ハンター試験編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゆっくりと塔の屋上に降り立つ飛行船からは、わらわらと外に出る受験生達の姿があった。
『ここが次の試験会場』
「何もねーな」
「キルアー! カシスー!」
向こうから2人を呼ぶ声と共に、満面の笑顔で走ってくるゴンが見えた。 その後ろに、クラピカとレオリオも続く。
「探しちゃったよ! 2人共、クラピカ達のところに戻ってなかったから
どこ行ってたの?」
『それがさゴン! キルアがっ!?』
「こいつが、飛行船探検したいっつーから、付き合わされてたんだよ」
カシスの口を後ろから塞ぎ、言葉を遮った。
「なーんだ、そうだったんだ」
『……このウソつき』
「いいじゃん、別に
2人の秘密ってことで」
小声で話す2人。
気付いていないのは、ゴンだけである。
さて。 ここトリックタワーが、三次試験のスタート地点となっている。
試験内容は
生きて、下まで降りてくること。
制限時間は、72時間。
塔の端から下を覗き込むと、背筋を凍らせる程の高さ。 その外壁には、窓一つない。
塔の周りには怪鳥がいるため、外壁をつたって降りるのは不可能。
となると
どこか下に通じる扉があるはず。
考えることは、皆同じで。
ゴン達も手分けして、扉を探すことにした。
「カシス」
『ん?』
「キルアとどこにいたんだ?」
『…知りたい?』
「言いたく無いのなら、無理には聞かないさ」
『じゃ、秘密ってことで!』
「…そうか」
煮え切らないクラピカの表情。 秘密と言われては、それ以上聞くわけにはいかない。
「試験の前から、キルアと知り合いだそうだが」
『クラピカ達と一緒だよ
キルアとは、試験会場に行く途中で知り合ったんだ』
ピタリと足を止めたカシスは、そのままくるりとクラピカの方を向いた。
「どうした?」
『気になる?
私と…キルアのコト』
悪戯っ子の様に笑うカシス。
だが
クラピカはそう聞かれて、直ぐに答えることが出来ないでいた。
図星を突かれたような…そんな感じだ
「クラピカ~! カシス~!」
ゴンの呼ぶ声に、カシスはそちらへ駆けて行った。
その後ろ姿を、クラピカはじっと見つめたまま。
この胸の内のモヤは、何だろう…
今までに感じたことのない感情に疑問を抱きつつ、クラピカもゴン達の元へ向かった。
「こことここ。 あとこっちにも4つ」
「6つの隠し扉が、こんな近くに密集してるのか…いかにも胡散臭いぜ」
「恐らく、このうちのいくつかは罠…」
しかもこの扉は、一度きりしか使えない仕組みになっている。
つまり、お一人様専用。
皆それぞれの道を進まなければならない、ということだ。
運も実力のうち。
扉を選び、位置に着いた。
「ここで一旦、お別れだ」
「地上で、また会おう」
『うん』
「行くよ! 1」
「2の」
3!!
同時に扉をくぐった5人。
無事着地した部屋は、真っ暗だった。
かと思えば、ぱっと明かりが点き、目の前には見知った面々が…。
「くそ~~
どの扉を選んでも、同じ部屋に降りるようになってやがったのかよ」
「短い別れだったな」
「全くだ」
「そうでもないみたいだよ?」
レオリオとクラピカは、疑問の表情を向ける。
「カシスがいない」
一方。
一人だけ違う道に進むことになったカシスはというと。
「やぁ♥」
『……………げっ』
あまりのくじ運の悪さに、打ちひしがれていた。
なんで…
あんなにも扉があって、なんでよりにもよってコイツと同じ道なのよ!!
私、何か悪いことでもした?
こんな仕打ち、あんまりだ…
「そんな、嬉し泣きするなよ♦」
『してないから!』
カシス達の入った道は、荊(イバラ)の道。
待ち受ける強者やモンスターと闘いながら進んで行かなければならない。
だが今のカシスにとっては、それ以前の問題。
はぁ~…
選んじゃったものは、仕方ないか…
運も実力のうち…だもんね
『仕方ない。 我慢するか』
漸く歩き始める2人だが、気になるのはその距離だ。
凡(オヨ)そ、十メートルは離れて歩いているだろう。
「そんなに離れることないだろ?」
『お構いなく』
「あまり警戒されると、悪戯したくなるじゃないか♠」
『間に合ってま~す』
こちらに振り返り止まるヒソカを気にも留めず、抜き去って行く。
クックック♦
ホント
退屈しないなぁ♥
――
―――
―――――
「待ってたぜ、ヒソカ」
扉を開けると、そこには1人の男が立っていた。
何やら、ヒソカに恨みを持っているようで、今回のハンター試験もヒソカと闘うために参加したらしい。
やる気満々の男を見つめる2人。
『知り合い?』
「そんなトコ♦
危ないから、下がってなよ♣」
『そうする』
カシスは、とばっちりを受けないように後ろの方でしゃがみ込み、膝の上で頬杖をついた。
それを確認したところで、戦闘開始。
相手は無限四刀流の使い手。
だが、ヒソカにそんなもの通じるはずもなく。
「無駄な努力、御苦労様♠」
呆気なく殺られてしまった。
それを見ていたカシスも、呆れた表情を浮かべる。
『相変わらず、外道ね』
「褒め言葉として貰っておくよ♦」
『(褒めてないし)』
先へ進もうと立ち上がるが、気付くと目の前にはヒソカが立っていた。
『……なに?』
「別に♠
ただ…今ので少し興奮しちゃって♥」
ゾッとするような殺気に、身体が硬直した。
『…卑怯ね
女の子を力付くで押さえ付けるなんて』
「クックック♦
キミが相手だと、つい力が入り過ぎちゃうんだよ♥」
ヒソカの冷たい手が、頬を撫でる。
そのまま身体のラインを沿って、腰まで手が降りてきた。
「無駄な抵抗は、しないことをお勧めするよ♦」
動かそうとした足が止まる。
嫌な汗が背中を伝い、自分の中でも”危険だ”と、警報が鳴っている。
「いい子だ♦」
楽しそうなヒソカの声が、耳元で囁いた。
一先ず、ヒソカから離れないと
そう思った瞬間。
『っ!!?』
「いいね、その反応♦ ゾクゾクするよ♥」
なっ…なな、舐めた!?
い…、今こいつ、私の耳舐めた!!?
ヒソカは、執着にカシスの耳を舐めまわす。
その度に、背中に悪寒が走る。
何かわかんないけど、これはかなりヤバイ!
それだけは、嫌でも分かる
今の状況から切り抜けるため、思考を巡らせる。
しかし、そんなカシスを弄んでいるようなヒソカは、次の行動に移った。
突然の出来事に、声が出そうになる。
『っっ!!?』
「!」
耳を甘噛みされたと同時に、カシスの背中にある壁が吹っ飛んだ。 それにはヒソカも驚いた。 一瞬、動きを止めてしまうほど。
その隙にヒソカの胸を押し、自らその穴へ落ちて行った。
「…あ~ぁ、逃げられたか♣ 残念♦」
そう
壁を吹き飛ばしたのは、紛れもなくカシスだ。
どうやったかは、今はまだ秘密のままに…。
・END・
11/11/19
21/1/23(修正)