哀しみの蒼に (調整中)
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『失礼致します』
トウキョウ租界の中心にあるブリタニア政庁
その中枢に当たる部屋の扉の前にシリルはいた
・特派・
*扉を開くとその奥には、待ち望んでいたかのように微笑んで迎えてくれたコーネリアがいた
コ『久しぶりだなシリル』
『お久しぶりでございます、コーネリア総督
本国・シュナイゼル殿下より、僅(わず)かながらお力添いになるようにと、命を受けて参りました』
片膝をつきコーネリアに挨拶をする
その姿を見るなり、コーネリアはシリルに堅苦しい言葉遣いは公の場だけにするように告げた
反論しようと顔を上げるが、コーネリアの頬笑みにそれ以上何も言えず困った顔をして承知した
コ『まさか、兄上がお前を寄越すとは思わなかったぞ』
『そうですか?』
コ『あぁ、兄上はシリルのこと溺愛しているからな』
喜ぶべきであろう
だが、あの溺愛ぶりはどうかと思うが・・
常にシリルを傍に置いていた
シリルのことをシュナイゼルの騎士だと勘違いしている兵士もいるほどだ
コ『それはさておき、兄上からはシリルの思うようにやらせてほしいと言われたが・・・こちらとしては、シリルに来てもらったのは有り難いが、どの部隊にも属さずに自由に行動されるというのは、総督としては許可することはできないんだ』
当然のことだ
どこの世界に、好き勝手で動ける軍人がいようか
シュナイゼルにはそう言う名目で言われたが、実際軍にいる以上はそんな事は出来ない
仮にも一軍隊を統括しているシリルは、そんなこと重々承知の上だ
コ『そこで、シリルにはどこかの部隊に所属してもらう形になるが・・・』
『承知しています』
シリルもそのつもりだったようで、その返事にコーネリアは微笑んだ
話しが早くて助かるといった様子だ
*
コ『本来なら私の直属の部隊に入ってもらいたいのだが、シュナイゼル殿下の御意向もある
どこか入りたい部隊はあるか?』
その問いかけにシリルは驚いていた
どこの部隊でも構わなかったシリルにとってはかなりの意表をつかれた
そして少しばかり考え込む
口元に当てていた手を離して、漸く口を開いた
『では・・特派へ』
コ『特派だと?』
予想していなかった部隊の名前にコーネリアは疑問を持った
シリルならば、皇族の親衛隊や精鋭部隊にだって入れる
それだけの実力が十分備わっているにも拘(かかわ)らず、何故敢えて特派なのか・・・その疑問を立ち去るシリルにぶつけてみた
『少し興味があるんです・・・あそこに』
不敵に笑って見せて、コーネリアに一礼をしその場を後にした
一方特派では、学校から帰って来たスザクがデヴァイサースーツに着替え、データ収集のためランスロットに乗り込むところだった
*ふと、隣に並ぶ黒いナイトメアに目がいった
ス「あの・・ロイドさん、一つ聞いてもいいですか?」
ロ「ん~? その機体のコトかい?」
ス「それと・・・パイロットのことも・・・」
振り返ったスザクにロイドはにんまりと笑った
気になるのか~い? とロイドに聞かれ素直に答えたが、自分の中では何故気になるのかよく分からなかった
こんなにも他の機体を気にしたことなんてなかったのに・・・
ランスロットに似ているから・・かな?
それとも・・・
ロ「この機体はね”ヴァイス”と言ってね、ランスロットの原点になったナイトメアフレームなんだよv」
ス「原点?!」
ロ「そっ! ヴァイスは第六世代唯一のナイトメアなんだ♪」
第六世代は新たな境地を目指し、さまざまな技術的トライアルを重ねてきた時代
具体的な機体は生み出されていないと言われていたが、唯一一機だけ造られた、それが”ヴァイス”
第六世代に造られたとして技術者の間では幻の機体とされている
それはもう、喉から手が出るほど欲しがる技術者もいるほどだ
貴重な機体という事で、ロイドが浮かれているのも無理は無い
セ『スザク君、準備で来たわよ』
ス「あ、はい」
本当はナイトメアよりも、パイロット・・・シリルのことを聞きたかったんだけどなぁ・・・
苦笑いをしたスザクはランスロットに乗り込んだ
*
セ『ロイドさん、あんまりヴァイスにかまっているとまたシリルちゃんに怒られますよ?』
ロ「だぁ~いじょ~ぶ! シリルちゃんは今、新総督と謁見中だからv」
『バレなければいい』
ロ「そゆこと~・・・・えιι」
セ『あら』
背後からかなりの威圧感を感じるロイドは、後ろにいる人物にかなりの心当たりがあった
先ほどまでの嬉しさ満点に溢れた笑顔も徐々に固まり、額からは大量の冷汗が流れ出していた
『ロイド伯爵はよほどランスロットがいらないようだなぁ』
ロ「な、何言ってるんだい? シリルちゃん(^_^;) 僕はまだ何も・・・」
『やってからじゃ遅いんだ! 馬鹿ロイド』
勢いよく振り返り弁解をするロイドの顔面に一枚の紙切れを叩き突けた
そのままシリルはセシルの方へと足を進めた
一瞬ホッとしたロイドだが、突き付けられた紙をまじまじと見ると、その表情を驚きと喜びの入り混じったような表情に変えた
シリルは背後からセシルに声をかけると、セシルは席を立ち敬礼をして言葉を正した
そんなセシルを元の席に座らせ、敬語はやめてほしいと困った顔で言った
相変わらずだと言いたげに溜息をつき微笑んだ
セ『それにしても・・・どうしたの? その格好』
セシルが見つめる先には、自分と同じオレンジ色の軍服を着たシリルがいた
違うところと言えば、セシルのオレンジのロングスカートが黒の短いスカートになっているということだけだ
シリルは笑って誤魔化し、セシルの前にあるモニターを覗き込んだ
*
『シンクロ率を計っているのか?』
セ『えぇ、これは毎日欠かさず!』
『ふ~ん』
87%・・・・なかなかの数値だな
この数値を日本人が・・
テストが一段落したのかスザクがコックピットから降りてきた
降りたスザクの目には、セシルの隣にいる見知らぬ人物を捉(とら)えていた
だが、着ているのは間違いなく特派の軍服だ
スザクは首を傾げ、セシルの元へ向った
ス「セシルさん、お客さんですか・・・・って、シリル?!」
『ん・・?』
ロ「ざぁ~んねんでした! お客様じゃなくて新しいお仲間v」
セ・ス「『へ?!!』」
ロイドの言葉にセシルとスザクの声がハモった
そんなことは気にも留めず、スタスタとスザクの前まで歩いて行き手を差し出した
『シリル・グランツェだ
暫くの間だがよろしくな』
あまりにも突然のことにスザクの頭はついて行けずそのままシリルに視線を向けていた
それもそうだ
出会った時は、ごく普通の女の子
かと思えば、ナイトメアを操縦し、皇女殿下とも顔見知り
そして今は特派の新入り
なにがどうなっているのか全く分からないスザクは、もうどうしてよいのやら頭の中の情報がどうやっても結びつかない状態
そんなスザクを不審に思い、怪訝(けげん)そうな顔で覗き込んだ
ス「っ! あっ、こちらこそよろしく!」
怪訝そうな顔で覗き込んでくるシリルに気付いたのか、慌ててシリルと握手をした
*
ス「そ、それよりもお仲間って・・君は確か・・・」
確かあの時は、ユフィ・・皇女殿下と一緒にいたはず・・・
その問いにシリルは答えず、握手した手でそのままスザクの体に触れた
ス「へっ??」
肩・腕・胸・腰・・・とスザクを身体検査でもしているかのように、ペタペタと触っていく
そんなシリルの行動に驚かずにはいられないスザクは、何をしているのか聞くがシリルは聞く耳を持たず、スザクの体を調べている
徐々にシリルの手は下へ下へと下がっていく
さすがにヤバイと思ったのかスザクはシリルの手を掴み止めるように言った
すると大人しくなったのかシリルの手が止まった
安心するスザクだが、ホッとしたのも束の間
シリルの目と視線が絡まった時だった
『うるさい、黙っていろ』
ス「え・・・ιιι」
シリルの睨むような視線に動きを止めてしまったのはスザクの方だった
そしてスザクの願いも虚しく、また体を触りまくるシリル
ス「シ、シリル!」
ロ「スザク君、あんまり暴れない方がいいよぉ」
ス「っていうか、見てないで助けて下さいよ!」
と、後ろで悠長に笑っている2人に助けを求めたがそれもムダに終わった
い・・一体シリルは何がしたいんだ///??
*かなり焦っているスザクを余所に、シリルの手がとうとうスザクのお尻に到達した
ス「ひっ∑!!」
片方のお尻を下からギュムッと掴まれた
スザクの背筋がピンと伸び、すっとんきょな声を上げた
それを最後にシリルはスザクから離れた
『なるほどね・・・ロイドが気に入るわけだ』
ロ「あ、わかる? でも、一番のお気に入りはシリルちゃんだけどねv」
『・・・そういう変態発言をするところは変わってないな』
などと話している後ろで、氷が溶けたかのように、ヘナヘナ~・・とスザクが床に崩れ落ちた
セ『(スザク君・・・お気の毒に・・・(^_^;))』
それを見たセシルは哀れな目をスザクに向けた
なんか・・・何もかも奪われたような・・・
何だろう・・この脱力感は・・・ιι
枢木スザク 17歳
女の子に初めて体をまさぐられた日だった
・END・
*08.6.8