キメラアント編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「「『ビスケ!!?』」」
帰宅した3人を待ち侘びていたのは、プリティーなコスチュームに身を包んだビスケだった。
ビスケとはGIで別れたっきり、連絡を取っていない。 にも関わらず、何故ここにいるのか?
偶然居合わせたとは考えにくい。
実はビスケを呼んだのは、他でもないパームだ。 彼女の能力を使えば、容易な事だそうだ。
「さぁ、時間が惜しいわ…
開始しましょう
モラウの厮徒(シト)、抹殺計画……!』
「「(…いやです)」」
『(なんか…また、えらく濃いのが集まったなぁ……)』
と、思うカシスであった。
『でも、丁度良かったよ!
ビスケがいてくれるなら、時間を無駄なく特訓に使えるね』
「そゆこと」
「「??」」
頭に?を浮かべる2人を他所に、特訓を開始した。
特訓その1。
”練”を3時間維持すること。
これは、念同士の戦いにおいて基礎中の基礎であると同時に、最も重要な事でもある。
しかしながら、”練”を10分間延ばすだけでも、一か月はかかると言われている。
そう
絶対的に時間が足りないのだ。
だから、パームはビスケを呼んだのだろう。
ビスケの念能力・まじかるエステのクッキィーちゃん。
彼女の”桃色吐息(ピアノマッサージ)”は、30分で8時間の睡眠に相当する休息効果が得られるのだ。
それを繰り返すこと数日。
ギリギリだが、2人共3時間の維持を達成した。
倒れ込む2人に、容赦無くビスケからの鞭が振るわれる。
「ハイ、立って!!
すぐに出かけるわよ!!」
「え~……、どこへ…?」
「ナックルのとこだわさ」
「「!?」」
「何しに行くんだよ!?」
「も~~~
決まりきったこと、聞くんじゃないの
決闘!!」
フラフラの2人を立たせ、ナックルの元へ向かわせた。
特訓その2。
これから毎日、3時間の”練”。
その後、ナックルに挑戦。
負けそうになったら逃げて、次の日リベンジ。
と、いうものだった。
・
2人が出かけて行った後、何かをするわけでもなく時間が過ぎていった。
窓から空を見上げ、一つ溜息を吐く。
「どうしたのよさ
溜息なんかついて」
『ん~……ちょっと、ね』
隣に来たビスケも、カシスと同じ様に窓の外を見上げた。
『ねぇ、ビスケ』
「ん?」
『私ってさ
あの2人に、必要…かな?』
カシスに顔を向けるビスケ。
そこにある表情は、いつもの元気な彼女はいない。
どうしたのか聞いてみた。
『ビスケがいれば、私が2人の特訓を見る必要はないし
食事は、パームが美味しいご飯を作ってくれる
じゃあ、私は…
私は、2人に何をしてあげられるんだろう…って思って……』
ここに居てもいい
居る意味があった
けど
今は 何もする事がない
してあげられる事がない
なら 2人の傍にいる意味は
あるのだろうか?
ここ数日
そんなことばかり考えていた
自分は
何の役に立っているのだろう…
最初は、素朴な疑問だった。
しかしそれが、こんなにも大きな渦になって、自分を支配している。
疎外感と不安。
今まで こんな事
考えもしなかったのに
悩むカシスに、ビスケは微笑みながら口にした。
「それだけ、アンタが変わったってことね」
『え?』
「気づかない?
私が初めて会った時のアンタは、一匹狼みたいな所があったわよ
でも、今はどう?
カシス自身が、あの子達と一緒にいたいって思ってるんじゃない?」
『……確かに』
「いい傾向じゃないのよ
あの2人といて、楽しいんでしょ?」
『うん』
「だったら、余計な事考えないの
一緒にいたいなら、一緒にいればいいんだわさ!
あの2人が、それを拒む事はないんだから」
『そう…かな』
「そうよ!」
得に、キルアは
とは、口にしない
カシスが思っている以上に、2人にとって貴女の存在は大きいと思うわよ
――
―――
日付が変わる前。
疲れ果てたゴン、キルアが宿に戻ってきた。
そして、ビスケの開口一番がこれだ。
「どうしたのよさ、ソレ」
ゴンが背中に背負っているのは、間違いなく倒すべき相手のナックルだ。
気絶しているようだが…。
ゴンとキルアが勝ったようには見えない。
ビスケが事情を聞いたところ。
ナックルと対峙した2人。
だが、2人を見たナックルは激怒。
子供というのもあったが、それ以上に疲れ果てていることにだ。
ナメられていると思い込んでも無理はない。
激怒したナックルは、ゴン達との力の差を見せ付けるため、殴れと告げた。
一歩でも自分が動けば、2人を認めると。 出来なければ、割符を置いていく条件で。
その結果が、コレだという。
何と言うか……バカだわね
と、呆れるビスケ。
当然だろう。
「んで、ほっとけばいいものを
わざわざ連れてきたってわけね…」
「うん。 あのまま、置いておくわけにはいかないし」
寝室へ入り、ベットにナックルを寝かせた。
すると何かに気付いたのか、キルアが周りを見渡した。
「あれ、カシスは?」
「カシスなら………
買い出しに行ったけど……そういえば遅いわね
あんた達が出て行ってから、すぐ出掛けたはずだわよ?」
時計を確認するキルア。
自分達が出掛けて、かれこれ1時間近くになる。
いくらなんでも遅すぎる。
焦りを見せるキルアに、寝室からゴンも出てきた。
「キルア、オレも行くよ!」
「よし
ビスケは、ここにいろよ
カシスが帰ってきたら、連絡くれ」
「わかったわさ」
バタバタと出て行く2人を、ニヤリと口角を上げ見送るビスケ。
悪い顔だ。
これであの子も、不安だなんて言えないわね
・
星が輝く夜空の下。
今度は、カシスを探しに出陣する。
「オレはこっちを探す
ゴンはあっちを頼む」
「わかった」
『2人共、帰ってたんだ
また、どっか出掛けるの?』
正に足を一歩踏み出したところに、探し人であるカシスが帰ってきた。
驚く2人は、直ぐに駆け寄った。
「よかった~
今探しに行く所だったんだよ!」
「帰りが遅ぇから、なんかあったのかと思ったじゃねーか」
『? ただコンビニに、アイス買いに行ってただけだけど…
出てきたのだって10分くらい前だし
ビスケにも言って出てきたよ?』
それを聞いた2人は、目を点にして顔を見合わせた。
そして、盛大な溜息と共に項垂れた。
ビスケに、してやられた。
2人から理由を聞き、そう確信した。
『実際、そうだったとしても心配いらないでしょ!
それなりに強いですから』
「だとしても、心配だよ
カシスは女の子なんだから!」
「変な野郎の口車に乗せられたら、付いて行きそうだもんな」
『(いや……それはないだろう…)』
「それに
カシスがいないと、なんか落ち着かないっていうか」
「あ~、なんかソレわかる」
「だから、オレもキルアも帰って直ぐに、探しに出て来たんだよ」
………そっか
私は
何を 不安になっていたんだろう
2人の役に立つとか
何かしなきゃいけないとか
そんなの 関係なかった
理由なんて
いらなかったんだ
「なにやってんだよ
早く帰ろうぜ」
前を歩く2人の背中
嬉しくて
嬉しくて
顔が緩まずにはいられない
『待ってよ! ゴン! キルア!』
「わっ!」
「なっ!」
先に歩く2人の後ろから、勢いよく腕を組んだ。
「な、なんだよ! いきなりっ」
『べっつに!
ほら、帰るよ』
少し紅くなるキルアと、笑うゴン。
3人の月に照らされた影達は、ぴったりとくっついたまま。
何があっても
離れないように…
・END・
14/1/3
23/1/4(修正)
◇仲良しな3人でいてほしい