貴方と私の生きる道 (調整中)
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暗雲から降り注ぐ大粒の雨
シトシトと、地面に水溜りをいくつも作っていく
恵みの雨
とは、よく言うが
こうも湿気が高いと、鬱陶しく感じる
そんな中
階段に座り、膝に頬杖をつきながら、ぼーっと降り注ぐ雨を眺めていた
『・・・・』
向こうの渡り廊下では、紅い髪を揺らし、その可愛らしい頬をぷっくりと膨らませて歩いて行く紅玉の姿
その後ろから、慌てたように付いて行く夏黄文
また良からぬ妄想で、紅玉様の機嫌を損ねたのだろう
まったく・・・
頭は良い癖に、馬鹿な奴だ
などと毒づいた所で、後ろにある扉の開く音がした
それと同時に立ち上がり、後ろを振り向いた
龍「すまないな、少し時間がかかった」
『いえ』
横に立て掛けていた傘を持ち、ぱっと開いた
『では、行きましょうか』
足を進める白龍に、濡れないよう傘を差す
しかし
傘を持つその腕は、不自然なまでに高い位置にあった
仕方ない
白龍とフィアの間には、頭一つ分程の身長差がある
一つの傘に2人、しかも背の低いフィアが持っているのだ
そうなるのも無理ない
それを見兼ねた白龍は、徐(オモムロ)に傘の柄を取り上げた
『白龍様?』
龍「俺が持った方が良いだろう」
『白龍様に持たせるなど言語道断です!』
言いながら、白龍から傘を奪い返そうと悪戦苦闘するフィア
龍「フィアの身長じゃ、傘の中が狭くなる」
『それなら、そうならないよう努めます!
白龍様に傘を差していただくなど』
龍「俺が持つと言ってるんだ
素直に応じたらどうだ」
断固として、傘を返してくれない白龍
取り返せないフィアは悔しいのか、ぷくっと頬を膨らました
『では
この傘は、白龍様がお使いください
あちらで、お待ちしておりますので』
龍「フィア!?」
言うや否や雨の中、走り出したフィア
主に傘を差させるなど、無礼極まりないこと
それなら、自分は濡れることを選択する
・
屋根のある渡り廊下に着くと、足を止めて息を整える
大分濡れてしまったが
まぁ、良しとするか
後は、白龍様がいらっしゃるのを待って・・
龍「・・はぁ・・・お前は、足が速いな・・」
『っΣ!!?』
突然の声にビックリしたフィアは、後ろを振り返った
そこには
息を切らせた白龍の姿が
『白龍様!?』
龍「なんで・・急に走り出したんだ・・・」
な、何故
もう白龍様がここに??
早過ぎる・・あと5分10分掛かってもおかしくないのに!
するとフィアは、あることに気付いた
白龍の肩や髪が、自分と同じく濡れているのだ
そして、手には閉じられた傘
『・・もしや白龍様・・・私の後から、走って来られたのですか・・?』
龍「フィアが、いきなり走り出すからだ」
溜息混じりの白龍は、仕方がないだろうという表情
ですが
それでは・・
『それでは、私が走ってきた意味がありません!
なんで、傘を閉じて走ってくるんですか!
風邪でも引いたら、どうするおつもりですか!!』
白龍を、ハンカチで拭きながら怒るフィア
そんな彼女に、一つ溜息を吐いた
龍「その言葉、そっくりそのままお前に返す」
『私はいいんです!
濡れようが、風邪を引こうが、察して問題ではありません!』
龍「風邪を引いたら、誰が俺の従者の代わりをするんだ?」
『代わりなんて入りません! 私がやります!』
龍「・・・はぁ」
これでは埒(ラチ)が明かない
こうなったフィアは、極端に頑固だ
龍「フィア、少しでいいから、自分を大事にしろ
でないと、俺が困る」
『・・・・・・・すみません・・
ですが・・だからと言って、白龍様まで濡れて来られなくても・・』
そこで、はたと気づく
白龍は濡れている
このままでは、風邪を引いてしまう恐れもある
こんな所で、言い争っている場合ではない
『白龍様! 急いで湯殿へ行きましょう!
お体が冷えてしまいます!』
龍「このくらい平気だ」
『いけません! 万が一の事があってからでは、遅いんです!』
白龍の背中を押しながら、歩みを進めるフィア
どれだけ心配性なんだ
と、呆れるくらいに
しかし
彼女は彼女で、必死になってくれている
自分のために
・
『白龍様、お湯の準備が出来ました』
龍「ああ」
フィアと入れ替わりに、脱衣所へ入った
衣服を脱ぎ、湯殿へと足を進める
湯舟からの湯気と淡い照明で、暖かな空間に心が和む
そういえば
あいつにも、早く風呂へ入るように言うのを忘れていたな
などと考えていると、ある声と共に湯殿の扉が開いた
『白龍様、お背中を流しましょう』
龍「Σ##NAME2##、フィア!!?」
体を洗っていると、裸足に軽装のフィアが躊躇なく入ってきていた
龍「おまっ、何入ってきてっ///!!」
『たまには・・と思いまして』
龍「そ、そんなことはいい!
それよりも、早くお前も風呂へ入って来い!」
気を遣う従者を邪険にしながら、ちゃっかりタオルで大事な所を隠す
心臓バクバクの白龍を他所に、フィアからの容赦ない攻撃は続く
『白龍様の湯殿が終わりましたら、私も入って来ます』
龍「いいと言っているだろ・・//」
『・・・では、お背中だけでも』
なかなか引かないフィア
何でもいいから早くしてほしかった白龍は、仕方なしに承諾した
笑顔のフィアは、白龍から泡の付いたスポンジを受け取り、優しく丁寧に背中を洗っていく
しかしその笑顔も、あるモノのせいで消えていった
白龍の左肩にある大きな火傷の跡
正確には、顔の左側から
これは
白龍の人生を大きく捻じ曲げてしまった、あの出来事の爪痕
胸が 痛む・・
『痒い所はありませんか?』
龍「それは、頭の時に聞くものじゃないのか?」
『そうなんですか?』
白龍様
私は
何があろうとも
貴方様の お側におります
だから
少しは 寄り掛かって下さい
洗い終わり、ザブンと湯舟に入る
ふー・・と息を吐く白龍
任務完了のフィアは、白龍に自分も湯殿へ入ってくる旨を伝えた
が
終始、恥ずかしい思いをしたのは自分だけ
納得のいかない白龍は、ある悪戯が思い浮かんだ
『では白龍様、ごゆっくりと』
龍「フィア」
『? きゃっ!?』
呼ばれたと同時に、腕を掴まれた
そして、そのまま引っ張られたフィアは、見事に湯舟へダイブする事となった
『ぷはぁ!
・・・何をなさるんですか、白龍様!』
龍「湯殿へ勝手に入ってきた罰だ」
『なっ』
龍「ぷっ! あはは・・」
何とも理不尽な理由に、片方の頬を膨らませて、目の前の主を睨み付ける
だが、白龍は余程おかしかったのか、笑いが止まらないようだ
もー・・
でも
こんなに笑っている白龍様なんて、久方ぶりに見たな
こんなんじゃ、怒るに怒れない
ズルいです
白龍様は・・
起き上がるフィア
言うまでもなく、ずぶ濡れだ
仕方ないと、白龍に背を向け濡れた服を脱ぎ始めた
龍「な、何をしている!?」
『こんなずぶ濡れの状態では、部屋へ帰ることも出来ませんので
ここで入ることにします』
じょーっと、服を脱いでは搾っていく
最後の一枚を脱ごうとした時、白龍からストップの声がかかった
龍「待てフィア!
俺は、もう出るから!」
予想外の展開に、慌てふためく白龍
そんな白龍に、今度はフィアがちょっとした悪戯を思い付いた
『いけませんよ、白龍様
しっかり温まってから出てください
折角ですから、このまま一緒に入りましょうか?』
出ようとする白龍に、ぎゅっと抱き着き、耳元でそっと囁く
ちょっとした悪戯のつもりだったのだが
龍「っっっ///!!?」
『・・・白龍様?
え! 白龍様! どうなさったのですか!?
白龍様!!』
微動だにしない白龍に疑問を抱き、顔を上げてみると
真っ赤な顔で目を回していた
そして、鼻からは微量の血が・・
かなり焦ったフィアは、なんとか白龍を脱衣所まで運び、助けを呼びに行った
駆け付けた青瞬により、ただのぼせただけだということが判明した
安心したフィアから事情を聞いた青瞬
まだまだ
皇子には、女子(オナゴ)の素肌は刺激が強かった
と、いうことかな
いや
フィアの・・と言った方が正しいか
一人微笑んでいた
結局、面白かったのは青瞬だけだったようだ
・END・
14/1/30
◇白龍・・ヘタレすぎ((笑