キメラアント編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次の日。
再び掲示板の確認に行った。
しかし、昨日の返答ごと消されていた。
『確認したってことだね』
振り返ると、左腕を布で首から吊っているカシスの姿。
朝一番で、近くの病院へ行ってきたのだ。
「カシス!
怪我の具合、どうだった?」
『縫っただけだから、大丈夫だよ』
「結構、深かったんだろ?」
『すぐに傷口を覆ったのが良かったみたい』
「ふ~ん
ま、その程度で済んでよかったな」
『うん』
「カシス、ごめんね
オレのせいで…」
しゅんっと項垂れるゴン。
素直に謝るゴンに、かわいいと思いながら笑顔を見せる。
『そう思うなら
きっちり修行して、早く戻れるよう力をつけること! ね?』
「……うん!!」
「あなた達が、キルアとゴンね」
話し込んでいると、後ろから声を掛けられた。
振り返ってみると、ワンピースにサンダル。
ウェーブのかかった、腰下辺りまでの長い黒髪の女性が立っていた。
3人は思わず、う…と顔を顰(シカメ)る。
何故なら。
その女性の放つ空気が、異様だからだ。
風貌もそうだが、例えるのなら、有名なホラー映画に出てくる”貞●”のようだ。
女性は構わず、パームと名乗り。 会長からの詳しい話をすると、3人を連れて喫茶店へと向かった。
――
―――
喫茶店へ入り、4人掛けのテーブルに1:3で座った。
キルアを真ん中に、窓側にゴン、通路側にカシス。
「私は、ノヴ先生の弟子なの」
「誰?」
『ネテロ会長と一緒にいた、黒髪の人だよ』
「先生って、素晴らしい人よ
クールで知的で冷静で…あ。 冷静はクールと同じ意味ね、やだわ
あ
でも、尊敬してるだけよ
別に恋愛感情は………………………ない……とは言い切れないかも
うふふふふふふ」
不気味な笑い声に、どん引く3人。
聞いてもいないのに、マシンガントークのように、話が途切れない。
どうやら、師匠であるノヴの話になると熱が入るようだ。
そして、何より気になるのは、BGMの如(ゴト)く、珈琲に砂糖を入れる音だ。
終始聞こえるその音は、珈琲カップが山盛りになるほど。
話よりも、そっちが気になって仕方がない。
「だって大切だものね
相手を尊敬できるかどうかって、恋愛に
あ! もちろん、こんなこと先生は知らないわよ
何も言っていないし、これからも………………」
あ、止まった
マシンガントークが止まったかと思ったら、くるくるとティースプーンで珈琲を掻き混ぜ始めた。
ゴキュ
ゴギュ
ゴキュ…
うわぁ……飲んでる…
アレ
すでに、液体じゃないんじゃ……すごい音してるし…
そう思ったのは、カシスだけじゃないはずだ。
「………………わからないわよね
先の事なんて
だってだって
恋愛って突然、発展するものじゃない?
そう思わない?」
「えーと、ちょっといい?」
何事も無かったかのように、普通に始まるマシンガントーク。
ツッコミどころ満載だが、いい加減に痺れを切らしたキルアは、本題を聞くことに。
パームの話によると、ある条件が出されたのだと言う。
条件とは、モラウの弟子である、ナックルとシュートを倒すこと。
彼等にも、何らかの条件が出されているようだが。
とにかく
NGLへ行けるのは、どちらか一組だけのようだ。
そして、期限は一ヶ月。
・
まだ、太陽が真上に昇る前。
のんびりと時間が過ぎていく中、その街並みには似つかわしくない大声が響き渡った。
「オレの名はァ、ナックル=バイン!!
ビーストハンターだァ
討伐隊候補者2名にィィ、決闘を申し込ォーーーーーーーーむ!!
今夜0時ちょうど!!
尋常に、オレと立ち合えい!!
オレは逃げも隠れもしねェ!!
武器も仲間も持たねェ!!
身ィ一つで待ってるからな!!
正々堂々と勝負しろ!!」
リーゼントに白の長ラン。 背中には、”喧嘩上等”の幟(ノボリ)。
拡声器で声を張り上げる姿は、うん十年前の不良そのものだ。
そう思いながら、悠々とナックルの横をすれ違うキルアとカシス。
周りの視線は、当然ながら彼に集中している。
そして何故かキルアの横では、クスクスと笑いを堪えているカシスがいた。
「何がそんなに面白いんだよ」
『え? 何がって…
見た目から、言動、行動
極めつけは、決闘場所がわからない所!
どこを取っても、面白いじゃん?」
「いや…じゃんって言われても…
お前の笑いのツボって、よくわかんねーよな」
『そう?』
前に、キルアがハンターになったら、自分の家族を捕まえて売り捌く。 とか言った時、爆笑していた事を思い出す。
朝の散歩(じゃないけど)を終え、近くのレストランでゴンと合流した。
テーブルの上には、珈琲やジュース。
サンドイッチにサラダ、デザートのケーキまで置かれていた。
「なんとかして、オレ達をあぶり出す気だろ
本気で、あんなコトするバカはいないよ」
「そいつ、強そうだった?」
「…………かなりな」
今朝、会ってきたナックルの印象を、ゴンに伝える。
確かに
あの、ナックルって人
強いと思う
今の2人じゃ
到底、勝てないだろうな
GIで力はついて来たといっても
まだまだ、スタート地点から走り始めたばかり
やっぱり
絶対的に、実践経験が足りない
特にゴンは…
となると
この一ヶ月で、どこまで基礎能力を上げられるか…か
まずは、”練”の持続時間を長くさせて、それから……
「カシスってば!!」
『!!? ……なに?』
「なに? じゃねーよ
聞いてなかったのか?」
『あ、うん……』
2人の特訓プランを考えていたカシスは、全く話を聞いていなかった。
だが、カシスのその言葉に、ゴンは爛々と目を輝かせた。
「え! カシスが修行見てくれるの!?」
『あ……ごめん
私、勝手にそのつもりでいたんだけど…』
「カシスが教えてよ!
オレ達だけじゃ、どういう修行すればいいか、わかんないからさ
ね、キルア!」
「そういう事
てか
初っから、そのつもりだったし」
『…わかった
じゃ、帰ったら
早速始めようか』
「「おー!」」
声を上げる2人に、笑みを浮かべる。
なんだか…嬉しいな
私も
ちゃんと、2人から必要とされてるんだって
ここにいても、いいんだって
言われてるみたいで
すごく
嬉しい
ありがとう
ゴン
キルア
「あ。 で、カシスの意見は?」
『……………何が?』
この後
家路に着く3人を待っているのは、思いもよらない人物だった。
・END・
どうでもいいおまけ
レストランでの話を、再度カシスに聞かせたキルア。
その上で、カシスの意見を聞くことに。
『……なるほどね』
「カシスはどう思う?」
『私なら、ケースバイケースかな
その時の状況に応じて、考え方を変えるよ
念での戦闘は、相手の能力が判らないのが普通
その状況下で、戦って勝てるくらいの強さが要るっていう、ゴンの考えは最もだと思う』
「うん!」
「…ム」
『けど、下準備が必要な勝ち方だって重要な事
相手の情報を何も得ずに、突っ込んで行くのは馬鹿のすること
情報収集は、ハンターの基本だからね
戦闘においても、それは同じ」
「♪」
「う~ん…」
『だからと言って、情報ばかりに捕われても墓穴にハマってしまうこともある」
「偽情報を掴まされたり、とか?」
『それもある
じゃあ
情報を集めた結果、勝率が上がらなかったら?
それ程、相手との力の差があったり、相性が悪かったりしたらどうする?
戦うのを止める?
逃げ出す?
答えは、否
何故なら
私達は、”プロのハンター”だから』
「…」
「…」
『”もしも、倒すために足りない物があるとすれば
敵を観察し、分析する力”』
「それ、GIで」
『そ! ビスケが言ってたこと
正しく
その力を磨けば、力の差があっても勝機を見いだせるってこと
モラウって人が言いたかったのは、そういう事だと思うよ』
「……なんか」
「カシスって、やっぱり凄いね」
『まぁ、なんにせよ
最低限の強さと知識は、必要だけどね』
「やっぱそこは、必要なんじゃねーか!」
『当たり前でしょ!
土俵に上がれなきゃ、話になんないし』
最終的に、答えになってないカシス。
何やら、キルアと言い合いを始めた。
「(カシスって……やっぱ凄い!)」
2人の言い合いを、まるっきし聞いていないゴンは、1人大いに感心を抱いていた。
終わり
13/12/20
23/1/4(修正)
◇本当に、どうでもいいおまけだった・・