貴方と私の生きる道 (調整中)
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闇に包まれる禁城
リンリンと、耳障りの良い虫の音が響く廊下
涼しい風が髪を撫でていく中
ある部屋の明かりに、目が止まった
あそこは
白龍様のお部屋・・
まだ、起きていらっしゃるのかな?
時刻は、既に日をまたいでいる
そんな時間まで起きているなんて、珍しい事だ
様子を見に、白龍の部屋へ足を向けた
――
―――
コンコン
控えめに扉をノックをするが、中からの返事はない
もう一度、ノックをして声を掛けてみるが、やはり応答なし
寝てしまっているのかと思い、一言断りを入れ、扉を開けた
部屋の明かりは消えていたが、窓辺にあるスタンドの淡い光が、柔らかく部屋を照らしていた
その光の下にある椅子に座り、テーブルに突っ伏している白龍の姿があった
良く見ると
テーブルの上には、蓋が開いたままになっている酒ビンが一つ
『・・白龍様?』
龍「・・ん・・・フィアか・・」
フィアの声に、ムクリと起き上がる
『珍しいですね
白龍様が、お酒を召されるなんて』
気真面目な性格の白龍
祭事以外では、ほとんど酒など口にしないのだ
龍「・・・・・フィア」
かなり飲んでいるのか、少し目が据わっている
反応も遅く、言葉数も少ない
そんな白龍は、フィアにこっちへ来いと言うように手招きをした
小首を傾げつつも、呼ばれるままに白龍の元へと近づいた
そっとフィアの手を取り、そのまま自分に引き寄せ、フィアの腰に抱き着つく
流石のフィアも、これには驚いた
『は・・白龍様(¨;)?』
ぎゅっと抱きしめられ、胸下辺りに顔を埋(ウズ)めてくる
いつもの白龍でないことは確か
酒が入っているからだろうか
そもそも、酒をこれだけ飲む時点で、何かあったであろうことは明白だ
『どうか、なさったのですか?』
よしよしと、まるで子供をあやすように優しく頭を撫でた
すると
白龍からは、思いも寄らない言葉が
龍「・・フィア」
『はい』
龍「紅炎殿の元へ、行くのか・・?」
『え?』
何故そんな事を聞くのかわからなかった
思い当たる節もないのだ
龍「俺の従者では、不満なのか?」
『そんな事はありません! 寧(ムシ)ろ、私の誇りです!
何故、そのような事をお聞きになるのですか?!』
不安を抱きながら、疑問をぶつけるフィア
その疑問に白龍は
昼間、古書室での出来事を、窓の外から目撃していたのだという
それには、ホッと一安心した
従者を外されるのではないかと思ったからだ
だけど、確かに
あれは端から見たら、紅炎様が私を抱き寄せた風にも見える
白龍様が誤解したのも、私の安易な行動が原因
白龍様に非はない
それに
あの時・・私・・・
フィアは、紅炎との出来事を白龍に説明した
龍「・・・そうか・・ならいい・・・・」
意外にも、あっさりな返答
普段の白龍ならば、一つ二つ雷が落ちてもいいような内容だ
『白龍様・・もしかして、それでお酒を飲まれていたのですか?』
龍「・・・・悪いか//」
素直な発言に、なんだかくすぐったい気もした
それに、嬉しくもあった
これが
世間一般で言う、ヤキモチというものなのだろうか
照れ隠しなのかはわからないが、フィアを抱きしめたまま、離そうとしない白龍
まるで、どこにも行かないよう、繋ぎとめてるみたいに・・
『白龍様
そろそろ、お休みになってください
かなり、お飲みになられているようですので』
龍「・・・・あぁ」
少し振らつく白龍に肩を貸し、支えながら寝所へと向かう
掛布をめくり、白龍をベットへ座らせる
髪留めを取り、ベットへ寝かせた
『ゆっくり、お休み下さい』
龍「・・・・・・フィア」
窓際のスタンドの明かりを消した時、白龍から名を呼ばれ振り返った
上半身を起こしていた白龍は、少々据わった目で自分を見つめていた
龍「今夜は・・ここにいろ」
『・・しかし・・・』
龍「傍にいてほしい」
淡く灯(トモ)っていた明かりも無く
窓から差し込む月明かりが、白龍の愁いを帯びた瞳を更に強調していた
それは
今にも消えてしまいそうな
そんな輝きを宿していた
この瞳を見るのは、何度目だろうか
その度に
貴方の心は
淋しくて
淋しくて
温もりを求めているのだと
胸がぎゅっと締め付けられるようで
『・・・はい』
だから
断ることはしない
恥ずかしいとか
おこがましいとか
そんな思想はない
貴方が
求めてくれている
だから
私は・・・
失礼します、と
同じ布団へ入り、横になる
白龍はすぐに、フィアを抱き寄せ、胸に顔を埋(ウズ)めた
フィアも、白龍を優しく抱きしめた
安心して、眠れるように
『白龍様が、私を必要としてくださる限り
私は、貴方様のお傍におります』
重過ぎる使命を課せられ、孤独の中に見を置かれてきた
ずっと、気を張り詰めていたからこそ
とても
繊細で 脆い
その心を
私が 支えたい
折れないように
淋しさで 満たされないように
真実を
唯一 知っているから
貴方には
幸せに
なってほしいのです
白龍様・・
・
チュン チュン
雀の囀(サエズ)りに、目を覚ました
龍「・・・ん・・・・・・・っ!?」
目の前のモノに、ぎょっとした白龍
覚醒しきっていない頭も、一気に覚めたようだ
それも、そうだろう
うら若き乙女の素肌
しかも胸元が目の前にあっては、覚めないはずもない
そ・・そうか、昨夜は・・・///
と、昨日の事を思い出しながら、そっとフィアを離し、起き上がる
まだ夢の中にいるのか、気持ち良さそうに眠っているフィア
優しく微笑む白龍の視線は、寝顔から下へと無意識に下がっていった
はだけた胸元
その原因が自分であることに、頬を染める白龍
・・・・よくこんな状態で寝られたものだな///
酒が入っていたからといっても・・・
フィア
俺は、お前に矛盾したことを言っている
”簡単に、男に触れさせるな”
だが俺は
こうしてお前に触れている
これは俺の
ただのエゴであり、我が儘だ
不満には、思わないのか?
フィア・・・
『・・ん』
サラサラな黒髪を撫でていると、フィアの目がゆっくりと開いた
龍「おはよう、フィア」
『・・・白龍様・・おはようございます』
目を擦りながら、へにゃりと笑う
寝起きとあってか、少々ボサボサな頭
そんな姿も、素直にかわいらしいと感じる
『よく寝られましたか?』
龍「ああ、フィアのおかげだな」
『よかったです』
笑うフィアの肩からずり落ちた衿(エリ)を直しながら、白龍も微笑む
とそこへ、来訪者が一人
声からして、侍女のようだ
女『白龍皇子
今日の御召し物をお持ちいたしま・・し・・・た・・』
龍「そこに置いておいてくれ」
女『は、はいっ!
もも、申し訳ありませんでした///
失礼いたします!!』
顔を紅くして、慌てて出て行く侍女
パタリと扉が閉まった所で、フィアが口を開いた
『よろしいのですか?
あれは、確実に誤解してますよ』
龍「問題あるまい」
『本当ですか?
こういった浮ついた話は、すぐにでも城内中に広がりますよ?』
龍「寝夜は共にしたが、実際それだけで、何もなかっただろう?」
『・・・そうですね
いくら年頃と言っても、眠っている女子に手を出すなんて事、白龍様には出来ませんから』
龍「どういう意味だ・・・?」
『そのままの意味ですが?』
龍「(ムカッ)
そうか・・なら、今度からは我慢せずに・・・っ」
バッと、口元を押さえ、そっぽを向く白龍
いらん事を口走ってしまったが、少しばかり遅かったようだ
紅い顔をした白龍と
キョトン顔のフィア
『我慢なさっていたのですか?』
龍「ち、違う///!!
これは・・言葉のアヤというもので・・・///」
『そうですよね
だって私は、白龍様の従者なのですから』
龍「・・・///」
笑顔で言うフィアに、少々複雑な気持ちの白龍
たまに
”従者”という言葉が、歯痒く感じることがある
これが一体何なのか
今の俺では、まだ気づくことはなかった
↓おまけ
『白龍様
夜伽をご希望であれば、手配しておきますよv
初めてですから、とびっきりの美人さんを取り揃えて参ります!』
龍「・・・・いや、いい」
白龍の苦悩は、今日も続く
・END・
13/6/21
◇初の続き物でした!
本当は、別々の話だったのですが、上手い具合に辻褄が合ったので、繋げちゃいました☆
白龍のヤキモチな話しでした!
どんだけ独占欲強いんだ!って感じですよね
これで、自分の気持ちに気づかない白龍は、凄いと思いますm(__)m
拗ねて、酒飲むなんてタチ悪いのに、行動が可愛い過ぎて憎めない(>_<)