ハンター試験編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ジリリリリリリ…。
けたたましいベルの音に、カシスは目を覚ました。
「只今をもって、受付時間を終了致します」
『ん…何、始まる?』
「みたいだな」
くわ~っと伸びをして立ち上がると、試験官からの注意事項を聞かされた。
「では、こちらへどうぞ」
ぞろぞろと、後に続く受験生達。
…あっ
あそこにいる子、キルアと同じくらいかな
釣竿を持った、ツンツン頭の男の子。
余所見をしていると、いつの間にか走り始めていた。 先頭のスピードが上がったのだ。
「申し遅れましたが私、一次試験担当のサトツと申します
これより皆様を、二次試験会場へご案内致します」
そう告げるサトツ。
すでに、一次試験は始まっていた。
二次試験会場まで、付いて来ること。
これが、一次試験の内容だ。
「つまんねぇテストだな」
『そう?』
「付いてくだけだろ…かったりー」
『でも、深いとこまで考えられてるテストだと思うよ
どこまで走ればいいのか
いつまで走ればいいのか
これは、かなりの心理的負荷になる』
「だとしても、つまんねぇのに変わり無いね」
『確かに。 退屈そうな試験かも』
一時間程、大人しく走っていたキルアが突然愛用のスケートボードに乗り出した。
『キルア?』
「退屈だから、前の方に行ってくる」
『へ~い』
返事を聞くやいなや、スーッと人の間を縫って行ってしまった。
だが、意外にもキルアは直ぐに戻ってきた。
『おやおや、早いお帰りで』
「カシス、後ろ乗れよ」
クイクイと、自分の後ろを親指で指す。
当然、疑問が出た。
『なんで?』
「いいから乗れよ!
お前に会いたいって奴がいるから」
確かではないが、ここに顔見知りはいないはず。
だが、今聞いても”乗れ”の一点張りのような気もするので、素直にキルアの後ろに乗ることにした。
「ほら」
と、キルアが右手を差し出してくれたので、その手を取り、後ろに飛び乗った。
果たして、スケボーは2人乗りが出来るのだろうか…という素朴な疑問は置いておこう。
暫く行くと、キルアが誰かを呼んだ。
「おーい、ゴン!」
「キルア!」
笑顔で振り向く少年。
釣竿を持った、ツンツン頭の男の子。
あ、あの子だ
そう思って、キルアの後ろから顔を覗かせた。
すると、少年もカシスに気づいたようだ。
「あ! キルアと一緒にいたお姉さん!」
満面な笑顔を向ける少年は、まるで太陽のようだ。
スケートボードを降り、少年の隣を走る。
『この子?』
「あぁ」
「お姉さん、名前は?
オレはゴン! ゴン=フリークス」
その名前に驚いた。
フリークス?
…他人の空似…ってわけでもなさそう
そう言えば
前に師匠から、私と同じくらいの息子がいるって聞いたことがある
もしかして、この子…
『私はカシス。 よろしく、ゴン』
「うん!」
「お! キルアの連れだって聞いたから、どんな子かと思ったが…
結構、可愛いじゃねぇか」
スーツ姿にサングラスをしたオジサン(?)が、話に入ってきた。
ゴンによると、彼はレオリオ。 その向こうで走っている金髪の青年が、クラピカ。
2人共、試験会場に来る途中で知り合ったそうだ。
ワイワイしながら走ること数時間。
出口が近いのか、ラストスパートと言わんばかりにスピードを上げる試験官のサトツ。
それだけならまだしも、出口が見えないほどの地上へと続く長い階段。 恐らく、この階段でかなりの脱落者が出るだろう。
「レオリオ、大丈夫か?!」
「おう!! 見てのとーりだぜ
なりふりかまわなきゃ、まだまだいけることが分かったからな!!
フリチンになっても走るのさーーー!!
クラピカ! カシス!
他人のフリするなら、今のうちだぜ」
雄叫びを上げながら駆け上がって行ったレオリオ。
置いてけぼりにされた2人は、顔を見合わせ笑った。
「カシスは、何故ハンターに?」
『私の師匠を探し出して、捕まえるため!』
「捕まえる?」
『そ! 師匠に一人前だって認めてもらえる為の、言わば卒業試験ってとこかな
そのために、ハンターになる必要があるんだ』
「ということは、カシスの師匠は…」
『ハンターだよ』
超一流の…ね
『私も一つ、聞いていい?』
「あぁ」
『クラピカって、もしかして…クルタ族?』
冷静沈着なクラピカでも、流石にこの質問には動揺を隠せないでいる。
何故わかったのか?
いや
何故、知っているのか
クラピカから来た返事は、予想通りだった。
『クラピカの上着の紋様、クルタ族のものでしょ?』
「あぁ、確かにそうだが…どこで、そのことを?」
少し空気が、ピリッとした。
警戒されてるかな
当り前か
確か、クルタ族は皆殺しにされたって聞いたから
クラピカから顔を逸らし、正面を向いた。
『私、小さい頃に師匠に連れられて、クルタ族の村に行ったことがあるんだ
その時に…』
「そうか…」
『気を悪くしたのなら、謝るよ』
クラピカの纏う空気の変化に、敏感に反応した。
だがクラピカは、むしろ知っている人に会えて嬉しいと言った。
となると、クラピカのハンター志望理由は…恐らく
「幻影旅団を捕らえ、同胞の眼を全て取り戻す」
『…そっか
お互い頑張ろう! まずは、試験合格に向けて』
復讐…
止めろ
とは、言えない
いや
言う権利も、私にはないのだろう…
彼の事を、何も知らない私が
何を言えようか
ただ
これだけは…
復讐からは、何も得られない
得られるとしたら
絶望感と
血塗られた、己の手のみ
虚し過ぎる結末を知っていても、尚彼の出す答えは”復讐”なんだ
何故かな
心が…痛い
・END・
11/11/9
15/9/12(修正)