キメラアント編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ。 目が覚めた?」
ぱちりと目を覚ましたナックルに、声を掛けたゴン。 どうやら自分は、助けられたのだと悟った。
咄嗟に確認したポケットの中には、割符が入ったままだ。
「何で、取らなかった?」
「え?」
「割符
取って、オレなんか放っときゃよかっただろが」
「オレ達は、割符が欲しいんじゃないよ
真っ向勝負で、ナックルさんを倒す実力が欲しいんだ」
その答えに、自分を助けた事も、割符を取らなかった事も納得がいった。
「手前(テメエ)は、いい奴だ
ぶつかり合えば、それが理解(ワカ)んだよ」
「ナックルさんもね」
ゴンが指差す先は、ナックルの布団。
もぞもぞと動く布団から顔を出したのは、1匹の犬。
ナックルが公園で待ちぼうけしていた時、最初に懐いた犬だった。
ナックルが心配で、ずっと側を離れなかったのだ。
いいハンターは、動物に好かれる。
と、誰かが言っていた。
見た目は悪いが、根は優しくいいハンターだと、それだけでわかる。
すると、扉をノックする音がした。
扉が開くと、カシスが顔を出した。
『2人とも、ご飯だよ』
「…」
『あ。 起きたんだね
なら、一緒にご飯食べていきなよ
ナックルの分もあるからさ』
「うん! いこ、ナックルさん…? どうした…の?」
カシスを凝視したまま固まっていたナックルは、ゴンの声も聞こえていないのか、徐(オモムロ)にベットを降り、カシスの前で立ち止まった。
頭に?を浮かべるカシスは、何事かとナックルを見上げる。
ナックルの物凄い形相に危険を感じたキルアが、仲裁に入ろうとしたのだが…。
「マ…マブい……」
『え?』
「は?」
そう呟いたかと思ったら、急にカシスの両手を握り締めた。
そして、ズイッと距離を縮める。
「結婚を前提に、付き合ってください!!」
『お断りします』
いきなりの求婚に、速攻のお断り。
ナックルの受けたダメージは、計り知れない。
両手両膝を床に付き、ショックのあまり涙を流した。
「………もうちょっと、考えるそぶりでもしてやったら?」
余りの激闘に、キルアが同情してしまうほどだ。
『気を持たせるようなそぶりは、返って相手に失礼なんだよ
なら、はっきりと断った方がいいでしょ?
それに、私この人と話したの、今が初めてだし』
「あぁ……うん。 …まあ、そうだよな」
間違っちゃいない
正論だ
ここで一目惚れした
なんて言われるより、全然マシだ
でも、なんだろうな
このスッキリしない感じ…
哀れだ…
と、哀れみの視線を送る先には、励ますように背中を摩るゴンと、撃沈したナックルの姿があった。
――
―――
料理が並べられ、その周りを囲むように座る。
テーブルはあるものの、何故か床で食事をする一同に、誰もツッコミを入れない。
「………おい、こりゃあ、食いモンか?」
ナックルが言うのも無理はない。
今日の食事は、カシスが作ったのだから。
『ははは。 みんな最初はそう言うんだ』
「コレ、カシスが作ったやつだからな」
「うめぇー!! こんなうめぇメシ食ったのは、初めてだ
流石、オレの惚れ込んだ女だぜ」
「よく言うぜ
さっきは”食いモンか?”とか、言ってたくせに…」
『誉め過ぎだよ、ナックル』
「おい! お前もこれぐらいで照れんなよ!」
頬に手を宛て照れるカシスに、速攻文句を飛ばすキルア。
その件を、食事をしながら眺めていたビスケ。
青春だわね~
と、ニヤけ顔。
食事が進む中、ナックルが口を開いた。
「いつでも来いや
何度でも相手になってやる
あと20日足らずで、オレが負けるなんざあり得ねーがな」
ゴンとキルアに向けた言葉。
やっぱり
ナックルはいい人だ
故に
NGLへ行くための条件を出された
精神面に難あり
恐らく
もう1人も、そんな理由だと思う
強さは
ナックルと同等…か
___
____
と、いうことで。
もう1人の刺客を探すべく、ゴンとキルアの後をつけて、決闘場である公園へ来た。
・
2人は果敢にナックルに挑むも、まだまだ力の差は有りそうだ。
ま
そう簡単に、縮まるもんじゃないか
いつもの様に、とぼとぼと帰って行く2人を、木の上から見送るカシス。
ナックルがここで決闘していることは、知っているはず
モラウさんの弟子同士であれば、尚更
近くにいると思うんだけどな…
周りを見渡していると、木の影から2人の様子を伺っている男がいた。
あれだな。 と、気づかれないように近づく。
成る程
帰り道を狙うつもりだな
ま、当然といえば当然
私だってそうする
今の2人なら、兎の首を掻き切るより簡単
絶好のチャンス
男が隠れている木の前を、2人はゆっくりと通り過ぎて行く。
男は、まだ動かない。
まだ。
まだ…。
そして、何も起きないまま、2人の背中を見送った。
…………
どうしたんだろう?
他に何か目的があるのだろうか?
その時は、そう思った。
だがその真相は、3日後に明らかとなった。
……なるほど
コイツも精神面に難ありって事だったんだ
3日連続で、この絶好のチャンスを逃すなんて…
彼の行動と、オーラの流れから推測すると
ただの臆病者ってわけだ
いざという時に、一歩が踏み出せない
ある意味、致命的ね
――
―――
―――――
リズミカルに鳴る包丁の音。
いい匂いが立ち込めるキッチンに、吸い寄せられるように入って行く。
「今日はカレー?」
『残念、ハヤシライスでございまーす
ゴンは?』
「向こうでパームの相手してる」
『へぇ~
あの2人、意外に気が合ったりしてね』
「気が合うっつーか……あいつスゲーよな
パームの相手なんて
オレはぜってェ、無理!」
『キルアは苦手かもね
でも、話してるとかわいい所あるよ、パーム』
不器用で上手く愛情表現が出来ないだけで、すっごく一途だとか
恋話に目が無いトコとか、私なんかよりよっぽど乙女なトコとか
なんて言ったら、全否定された
自己チューだの、被害妄想が半端ないだの…
キルアって、見る目ないなぁ
話しは変わって、シュートの話題をふる。
『そういえば、もう1人の刺客には会ったの?』
「いや、近くにはいると思うんだけどさ」
『根暗そうな人だったよ』
「会ったのか?」
『うんにゃ
探しに行ったら、案の定いただけ
ナックル同様に、精神面に難ありって感じ』
「まぁ…今戦ったとしても、殆ど勝機はないだろうな」
『ふ~ん……ん』
「?」
横にいるキルアに、小皿を差し出す。
意図がわかっていないキルアに、味見を促した。
普通に受け取り、味見をした瞬間。
キルアの動きがピタっと止まった。
…待てよ
コレ、さっきカシスが味見してたやつだよな?
ってことは、もしかして
間接キス!?
気づいた時には、既に遅し。
ぽっぽっと、頬を染めるキルアとは裏腹に、カシスは訝(イブカ)しげな表情をする。
『キルア~? 感想は?』
「!? あ、あぁ…ウマいよ」
『何紅くなってんの?』
「あ~、いや……
コレ、間接キスだな~って…思って」
わざと口に出してみたものの、かなり恥ずかしい。
期待を胸に、カシスの反応はというと。
『あ。 もしかして気にする人?』
「え?」
『私は気にしないけど、気にする人っているじゃん?』
「いや…別に。 オレも…気にしないケド」
やはり、さりげなくかわされた。
気にしてんの、オレだけかよ……!
1人で盛り上がっていただけに、羞恥心も半端なかったようだ。
(…キルアって、間接キスは照れるんだ)
・END・
14/1/24
23/1/4(修正)
◇求婚したのはナックルでした!
そして、キルアが同情してしまうほど哀れだったようで・・・
でも、ナックルのキャラは結構好きな管理人
おまけ↓↓
「あ。 今日のご飯、ハヤシライス?」
『あったり~!
褒美に、味見させてあげよう』
キルアも使った小皿を、今度はゴンに渡した。
「おいしい!」
『良かった!
じゃ、ご飯にしよっか』
和気藹々(アイアイ)と、ご飯の支度をする2人。
ほんと
気にしてねぇんだな
あいつ…
ガックリと肩を落としたキルア君でした。
おわり