貴方と私の生きる道 (調整中)
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ジュ「フィア!」
中庭にいらっしゃる白龍様の元へ戻ると、何処から湧いて来たのか、神官殿の姿もあった
私の姿を見るなり、子供みたいな満面な笑顔で駆け寄って来た
そして
抱き締める、という名の体当たりをされた
顔を合わせると、いつもコレ
もう、慣れっこだ
『神官殿・・・
また、白龍様に迷宮攻略の話をしに来たんですか?』
ジュ「だってよ~
白龍なら絶対いけるって言ってんのに」
『無理強いは、よけい嫌われますよ』
ジュ「だから、こうして待ってんだろ?」
『白龍様、言われていた物です』
龍「・・あぁ」
ちらりと一瞬、白龍様の視線が、未だ背中にくっついている神官殿に向いた
『で
神官殿は、いつまでくっついている気ですか?』
ジュ「あん?
別にいいじゃねーか! 俺とフィアの仲だろ?」
『”親しき仲にも礼儀有り”という言葉を知らないのですか?』
ジュ「んなもん、知らねーなぁ」
ニッコリ笑うジュダル
すると
武官の一人が神官であるジュダルを呼びに来た
唇を尖らせ、さも面倒臭そうな顔で、渋々フィアから離れて行った
まったく・・と、眉を八の字にし、溜息を吐いた
それと同時に、座っていた白龍も立ち上がった
『白龍様も、お戻りになられますか?』
龍「あぁ・・・・・・・・・フィア」
呼ばれて返事をするが、白龍からの言葉は直ぐには来なかった
小首を傾げつつも、言葉を待った
そよ風が、二人の黒髪を優しく撫でていく
背を向け、表情の伺えない白龍
龍「・・お前は、もう少し警戒心を持て」
『白龍様?』
龍「そう易々(ヤスヤス)と、男に自分の身体を触らせるものじゃない」
こちらを振り向かず
そうおっしゃられて、白龍様は行ってしまわれた
白龍様が、そんなことを言うなんて・・
何とも言えない違和感を感じた
――
―――
―――――
今日は、久々に大浴場へ行って来た
濡れた髪を拭きながら、部屋へ戻ると
ジュ「よお! 遅かったな」
『・・・・ι』
椅子に座り、くつろいでいるジュダルがいた
『何をなさっているのですか? 人の部屋で』
ジュ「フィアを待ってたに決まってんだろ?」
ひょうひょうと答えるジュダルに、苛立ちを覚えたのは言うまでも無い
深く溜息をつくフィアは、何の用事か訪ねると
ジュ「フィアの煎れた茶が飲みたい」
だそうだ
ここで拒否をしても、帰ってくれる相手ではない
仕方無しに、お茶を出すことにした
・
『どうぞ』
ジュ「サンキューv」
『それ飲んだら、神官殿もお休みくださいよ』
ジュ「・・・」
何かが引っ掛かったのか、ジュダルは立ち上がり、フィアの目の前で立ち止まった
どうしたのか聞いてみるが、その表情はやけに真剣だ
ジュダルは、徐にフィアの頬を撫でた
ジュ「なぁ・・今は他の奴も、白龍もいねぇんだぜ?
二人っきりの時は、敬語も”神官”って呼び方も止めろって」
『・・・そう言えば、そうだった
あんたと二人になる事なんて、滅多に無いから・・忘れてた』
お返しとばかりに、皮肉な笑みを向けてやる
それに満足したのか、再び椅子に座り、お茶を飲み始めた
ジュ「お前、いっつも白龍と一緒だもんなぁ」
『当り前でしょ?
白龍様は、私の仕える主なんだから』
ジュ「ふ~ん・・
お前らって、見方間違えると、怪しい仲だよな」
『何よ、怪しい仲って・・ι』
ジュ「だってよ
主従関係にしては、親密過ぎじゃねーか?」
『やらしい言い方しないでよね
それだけ、白龍様からの信頼を得ている証拠でしょ』
ジュ「・・まぁな
なら、夜伽もしてんのか?」
頬杖をつきながら、普通に聞いてくる
こいつは
白龍様を、何だと思ってるんだ
『白龍様が、従者にそんな事を命ずるわけないでしょ』
ジュ「へぇ~、ねぇんだ」
『・・・何よ』
ジュ「別に」
意味深な笑みを浮かべ、お茶を啜った
すると、部屋の扉をノックする音が聞こえた
返事をしながら扉を開けると、顔を覗かせたのは
『白龍様!』
今し方、話題に上がっていた人物だった
『どうなさったんですか?』
龍「フィア」
ジュ「よお、白龍じゃねーか!」
その声に、白龍の眉間の皺が寄った
龍「・・・何故、神官殿が?」
『お茶を飲みに来られたんです』
龍「こんな夜分にか?」
『えぇ・・・白龍様?』
なんだろう?
さっきまでと、雰囲気が・・
明らかに不機嫌になった白龍
気付かないフリをし、何の用事かを訪ねた
龍「・・いや、用事というほどの事でもない
俺はもう休む。 見回りはいい」
『わかりました』
龍「お前も、夜更かしせずに早く休め」
『はい。 お休み・・』
パタン
『・・なさい』
フィアの言葉を最後まで聞かずに、部屋の扉は閉まっていた
嫌な静けさがフィアの部屋に充満した
そんなこと気にならないのか、ジュダルは口を開いた
ジュ「なんだ? 白龍の奴
用もねぇのに」
『神官殿
それを飲んだら、お帰り下さい』
ジュ「何言ってんだよ、フィア・・」
『お帰り、頂けますよね?』
振り返るフィアの鬼の様な形相に、さすがのジュダルも、これ以上はヤバイと思ったのだろう
急いでお茶を飲み干し、じゃあなと、少しどもり気味に挨拶をし
そのまま、そそくさと窓から出て行った
ぽつんと一人になった部屋には、小さな溜息が響いた
白龍様・・怒っていらした・・・
やはり、組織の人間であるジュダルと必要以上に関わっているからだろうか・・
これからは、控えた方が・・・
って、向こうから寄りついてくるんだから、私が控えても意味が無いんだι
一先ず
必要以上に関わらないようにしよう
・
だが
翌日からの白龍は、どこか素気なく感じた
な・・
何故??!
あれから、ジュダルとは会うどころか
姿すら見ていないというのに・・
トボトボ歩いていると、後ろから声を掛けられた
青「どうしたんだ? フィア」
『・・・・青舜殿ぉ』
余りにも哀愁漂った背中に、思わず声を掛けたのだ
案の定
振り返ったフィアは、今にも泣き出しそうな顔をしていた
――
―――
ぽかぽかと暖かい中庭の木の下に、二人は並んで座った
フィアがこんなにも落ち込んでいるのは珍しい事
先輩として、放って置けなかった青舜は、彼女の悩みを聞く事にした
『・・・という事がありまして・・
けれど、白龍様の機嫌は直らず・・どうすれば良いのか・・・』
青「ふ~ん、あの白龍皇子が・・」
『こんな事、一度もなかったのに・・』
つまり
皇子は、用事があってフィアの部屋に行った
夜も更けた時間帯に、自分ではない他の男がフィアの部屋にいた
それが、皇子の機嫌を損ねている
と、いうことか・・
答えを見出した青舜
だが、何を思ったのかそれが、青舜のちょっとした悪戯心に火を付けた
青「もしかしたら・・」
『な・・何ですか! 青舜殿!?』
青「あ、いや・・・白龍皇子に限って、そんな事は・・・」
『青舜殿!』
青「・・もしかしたら、白龍皇子は従者を変えようとお考えなのでは?」
『・・・・ぇ?』
――
―――
―――――
『白龍皇子!』
修練所で槍を振るう白龍は、道場破りの様な大声に吃驚しながら、修練所の入口に目を向けた
誰かと思いきや
我が従者であるフィアだった
仁王立ちしたフィアの両手には、愛用の双剣
そして、何かを決意した強い眼差し
明らかに、普段の彼女ではない
龍「・・フィア」
『一戦、手合わせ願えますか!』
何故、彼女がそんな事を言い出したのか
その意味は分からない
だが彼女の眼差しから、断る理由も無い
白龍はそれを承諾し、槍を構えた
・
甲高い金属音と、気合の篭った声が響く
『はぁあ!』
フィアの剣を防ごうとするが、槍を弾き飛ばされた
その反動で、白龍は仰向けに床に倒れた
倒れた白龍目掛けて、フィアは刃を振り下ろした
ザンッ!
龍「・・っ」
刃は、白龍の顔の数センチ左
木の床に突き刺さっていた
いつもとは全く違うフィアに、一瞬の恐怖すら感じた
殺される
そんな感情さえ生まれてきそうだった
龍「・・・やはり、フィアは・・強いな」
『・・・』
龍「・・フィア?」
『・・・・そうです』
龍「え・・?」
ばっと顔を上げたフィア
前髪で隠れていた純粋な黒い瞳とぶつかった
『私は、白龍様より強いです!
だから・・
どうか
私を、お傍に置いてください
他の誰でもなく
従者として・・私を・・・っ』
フィアからそんな言葉が出てくるとは、思いもしなかった
半面、自分にこんなにも信頼を置き、忠誠を示してくれている事に嬉しさを感じた
だが今は
彼女が何故こんな事を口にしているのか、検討もつかない
龍「ちょっと待て、フィア
一体、なんの話だ」
『白龍様は、従者を変えようとお考えなのでしょう?』
龍「・・・は?」
何がどうなって、そんなことになったんだ?
第一、俺は一言もそんなこと言った覚えはない
混乱した頭を、一先ず落ち着かせ
上に乗っているフィアの肩に手を置き、優しく押し退けた
白龍も起き上がり、二人は向かい合って座った
落ち着いた所で、そんな経緯になった原因を訪ねる
『青舜殿が、そうなのではないか・・と』
龍「・・はぁ・・・
フィア、青舜に何を吹き込まれたかは知らないが、そんなことは、まず無い
こんなにも長く自分の従者をしている者を、おいそれと変えるわけがないだろう」
それを聞いたフィアは、酷く安堵したのか嬉しそうに顔を綻(ホコロ)ばせた
しかし
それでは、最初の疑問に答えが出ないままだ
『・・では、白龍様は何を怒っていらしたのですか?』
龍「え?
俺は怒ってなど・・」
『だって白龍様、ここのところ
余り私と目を合わせてくださいませんでした』
龍「それは・・・」
『態度も、素っ気なかったです』
龍「・・・;」
うっ・・と、言葉を詰まらせる白龍
思い当たる節があるのだ
『やはり、原因は神官殿・・ですか?』
龍「えっ?」
『組織の人間と、必要以上に接していたので
白龍様にとっては、お気を悪くしたでは・・と』
白龍の表情は、何やらばつの悪い顔
目線を上に上げ、照れからなのか頬をかいた
あながち、間違いではない
でも、白龍が怒っていたのは
龍「神官殿に限った事ではないが・・・お前は、あんな夜分に平気で男を部屋に招き入れるのか?」
『・・え?』
龍「万が一、何かあったらどうする気だ」
『は、白龍様(¨;)』
龍「節度をわきまえろ
無防備過ぎるにもほどがある!」
いきなりのお叱りに、フィアは目を丸くした
そして、なんだか少し噛み合っていない会話に戸惑いつつ、聞いてみた
『白龍様、もしかして
そのことを怒っていらしたのですか?』
龍「怒っているわけではない
だが、もう少し自覚しろと言っているんだ
強いと言っても、フィアは女性なんだから」
ああ、そっか・・
白龍の言葉に、フィアは思わずクスリと笑ってしまった
そんな従者に、白龍はふて腐れた顔をした
龍「わかっているのか? フィア」
『申し訳ありません
白龍様が、こんなにも私の事を心配して下さっていたなんて
すごく、嬉しいです』
龍「・・・」
『今後は、気をつけます』
ニッコリと笑顔を向けるフィアに、やれやれの様子の白龍皇子でした
これで
少しでも、男に対して警戒心を持ってくれればいいのだが・・・
おまけ→
『そういえば、白龍様
先日言っていたことなのですが』
龍「なんだ?」
『男に、簡単に体を触らせるなって』
龍「あぁ」
『あれは、白龍様も対象に入る・・ということですか?』
龍「どういう意味だ」
『白龍様は、私の主でありますが、一応殿方ですし・・』
龍「俺が、あんなスキンシップするわけないだろう」
『はい、それは十分承知しておりますが・・』
龍「・・・・まぁ、そういう心構えでいた方がいいだろうな」
『そうですか・・・
私は、白龍様に触れて頂けるのは嬉しいですよ』
龍「なっ・・///!?」
『白龍様の手は、とてもお優しいですから』
何の裏もないがために出てくる言葉
それだけに、性(タチ)が悪い
白龍の悩みは、まだまだ続きそうだ
・END・
◇白龍皇子は、意外に独占欲が強そうに思います
部屋にいたのが、ジュダルでなく紅玉とかなら、こんな事にはならなかったんだろうなぁ・・・
勘違いすると、とことん勘違いしてしまう面倒臭さい一面も、原因が小さな嫉妬なら可愛いですよね~v