貴方と私の生きる道 (調整中)
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翌日
視察を終えた白龍は、煌帝国へ帰還した
無事、帰還したことを兄上達に伝えると、白龍は足早にあるところへ向かった
積み荷の乗った馬車
ガチャリと扉を開けると、荷物の片隅に小さく座っている少女の姿があった
さすがに、堂々と連れて帰るわけには行かず
仕方無しに、荷馬車へ乗せたのだ
連れ出そうと近づく白龍に、少女の身体は震え出した
龍「大丈夫だから
一先ず、姉上に会わせたいんだ」
片膝を付き、目線を合わせて優しく語りかける
白龍から差し出された手を、数秒見つめた後、そっと小さな手を重ねた
白龍は嬉しかったのか、ニッコリと笑い少女の手を引いていった
周りを見渡しながら足速に進む
無駄に広い廊下を駆けていく小さな影は、とある部屋の前で止まった
コンコン
瑛『はい』
龍「姉上、白龍です」
開いた扉の向こうには、白龍に良く似た可愛らしい少女が立っていた
煌帝国・第一皇女、練 白瑛
白龍の姉君である
瑛『どうしたの? 白龍・・・』
龍「姉上にお頼みしたい事があって」
白瑛は、白龍の後ろに隠れている少女に気付いた
一目で、ただ事ではない事を把握したのか
とにかく二人を部屋へ入れた
少女の身なりを見る限り、少なくとも王宮の者ではない
どこからか連れて来たのだろう事は、安易に予想できた
白龍にどういうことなのか問い質した
――
―――
白龍の説明に、白瑛は溜息をついた
瑛『いい? 白龍
貴方のしたことは、一見人助けに見えるかもしれない
でもそれは、ただの貴方のエゴに過ぎないの
特に、王族である貴方がしていいことではないわ』
否定的な白瑛に、ショックを隠しきれない白龍
白瑛なら、きっと大丈夫
力になってくれる
そう思っていたから
俯く弟に、眉を八の字にしながら白瑛は微笑んだ
瑛『白龍、貴方のその優しさは、とても素敵な所だと思うわ』
龍「・・・姉上」
瑛『連れて来てしまったからには、最後まで白龍が責任を持たなくてはいけませんよ?
困ったことがあったら、私も協力するわ』
龍「・・はい!」
花が咲いたように笑顔になる白龍
白龍は、一先ず
少女を湯殿へ入れてほしいと頼んだ
瑛『さぁ、こっちよ』
『・・・っ』
白瑛の何気に差し出した手に、少女は顔を強張らせ、白龍の後ろへ隠れてしまった
龍「大丈夫だよ
僕の姉上だから、心配しなくていい
怖い所へ行くわけじゃないから」
少女を安心させるかのように言った
少々不安はあったが、白瑛に優しく手を引かれて行く
しかし少女は、白龍と握った手を離さなかった
龍「え?」
『・・・』
龍「ぁ・・ぼ、僕は一緒に行けないよ///」
『・・・』
龍「ここで待ってるから」
俯く少女の手を、そっと離した
こちらを振り返る少女は、湯殿へと消えて行く
それを呆然と見つめる白龍
・・はぁ、びっくりした
湯殿へ一緒に行こうなんて・・・//
でも、それだけ人を信用出来なくなってるってことなんだ・・・
・・・!
ってことは、少なくとも
僕の事は信頼してくれてるってこと?
なんか
嬉しい・・な
ほっこりと微笑む
なんだか嬉しくて、くすぐったい感じがした
そういえば僕
あの子の裸、見ちゃってるんだった///
顔を真っ赤にして、モンモンと思い出してしまった映像を手で蹴散らす白龍君であった
その頃
部屋に備え付けの湯殿では
瑛『さ、服を脱いで』
『ビクッ!!』
その言葉に、過剰に怯える少女
その理由は、少女の身なりを見れば一目瞭然
現場に居合わせなかった白瑛でも、安易に想像できた
白瑛は、しゅるりと自分の腰紐を解(ホド)き始めた
パサリ
『・・・』
瑛『これで私も同じよ』
にこりと笑う白瑛に、少女も服を脱ぎ、湯殿へと入って行った
まずは、少女の汚れた体を洗うため椅子に座らせ、お湯をかける
瞬間
ビックリしたのか少女は、後ろにいる白瑛に振り返った
その反応に、白瑛自身も少し驚いていた
瑛『どうかしたの?』
『・・・・(フルフル)』
首を横に振り、なんでもないと返事をする
・・・あったかい
今まで”お湯”というものを浴びたことがなかった少女は、その温かさにいつの間にかされるがままになっていた
少女の体を丁寧に洗っている白瑛の表情は、少女とは違い険しいものだった
自分の弟と変わらぬ年端の女の子
その小さな体には、無数の傷跡と痛々しいほどのアザが、体中にあったのだ
この子だけではない
煌帝国内では、こういった子供達が何十人、何百人もいるに違いない
その子達が、安心して平和に暮らせるようにするのが、自分達王族の役目
・
カチャリと音がした
待ち侘びていた白龍は、そちらに目を向ける
白瑛と共に出てきた少女は、白龍が助け出した少女とは似つかぬ姿だった
白瑛と似た服を着て、白い肌は火照っているのか、仄(ホノ)かにピンク色
何よりも目を見張ったのは
セミロングの、綺麗な緑色の髪だ
終始、頭には布を巻いていた少女
まさかここまで変貌するとは、思いもしなかった
瑛『・・龍』
龍『・・・・』
瑛『白龍!』
龍『! は、はいっ!』
少女に見惚れていた白龍は、呼ばれているのにも気付かず
慌てて返事をした
首を傾げつつも、少女を今後どうするか
明日、話すことにした
今日は夜も更け遅い
だが、白瑛はあることに気付いた
瑛『そういえば白龍
彼女の名は、何て言うの?』
龍「・・名前?」
ピタリと白龍も止まる
今更だが、自分も少女の名前を知らないことに気が付いた
龍「すみません、僕も名前を聞くのを忘れてて・・
名前を、教えてもえないかな・・?」
『・・・』
俯く少女は、首を横に振った
教えたくないってこと?
少し怪訝そうな顔をすると
少女から小さな
ほんの小さな声が聞こえた
『・・・・・な・・い・・
・・な・・まえ・・・・』
初めて聞いた少女の声は、酷く二人の胸に突き刺さった
”名前”というのは
産まれて一番最初にもらう、親からの愛情の形
この少女は、それすらも与えられていないのだ
だが、俯く少女の表情は、悔しさや哀しみなど微塵もなく
さも当たり前のような表情だった
それが更に、白瑛の胸を締め付ける
龍「・・・翡翠」
瑛『白龍?』
龍「翡翠なんて、どうですか?
名が無いのでは、どう呼んでよいのか迷ってしまいますし・・」
瑛『そうね・・でも、どうして翡翠?』
龍「彼女の瞳の色からとったんです」
ぱっと、隣にいる少女に視線を落とした
伏せ目がちな少女の瞳は、確かにとても澄んだ翡翠色だ
白龍がその名前でいいか確認すると、少女はコクリと頷いた
名前も決まったことだし、今日は床に着くことにした
瑛『翡翠は、私の部屋で休みなさい』
『・・・・』
そう言われた翡翠は、ちらりと白龍の方へ目線を送った
頭に?を浮かべる白龍に、クスリと笑みを浮かべる白瑛
瑛『・・と、言いたい所だけど
そうね、白龍の部屋で一緒に寝なさい』
龍「なっ! 何を言っているのです、姉上///!?」
瑛『その方が、翡翠も安心するだろうし
何よりも
彼女を連れて来たのは白龍ですよ?
責任をもって、面倒をみるのは当たり前でしょう?』
そう言われては、何も返す言葉が無い
というわけで
二人は白瑛に挨拶をし、白龍の部屋へと向かった
龍「・・・・//」
『・・・』
二人の間に会話など無い
異性と同じ部屋で寝るなど、白瑛以外無かったこと
まだ幼い少年だが、その辺は何となく照れてしまう白龍
まぁ
寝台はあれだけ広いから・・・大丈夫・・か
ちょっとした緊張感で、自室の扉を開けた
白瑛の部屋と、差ほど変わらぬ広さと風景
白龍の部屋の方が、少し殺風景にも見える
部屋に入った翡翠は、少し辺りを見渡したあと再び、視線を落とした
龍「今日は、僕と一緒に寝ることになるけど・・」
『(コクリ)』
頷いた翡翠は、寝台へは行かず
何故か床に寝転び、あろうことか床に敷いてある絨毯を、掛け布団のように被ったのである
その光景に、白龍は慌てて翡翠の体を引っ張り立たせた
当の本人は、不思議そうな表情
龍「何をやってるんだ!
そんな所で寝転がって」
『・・・ねる・・って・・・』
・・そうか
この子は、今まで
ずっと、床が寝床だったんだ
彼女の行動の意味に気付いた白龍は、優しく彼女の手を取り、寝台まで誘導した
龍「これは寝台と言って、寝るときはここで横になるんだ」
『・・・』
物珍しそうに恐る恐る触れる翡翠に、白龍は笑みをこぼした
翡翠を寝台に上がらせると、これまた目を真ん丸にしていた
ふかふかな布団に肌触りの良いシーツ
挙動不審な反応が、本当に面白かった
一人で使うには大きすぎる枕に、少女の頭を乗せ、自分も横になった
龍「初めてで不安かもしれないけど、翡翠が寝付くまでこうしてるから」
『・・・』
きゅっと、小さな手を握り締める
すると
安心したのか、少女は眠気に逆らわず、すぐに眠りに落ちていった
その様子を見つめる白龍
ぎゅっと、繋いでいた手に力を入れる
僕がこの子に、色々教えてあげなきゃいけないんだ
それが
キミを連れ出した
僕の責任だから
龍「・・守るから」
・
それから一週間
白龍と翡翠は、常に一緒にいた
翡翠に身の回りのことを教えたり
城内を案内したり
庭を散歩したり
口数は少ないが、会話もできるまで打ち解けてくれた
表情も、不意に笑顔を見せるようにもなった
一週間後
皇帝陛下が、遠征から帰還した
黒髪を三網にした、白龍達と変わらぬ年端の少年
皇帝陛下と共に、遠征に行っていたようだ
少年の目に、ふとあるものが止まった
中庭で、中睦まじく遊んでいる白龍と翡翠
一緒に歩いていた白龍、白瑛の母・玉艶皇后
立ち止まった少年に気付き、どうしたのか尋ねた
艶『どうかしましたか、ジュダルちゃん?』
ジュ「・・・あの娘」
視線を向けるジュダルと同じ所に、玉艶も視線を向けた
――
――――
白瑛と白龍は、玉艶に翡翠のことを話した
そして、出来れば自分の元に置いておきたいと、願い出る白龍
だか、意外にも玉艶からは、簡単に認可の声を貰った
艶『しかし、ただ傍に置いておくことはなりませせん』
龍「・・・」
艶『ですから、彼女には少しの間、侍女としての教育を受けてもらいます
その後、白龍の専属の侍女として傍に仕える
ということで、どうかしら? 白龍』
龍「・・はい!」
ぱっと笑顔になる白龍
早速、翡翠は侍女見習いとして少しの間、白龍から離れる事になった
玉艶に優しく連れていかれる翡翠の姿に、寂しさが込み上げるが、少しの間だけと自分に言い聞かせた
部屋を出る際
一瞬、振り向いた少女の顔は
酷く
不安な表情だった
その数日後
あの忌まわしき事件が起こった
皇帝陛下が殺害され
白龍の兄君二人も、業火により亡くなった
まだ幼い白龍と白瑛の心には、酷い傷として残ったことだろう
自分が助けた少女の事など
忘れてしまうほどに・・・
・END・
13/3/23
◇始めちゃいました! マギ連載☆
白龍君に見事、ハマりました(>_<)
序章は、名前変換がありませんでしたが、次の煌帝国編からはありますので!
煌帝国編は、オリジナル要素満載なので悪しからず
という感じで、連載していきます☆