ハンター試験編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時計の針が正午を指した。
二次試験の始まりだ。
「どお?
お腹は大分空いてきた?」
「聞いての通り、もーペコペコだよ」
中から現れたのは、グラマーな女性メンチと、大男のブハラ。 まさしく、美女と野獣である。
「そんなわけで二次試験は、料理よ!!
美食ハンターのあたし達2人を、満足させる料理を用意して頂戴」
二次試験の内容に、受験生達はざわつき始めた。
かなりの不安を抱えながらも、前半ブハラの課題”豚の丸焼”を、見事70人が通過した。
そして問題は後半、メンチの課題だ。
課題は ”スシ”。
小さな島国の民族料理。
そう。 我等が日本の伝統的な料理だ。
だが、民族料理とあってかなり苦戦した結果…。
「とにかく、あたしの結論は変わらないわ!
二次試験後半の料理審査。 合格者は0よ!!」
と、なってしまった。
しかし、ネテロ会長の介入、試験官であるメンチにも落ち度があり、再試験をすることになった。
一安心した受験生への課題は、”ゆで卵”。
マフタツ山に生息するクモワシの卵を取りに行き、それでゆで卵を作るのだ。 クモワシの卵は断崖絶壁にあり、取りに行くのも命懸けだ。
結果。
二次試験後半、合格者42名となった。
――
―――
―――――
三次試験会場へは、飛行船での移動となり、会場へ着くまで暫(シバ)しの休息となった。
『ん~……』
腕を上に伸ばし、凝った体を解(ホグ)した。
一度は断ったものの、暇でしょうがない。
『クラピカ、私やっぱり行って来るよ』
「何処へ?」
『飛行船探検! ヒマだから』
レオリオは既に爆睡中だったので、クラピカに声を掛けた。
そして、お子様2人を捜しに行くことに。
外周の突き当たりを曲がろうとした時、聞き慣れた声が耳に入った。
「オレん家、暗殺稼業なんだよね。 家族ぜーんぶ」
お! 発見!
気付かれないように、2人に近づく。
「そん中でもオレ、すげー期待されてるらしくてさ~」
『それは初耳』
「カシス!」
「なんだ、やっぱ来てんじゃん」
『ヒマだったからね』
キルアの隣に座り、カシスも話に入る。
『でも、なんで家出してきたわけ? 期待されてるんでしょ?』
「オレ、やなんだよね
人にレール敷かれる人生ってやつ?
”自分の将来は自分で決める”って言ったら、親兄弟キレまくりでさー
母親なんか、オレがいかに人殺しとして素質があるかとか、涙ながらに力説するんだぜ?!
ひでー親だろ? ぐれるぜ、フツー」
キルアの家出話に、カシスは大爆笑。 対照的に、ゴンは苦笑い。
恐らく、その光景を想像してツボにでも入ったのだろう。
「ハンターの資格取ったら、まずうちの家族とっ捕まえるんだ
きっと、いい値段で売れると思うんだよね~!」
『あっはっはっ! キルア、サイコー!
出来る出来る! キルアなら出来るよ!』
「お前は、笑い過ぎだ!」
お腹を抱えながら笑うカシス。 暫くは、治まらないだろう。
そんな楽しそうに話している3人を、遠くから見つめる目が一つ。
刹那。
殺気に満ちた視線に、2人は勢いよく振り返った。
「「!?」」
だが、そこには誰もいない。
『ネテロさん』
「どうかしたかの?」
反対側から、ハンター協会の会長であるネテロが訪ねてきた。
……速い
動体視力には自信があったけど、視界の端でしか捉えられなかった
流石、ハンター協会の会長
「素早いね、年の割に」
「今のが?
ちょこっと歩いただけじゃよ
ほれ、そこのお嬢さんはちゃんと見えとったようじゃし」
キルアを挑発するような発言。 しかし、キルアを怒らせに来たわけではない。
暇潰しにゲームをしようと提案しに来たのだ。
しかも、そのゲームでネテロに勝つ事が出来たら、ハンターの資格をくれるという。
場所を移動し、ゲームの説明をした。
船が次の目的地に着くまでの間に、ネテロからボールを奪うこと。
攻撃は自由。
ネテロは、手を出さない。
という、至ってシンプルなもの。
『あ、私パスね』
「え! カシスやらないの?
ボール捕れたら、ハンターの資格くれるのに」
『見てる方が、楽しそうだから』
ボールを捕れたら、ハンターライセンスをくれるって…無理でしょ
試験に合格する方が、よっぽど簡単だし…
と思いつつも、2人に口を出すことはしない。
何事も
経験ですから
さてさて
ボール争奪戦は。
まず、キルアから行くようだ。
「!??」
『(あれは…肢曲?)』
「カシス! キルアが何人にも見えるよ?!」
流石…暗殺一家に期待されてるだけの事はある
――
―――
2時間ほど、2人のボール争奪戦は続いていた。
「やーめた
ギブ! オレの負け」
「なんで? 今のだって、もう少しだったしさ」
「…ったく、何にもわかってねーなお前」
『ゴン。 今のままじゃ、一年中追っかけ回したって、ボールは奪えっこないよ』
「どうして?」
『ネテロさん、右手と左足ほとんど使ってないもん』
そんなハンデを聞かされても、辞めるのはキルアだけだった。
本当にゴンは、諦めが悪い。 それが良い所でもあるのだが。 途中、主旨が変わっていたような気もするが、大丈夫だろう。
キルアはキルアで、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
どちらかというと
心配なのは、キルアの方だ。
何か、様子がおかしい。
気になったカシスは、ゴンに声を掛け、キルアの後を追った。
胸騒ぎがする
何もなければ、いいんだけど…
不安を胸に、先を急いだ。
「うわっ! こいつ汗だくだぜ」
「おいボウズ! ぶつかったら謝りな」
「…」
「おい!!」
ぶつかったにも拘(カカワ)らず、そのまま素通りしていくキルアを呼び止める受験生達。
…っ!
一瞬にして、背筋が凍るような殺気を感じた。
カシスは急いだ。
そして、キルアの手が受験生に届く前に、その手を掴むことが出来た。
「!!!」
『…ぎりぎりセーフ』
「…」
突然現れたカシスに、文句を垂れる受験生達と、驚きからなのか俯いて表情が伺えないキルア。
『すみません
この子、今気分が悪いみたいで。 代わりに謝りますので』
「そんなんじゃ、納得いかねーな」
「そうだな…代わりに嬢ちゃんが俺達を癒してくれるってんなら、許してやってもいいぜ?」
ニッコリ笑ったカシス。
数秒後、男達はその場で気絶していた。
『調子に乗るなっつーの!
さて…』
「…」
今だ黙ったままのキルア。 掴んだ手に目が留まった。
その手は、骨格を変えたのだろうか、原理は分からないが、人の手にしては鋭過ぎる。
目を細めたカシスは、キルアの手を引き、その場を離れた。
少し歩いたところで、キルアに手を振り払われた。
『?』
「…何しに来た」
『何って…キルア殺気立ってたから』
「バッカじゃねーの
オレは、根っからの人殺しなんだ
さっきので分かっただろ
だから、オレの事なんかほっとけよ!」
『ほっとけないよ』
カシスは、持っていたタオルをキルアの頭から被せ、汗を拭き始めた。
思いもよらない行動に、目を見開き顔を上げるキルア。
…なんで
「…怖くねーのか」
『怖いよ
キルアが人を殺すところは、正直余り見たくない
だから…止めた』
汗を拭きながら、苦笑いをするカシス。
「……オレは…暗殺一家で育った」
『…うん』
「人を殺す訓練ばかり受けてきた」
『うん』
「お前も、殺されるかもしんねーんだぞ
オレは、人殺しなんだから……」
なんでこいつに、こんなこと言ってんのかわかんねぇ…
でも
もう…オレには関わるなよ
こんな汚いオレを、見ないでくれ
オレを本気で心配してくれる奴なんて、いやしないんだ
そういう世界で、オレは生きてきた
孤独の中の、闇で…
『残念ながら、それも知ってる
因(チナ)みに、強がりで負けず嫌いなのに、少々照れ屋なことも知ってる』
「……」
『キルア…私は、キルアのこと好きだよ』
「っ?」
『私だけじゃない、ゴンだって! クラピカやレオリオも
そう思われるのは、迷惑?』
こいつ…
オレの言ってる事、分かってんのか?
…いや、分かってるから…来てくれた
こんなオレでも、カシスは隣にいてくれた
初めから、そうだった
「…」
俯いたままのキルアは、ぎゅっとカシスを抱き寄せた。
突然の出来事に、驚くカシス。
『えっ? キ…キルア??』
「わりー…、ちょっとだけ」
『……仕方ないなぁ』
あ。
キルアが甘えん坊だってことは、知らなかったな
新たな発見に、笑みが溢(コボ)れた。
子供の様に抱きつくキルアの背中を、ポンポンと宥めてやる。
こんな風に、師匠以外の男の人に抱き締められるのは、初めてで
相手は年下だっていうのも、わかってる
なのに、胸の鼓動だけはやけに素直で、自分でも分かるくらいに脈打ってる
でも…心地良い
・END・
↓おまけ
『…キルア~。 汗臭い』
「我慢しろよ」
『せめて、汗拭いてからにしてよね』
「(気にするとこ、そこかよ)
カシスってさ」
『ん~?』
「イイ匂いだな」
『な?!! なな、何言ってんの!』
「別に…カシスこそ、何どもってんだよ」
『どもってない!
もういいでしょ! 早く離れろ! 変態!!』
「もうちょっといいじゃん!
カシス、抱き心地いいし」
ゾゾ…
『こんの……エロガキが!!』
動揺の余り、キルアに遊ばれていることに気付かないカシスであった。
「(カシスって…もしかして男に免疫無し?)」
11/11/14
21/1/22(修正)
◇お付き合い頂き、ありがとうございます!
二次試験かなり省略しました…;
だけど、管理人はメンチさん結構好きです!
でも、早く後半の件を書きたかったんです☆