G.I編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ゲームは、キルアと6番のジャンプボールから始まった。
先攻は、ゴンチーム。
「余裕こきやがって…
挨拶がわりに、かましてやるぜ!!」
ゴレイヌの投げたボールは、4、5番と連続ヒット。
喜ぶゴンチームだか、これでレイザーの方はゴン達を倒す準備が整った。
それが気に障ったのか、次にゴレイヌが狙ったのはレイザー。 一直線に、渾身の力を込めてボールを投げた。
しかしそれは、いとも容易く片手で止められた。
「さぁてと…反撃開始だ」
ボールを持っていたレイザーが立った位置は、コート内の後ろのライン際。 一瞬、パスかとも思わせる立ち位置。
だが
レイザーから放たれたボールは、一直線にゴレイヌの顔面へと飛んできた。
強……………!
速……
避………無理!!
受け止める
無事で!?
出来る!?
否
死
レイザーのボールが到達する一秒にも満たない間に、ゴレイヌの本能が考えたことだ。
そして、次の瞬間。
ボールは顔面へと直撃し、粉砕した。
だが良く見ると、粉砕したのはゴレイヌの念獣。 どうやら、自分と位置を入れ換える能力をもっているようだ。
しかし粉砕した念獣は、その破壊力に消えてしまった。
念獣が粉々に砕かれた
つまり
ゴレイヌがレイザーの攻撃を見て受けたイメージの結果
一瞬で自分との力の差を感じ取ったんだ
このイメージは、一朝一夕で拭いきれるものじゃない
恐らく
ゴレイヌはもうダメだ
この試合
思ってた以上に、苦戦するかも…
「さぁ、次行くぞ」
レイザーからの高速パスは、外野を目にも止まらぬ速さで経由していく。
早過ぎて、ボールの軌道を目で追いきれていないツェズゲラが狙われた。
寸前で、ゴンとキルアの声に反応。 咄嗟に背中にオーラを集中させ、致命的なダメージは回避できた。
が、とてもじゃないが試合に参戦できる状態ではない。
ツェズゲラもアウトになり、内野の残りは5人。
「(理想は、もう奴等にボールを渡さずにアウトを取り続けることだけど…)」
『ヒソカ』
「オーケー。 ボールを♣」
「(あ、そうか!!)」
ヒソカの”伸縮自在の愛(バンジーガム)”なら、ぶつけたボールを手元に引き寄せることが出来る。 そうすれば、何度でも攻撃が可能だと考えた。
これで残る関門は、レイザーただ1人。
かと思いきや。
6、7番が合体して13番となった。
ヒソカのボールを受け止め、離さない。
ヒソカも引き寄せようとするが思いの外、力が強かった。 仕方無しにオーラを外すヒソカ。
攻守交代。
レイザーが狙うは、ゴン。
スピード、威力共に先程の比ではない。
ゴンもそれを承知で、”堅”から”硬”に瞬時に切り替えた。
ボールがぶつかった瞬間、後ろへ吹っ飛ばされ、壁に激突したゴン。
”硬”で、手と頭を防御したせいで、足の踏ん張りが効かなかったのだ。
「ゴン!!」
『大丈夫!?』
「全然へーき!!」
「じゃねーだろ」
次は絶対取る! と、意気込むゴンは、”バック”は自分が使うと宣言。
言い出したら聞かないのがゴンだ。
仕方無しに、彼の思うようにやらせてあげることにした。
ただし
ビスケから、一つ条件。
ゴンは、これでアウト。
内野は全部で4人。
”バック”は、内野が2人になってから使うこと。
天井にめり込んだボールの落下地点は、レイザーのコート内。
よって、レイザーチームのボールで試合再開。
「さて…と
次は、誰かな!?」
勢いをつけてレイザーからは、驚異的なボールが放たれた。
狙いは、キルア。
どうする!?
………ムリだ!!
受け切れない
ここは、よけるしか…
咄嗟に、左へ動いた。
『キルア! 右!!』
「っ!!?」
左へ避けようとしたキルアの身体を、カシスは右へ押し倒した。
するとボールは、カシスの頬ギリギリで直角に左へ曲がった。
本当に狙われていたのは、横一列に並んだビスケとヒソカ。
いや
カシスの咄嗟の行動がなければ
もしくは、これでゲームセットだったかもしれない。
ヒソカは、外野からのリターン攻撃を上手く受け止めた。
しかし、避けたはずのビスケはアウトを宣言されていた。 避ける際、スカートの裾をボールが掠(カス)めていた。 服も身体の一部と見なされるようだ。
カシスに助けられたキルア。
「カシス助かったぜ……?」
俯くカシス。
何やら様子が変だ。
「カシス、どうしたんだよ?」
『…なんでもないよ』
「?」
あのまま
キルアが、左に避けていたら…?
私が、気付くのが遅れていたら……?
恐らく キルアは
死んでいた…
ギリッと拳を握る。
このゲーム
絶対、勝ってやる
・
『ヒソカ、ボールちょうだい』
「ん♦ 何か策でもあるのかい?」
『レイザーに”バック”を使わせる』
「使わせるって言うけど、方法あんのか?
向こうにボールが渡れば、高確率でこっちの人数が減るんだぜ
下手したら、ゲームオーバーの可能性だって」
『わかってる
でも、”バック”を使わせることが出来れば、少なくとも今よりかは、状況がマシになる』
「…確実に使わせられるのか?」
『8割程度、かな
しかもこの方法は、念獣には通じない上に、通用するのは一回こっきり
二度目は通じない』
8割…
下手に投げるよりも、戦況はかなり良くなるか
それなら
ボールを持ったカシスは、ぐっと両手に力を入れた。
「(今度はあの子か…
どんなボールを投げてくるかな)」
期待を胸に、身構えるレイザー。
カシスは、腕からボールにかけてをオーラで覆った。
よし
勢いをつけ、ボールをレイザー目掛けて投げ飛ばした。
ヒソカのボールと引けをとらないほどの威力。
バシィイ!!
申し分ない威力
だが、この程度なら取れなくはない!
レイザーは、がっちりと両手で受け止めた。
「!?」
確かに受け止めたはずのボールは、レイザーの手から地面へこぼれ落ちた。
誰もが予想だにしなかった光景。
理解していたのは、投げた本人と受けたレイザーのみ。
「……なるほど
これは、一本取られたな」
ボールに込めたオーラを、変化させていたわけか
「お前…一体何したんだ?」
『オーラを電気に変化させて、ボールに纏わせて投げただけ』
「!」
『キルア程じゃないけど、相手の手を一瞬痺れさせるくらいはできるから』
「…スゲーな…お前」
そんな使い方もあるのか、と素直に凄いと思った。
カシスは具現化系だが、隣に位置する変化系も得意なのだ。
しかし、放出系は苦手とするため、手を一瞬痺れさせるくらいの威力しか出せなかった。
レイザーは”バック”を宣言。
これで、多少こちらにも優勢の兆(キザ)しが見えてきた。
しかし、今の攻撃で相手ボールとなってしまう。
だが、それも想定内。
カシスには、レイザーのボールを取る秘策を見出していた。
上手く受けきれるかは、五分五分
タイミングが鍵
寸分の狂いも許されない
取る気満々のカシスに、レイザーは口角を上げた。
投げてこい、ってことか
おもしろい……だが
レイザーの放ったボールは、一直線にカシスへと飛んでいった。
待ち受けるカシスは、両手を組み、腕を伸ばして腰を落とした。 例えるなら、バレーボールのレシーブの構えだ。
ボールに集中するカシスとは裏腹に、レイザーの口元は怪しく笑っていた。
その答えは、コンマ数秒後に明らかとなる。
カシスがレシーブしようとした瞬間。
先程と同じように、ボールは直角に曲がった。
なっ…!!
カシスが気付かなかったのも無理はない。 先程のボールは、シュート回転をしたボールだったからだ。
だが、このボールには全くそんな回転はなかった。
いや
今はそれよりも、ボールの飛んでいった方角の方が重要だ。
その先には
キルアが…っ!
最初から、狙いはキルアだった。
意表をつかれたキルアは、反応しきれていない。
このままでは
死。
言葉が脳裏を霞めた。
やばい
避けきれない!
腕を顔の前に出し、防御体制に入るが、ボールは目前。
間に合わ……っ!!
・
「キルアーーっ!!」
地雷が爆発したかのような、爆発音と衝撃。
体育館中の人間が、土埃の上がる一点に目を向けた。
心配の表情をするゴンとビスケ。
土埃が晴れてくると、尻餅をついたキルアの姿が確認できた。 ほっと胸を撫で下ろす2人。
だが何が起こったのかは、状況が把握できていない。
それは、目の前にいたキルアも同じだった。
何が起きたのか。
土埃が晴れた目の前には、少し抉(エグ)られた地面に拳を減り込ませたカシスの姿があった。
あの物凄い衝撃音の正体はこれだ。
だが、一向に状況が把握できないのは何故だ?
そう頭に疑問が浮かぶと、目の前のカシスがケロリと笑った。
『ごめん
アウトになっちった』
……………は?
状況についていけてないキルアを余所に、審判からはアウトの宣言が上がった。
『ねぇ、ボール壊しちゃったけど、こっちのボールからスタートでいいんだよね?』
「はい
カシス選手はアウトになりますが、破壊されたボールの位置は、ゴンチームのコート内ですので」
『よかった!』
その会話で、さっき何が起きたか思い出した。
ボールが当たる寸前。
カシスの拳が、ボールを地面へ叩き潰したのだ。
漸くスッキリしたキルアは、外野へ行こうとするカシスの腕を掴んだ。
「カシス!」
こちらを向かせた彼女は、いつものカシスだった。
『あとは、頼んだよ!』
ぽんっと肩を叩き、カシスは外野へと出て行った。
腑に落ちない表情をするキルア。
………気のせいか?
あの時
一瞬だけど
あいつの瞳
碧色だった気がしたんだよな…
引っ掛かりはしたが、あえて聞かなかった。
自分自身でも、はっきりそうだったと言えないからだ。
もんもんとするキルアの後ろでは、興奮を抑えようと右手で自分の顔を覆っているヒソカがいた。
あぁ…いい………♥
やっぱり、キミは
僕を興奮させる て•ん•さ•い♥
このコート上の変態に気付いたのは、極わずかだったとか。
カシスは外野に出る際、コートの外ではなく、わざわざレイザーの横を通って行った。
レイザーの顔は驚き、褒めたたえるような表情だった。
「驚いたな
あの一瞬で、ボールに追い付き粉砕するとは…」
『…』
「?」
『次、またあんなことしたら
あんたの首、飛ばすから」
「っ!
………肝に命じておこう」
一瞬見えたカシスの瞳。
それを、レイザーは知っていた。
そうか
あの子が、ジンの言っていた…
少女の背中を見ながら、嬉しそうな表情になるレイザーだった。
・END・
13/3/16
22/12/22(修正)