために怒っていたようにも見えたし・・・』
ス「だから、こういうことは直接本人に聞くのが一番! 君の事どう思っているのかも聞いてあげるよ」
そう言うと生徒会室にある電話の受話器を取り、どこかへ電話をした
その相手は勿論ルルーシュだ
スザクの行動の早さに焦ったシャーリーは、耳まで真っ赤にし急いで受話器を奪い取り、電話を切った
まったくもって乙女心を分かっていないスザクは、上手くやるからと引くどころか再び電話をかけようと受話器を取ろうとする
ス「いいから任せて! 僕がやれば」
シャ『いやなの!! やだ!』
ス「上手くやるから! うまく・・・っうわあ!」
シャ『きゃあ!』
人に優しくする事も、度が過ぎるとただのお節介になることをスザクは知らないのだろう・・・ι
電話のコードに文字通り、足元を掬(すく)われた2人はそのまま床に倒れ込んだ
ス「ぁ・・・ごっ、ごめん///」
倒れ込んだ弾みで、スザクはシャーリーの上に馬乗り状態になり、気がつけばお互いの顔は目の前
つまりキスする寸前だった
そんな状況に2人は頬を赤くする中、スザクの顔が痛みに歪んだ
床に着いていた手をアーサーが楽しそうに噛み付いていたのだ
シャ『あの・・・痛かった?』
ス「・・・・かなりι」
すると、シュッと生徒会室の扉が開く音がした
そちらに目をやるスザクは、そこにいた人物を見てぎょっとした
*
ス「シっ・・シリル!!?」
そこには大量の書類を抱えているシリルがいた
スザクの声にそちらを見たシリルだが、何事も無かったかのようにスタスタと入って行き、机の上に書類の束を置いた
『会長は・・・いないみたいだな』
ス「シリル! あの、・・こ、これは///」
何やら慌てて弁解をしようとしているスザクだが、シリルは足元にすり寄ってきたアーサーを抱き上げ、皮肉な笑みを向けた
『何をそんなに慌てて弁解することがある? 思春期の高校男子が突然発情するのは自然の摂理だ』
ス「いやっ・・違うんだシリル!」
『それに・・・お前が、誰とどこで何をしようが私には関係のないことだ
なら、弁解する必要も無いだろう?』
そう言われてスザクは押し黙ってしまった
僕は何をそんなに慌てているんだろう?
それに、やけに胸の辺りが痛い・・
俯き加減のスザクを前にシリルはふぅ~、と一度息を吐いた
『邪魔したな』
ス「ぇ・・ぁ・・・・」
生徒会室を出ていくシリルに手を伸ばしたが、それはシリルに届くことはなく宙をさ迷うだけとなった
呼び止めて、僕は何を言うつもりなんだろう・・
しゅんっと落ち込むスザクにシャーリーは声をかけた
*
サイタマゲットーへの総攻撃までそう時間は無い
依然とルルーシュに銃を向け足止めをしているC.C.
ル「言っていることと、やっていることが違うんじゃないか?」
C『殺しはしない、足だけ撃って大人しくしてもらうさ』
そう言うC.C.に対抗すべく、ルルーシュも懐から銃を持ち出した
だが、相手は不老不死の魔女。 当然のことながら銃を恐れるわけがない
不利な立場にもかかわらず、ルルーシュの表情には余裕が見えた
するとC.C.は思いもよらない行動に驚いた
何を血迷ったのか、ルルーシュは己の米神に銃口を突き付けた
ル「俺は、お前に会うまでずっと死んでいた
無力な屍のくせに、生きているって嘘をついて・・・。 何もしない人生なんて・・ただ生きているだけの命なんて、緩やかな死と同じだ
・・また昔みたいになるくらいならっ!」
C『待て!』
引き金を引こうとするルルーシュをC.C.は堪らず止めた
何よりも、今死なれては困るからだ
だが、ここで足止めをしていてもルルーシュは自分の命を絶つだろう
それほど、何も出来ない無力な自分はルルーシュにとって必要の無いモノなのだろう
C.C.は溜息をつき、後ろの扉を明け渡した
C『・・・確かに、意味はないな・・・・そんな命』
一人っきりになった部屋にポツリと声が響いた
すると、開くはずのない扉が再び開いた
C.C.は無意識にそちらに顔を向けた
C『お前は・・』
*
*
サイタマゲットーでは、コーネリア軍とナンバーズが交戦していた
互角とも思えるほどだった
そのナンバーズを指揮しているのは、紛れもないゼロ
だが、互角とも思えた戦場だが、統括のとれた正規の軍隊と即席の集団では勝敗は目に見えていた
そしてシンジュクゲットーの時とは違い、サイタマゲットーはいとも簡単に制圧されてしまった
間一髪のところで、ゼロに扮したC.C.に助けられ、ルルーシュは逃走ルートの地下水道を走っていた
クロヴィスとは格が違う、それがコーネリアか!
暗がりの中、ゼロを前に立ち止まった
ル「何故助けた?!」
C『だから言ったろ? 死なれては困る・・と』
ゼロの仮面を取ると、エメラルドグリーンの真っ直ぐな髪が舞う
それを睨みつけるルルーシュは苛立ちをぶつけるかのようにC.C.に喰いついた
ル「条件が同じならば、負けはしなかった!」
C『負け惜しみだな。 それだけの条件を揃えるのも力の内だ』
ル「だったら、揃えてやるさ・・・ブリタニアに負けない、俺だけの軍を、人を、国を!」
叫ぶように言い放つルルーシュに、C.C.は顔だけを向け妖笑を浮かべていた
C『だそうだ』
ル「?! 何を言って・・」
途端にルルーシュの瞳が大きく揺れ言葉を失った
地下水道は暗がりだったため気付かなかったのだ
C.C.の後ろにいた人物に
ル「・・シリルっ・・・!!」
どうして ここに!
世界は 動き始めている
音も無く ゆっくりと
・END・
*08.9.16