キメラアント編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
3人を見送ったカシスは、風に靡く髪を耳にかけた。
闘う前に
戦意喪失してもらったら、困るから
3人の強さを、過小評価しているわけではない。 自分よりも、力も経験も豊富なことは百も承知。
それでも
あの禍禍しいオーラは、脅威に成えるから。
だから、あえてその部分は伝えなかった。
向きを変え、キルアの元へ。
割符を眺めているキルアに、声をかけた。
『キルア、行こっか』
「…あぁ」
ゴンを背中に背負い、スピン達のトラックに乗り込んだ。 最寄りの街へと乗せて行ってもらうために。
トラックは走り出し、NGLから離れて行く。
その道中。
終始キルアから、口を開くことはなかった。 ずっと俯いたままだ。
脅威に晒されたからなのか
それとも
自分達だけ戻ってきた 罪悪感からか
どちらにしろ 初めてだ
キルアが
こんなにも 沈んでいるのは
気が重い中、街に着いたキルア達。
街の駅に寄り、掲示板を確認した。
そこには、キルアとゴン宛てにメッセージが書かれていた。 ネテロが言っていた刺客からだろう。
『”返答やいかに?”
どうする? キルア』
「…」
『一先ず、どこか部屋を借りようか
ゴンを休ませたいし…
闘うにしても、修業するにしても、拠点は必要だからね』
頷くキルアを連れて、部屋を借りることにした。
――
―――
2LDK程の部屋。
値段の割には、結構いい所だ。
寝室のベットにゴンを寝かせ、一息つく。
窓辺に立つカシスと
そのままベットに座り込み、項垂れるキルア。
その落ち込み様は、キルアらしくない。
仕方がないとカシスは、キルアの正面に立った。
『キルア、どうしたの?』
「…」
『もしかして、カイトの事気にしてる?
仕方がないよ、あの状況じゃ』
「何で、そんな…いつも通りなんだよ」
『え?』
「オレ達は、カイトを見殺しにしたんだぞ!
…いや
お前とカイトの2人だけなら、こんな事にはならなかったはずだ
お前だって、そんな大怪我しなくて済んだかもしれねーのに……
オレ達がいたから!
オレ達のせいで……」
ばっと上げたキルアの顔は、自責の念で歪んでいた。
G.Iをクリアしたことで、強くなった気でいた。
でも、実際は
自分の力を過信していたに過ぎなかった。
結果。
カイトを見殺しにした。
カシスは、小さく息を吐いた。
『結果を見て言うのは、誰にだって出来る
けど、結果なんて誰にもわからない
起きてしまった過去を悔やんだって、結果が変わるわけじゃないよ
だから』
「もっと恨めよ!
お前のせいだって、文句ぐらい言えよ!!
オレのせいで、カイトを見殺しにしたんだぞ!」
感情的になるキルアの胸倉を掴み、引き寄せた。
『自惚れんな!!
私達が、カイトを見殺しにしたんじゃない!
カイトが、私達を逃がすために残ったんだ!』
言うだけ言って、乱暴にキルアを離した。
『カイトが私達を逃がした意味を、履き違えないで』
「…っ」
そういえば
前にも、こんな事があったな
あの時は
キルア、自分の事”殺人鬼”って言ってたっけ
今も まだ
そう思ってるの?
キルアは 気付いてないだけだよ
『……悔しいなら、強くなればいい』
「…」
『じゃないと、カイトのしたことが無駄になる』
「…カシス」
キルアの隣に座り、膝の上にある手に自分の手を重ねた。
視線を向けるキルアに微笑んで見せる。
もう
あの頃と 違う
キルアの心は
少しずつだけど ちゃんと 真っ直ぐ育ってる
仲間を思って 自分を責める事が出来るんだから
今回の壁も
乗り越えられるよ
「そうだよ、キルア」
話し声が聞こえていたのか、ゴンの意識が戻っていた。
起き上がったゴンは、曇り一つない瞳でキルアを見つめた。
「カイトは、生きてる!
でも…あれだけのケガ
直ぐには動けない
だから、早く戻ろう!
強くなって!!
カイトを助けに!」
2人の言葉に、胸に渦巻いていたモヤが、スッと晴れていった。
カシス
ゴン…
お前らは 光だ
「ああ、そだな」
時々 眩しすぎて
真っすぐ 見れないけど
それでも
2人の
傍にいて いいかな……?
・END・
13/11/28
23/1/4(修正)