G.I編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そよ風の中、既に見えなくなった少女の背中を未だ見続けていた。
彼女のあの表情が、頭から離れなかったから。
迷惑…だったのだろうか
いや
そんな感じではなかった
だからと言って
他の誰かに想いを寄せている、という感じでも無かった
私の想いに…
もしかすると、他の誰かでも
彼女の答えは、同じだったのかもしれない
答えられない理由が
何か、あるのだろうか……
――
―――
―――――
山の中に聳(ソビ)え立つ、大きな古城。
その門前で、古城のでかさを見上げる少女がいた。
執事に案内された部屋には、数十台のパソコンに繋がれたグリードアイランドと、ツェツゲラが待っていた。
『流石、大富豪バッテラ
グリードアイランドをこんなに沢山所持していたなんて』
「時間が無い
説明を聞いたら、すぐにゲームに参加してもらう」
簡単な説明を受け、ゲーム機の前に立つ。
『それじゃ、行かせてもらうね』
ゲーム機に両手を翳(カザ)す。
ドクン
ドクン……
この先に何が待っているのか
すごく、ワクワクする!
”発”をすると、ゲーム機が光り出した。
絶対
見つけ出してやる!
・
ゲームの説明を聞いたカシスが降り立ったのは、ゲームの中とは思えないほどの世界だった。
カシスが出てきた高床式の小屋がポツリとあるだけで、見渡す限りの大草原。
『すご……現実とあんま変わらない』
本当にゲームの中なのか? と、疑いたくなるほど。
戻って来ない奴がいるのも、頷ける。
にしても
『見られてる』
べっとりとへばり付いてくる、人特有の物だ
だけど、見渡す限り人影は見当たらない
となると
スタート地点の監視が目的か…
『ま! とにかく、進もう!』
暫く歩くと、空から異様な音が聞こえてきた。 鳥類の飛ぶ音ではない。
その音は、カシスの目の前に降り立った。
「ここは……スタート近くの平原か
ってことは君、ゲームは初めてかい?」
『…さぁ、どうかな?』
現れたのは、パンチの効いた髪型とヘッドフォン。 顔に4つのピアスを付けた男。
飛んできた……?
念能力?
いや、違う
それならオーラで分かる
じゃあ、今のは?
男はバインダーを出し、少し考えた後、カードを1枚取り出した。
「”追跡(トレース)”使用(オン)!!
カシスを攻撃!!」
同時に光の様な物がカシスに向かって飛んできた。 反射的に逃げるが、光の方が断然速い。
「キャハハハハァー!!
バーカ! ゲームの呪文(スペル)からは、どうやったって逃げらんね~よっ…」
調子に乗って大声を張り上げていた男の声は、途端にトーンを落とした。
男が気付いた時には、左手は後ろ手にあり
膝と顔面は、地べたに張り付いていた。
…………………え?
何が起きたのか全く分からない。
自分は、呪文を使っていたはず。
そんな表情だ。
『ねぇ、ちょっと聞きたい事があるんだけど
教えてくれる?』
男の背中に圧(ノ)し掛かり、手にはその辺に生えている草が握られていた。
だがそれは、そこらのナイフよりもよっぽど刃先の鋭い物。
例えるのなら、アイスピックのようだ。
念で強化した草を、男の項に突き立てる。
力を入れれば、男の項なんか簡単に貫(ツラヌ)けるだろう。
『教えてくれるよね?』
な……なんだ、こいつ
ただのガキじゃねぇ……
見た目とは裏腹に、小さな少女から発せられるオーラは、尋常ではない。
ここで”YES”以外の答えを出せば、確実に自分の人生は終わる。
それを悟った男は、素直にカシスの質問に答えることにした。
ここへ来た理由。
今掻(カ)けた呪文カードの事。
アイテムカードの入手方法などなど。
『じゃ、最後の質問
ビスケって名前のプレイヤーを知ってる?
ビスケット=クルーガー』
男はバインダーを操作し、プレイヤー名を確認する。
「あぁ…知ってるぜ」
『今、何処にいるか分かる?』
「アントキバとマサドラの中間辺りだ」
カシスは、男の背中から降りて解放した。
『聞きたい事はあらかた聞けたから、私に掻けた呪文は、それでチャラにしてあげる』
男は”再来(リターン)”で、そそくさと去って行った。
一先ず
何処かの町へ行った方が良いな
ゴンとキルアなら、ゲームを進めていけば、どっかで会うでしょ
・
懸賞の町・アントキバ。
ふ~ん、なるほど
さっきの男の話は、嘘じゃなさそうだね
食料と水も買ったし、地図も手に入れた
そろそろ、マサドラへ出発しようかな
「君、初心者かい?」
今日は、よく声を掛けられる日だ。
と思いつつ振り向くと、眼鏡を掛けた長身の男がいた。
自分達のパーティーに入らないかと、勧誘された。
今、このゲームには過激集団と呼ばれるプレイヤー狩りがいるらしい。
カードコンプリートの為に、他プレイヤーを殺す事を何とも思っていない奴らだ。
そんな奴らから身を守るため、このゲームをクリアする為に大人数で、ゲーム攻略を目指しているのだと。
そのための勧誘の様だ。
残念ながらカシスに、その気はさらさら無い。
「そうか……
もし、仲間になる気になったら連絡をくれ
歓迎する
それから
先輩としての意見だ
ソロでのプレイは止めといた方がいい
ほとんどの奴が、大なり小なりチームを組んでいる
狙われやすい上、不利になるからな
仲間を探す事をお勧めする
まぁ、がんばりな」
相手に激励の意を込めて肩を叩く仕草は、よくある光景だ。
だが
男が叩こうとしたその手を、カシスは払い除けた。
『ご忠告、ありがとうございます』
その場を離れた。
その後ろ姿を、怪しく見送る男。
アントキバ、町の出入口。
あの男
かなりの念の使い手だ
私も、あの瞬間まで気付かなかった
あの右手のオーラは、かなりのもの
どういう能力かは分からない
あれだけのオーラを纏っていたという事は、少なくとも相手に痛手を負わせる攻撃型
あるいは、殺すつもりだったか……
そのオーラを限りなく相手に悟られにくく、かつ自然体で行える
奴の言っていた”プレイヤー狩り”
まず奴は、その部類だろう
”綺麗な薔薇には棘がある”
とは、よく言ったものだ
正しく奴はそれだ
優しい仮面をした悪魔
いや
もしかしたら
”爆弾魔(ボマー)”
考えすぎかもしれない
けど、あの男は注意しといた方がよさそうだね
・END・
12/9/15
22/12/17(修正)
◆G.I編突入しました!
いよいよお師匠の正体が分かります☆(もう分かってるって?)
キルアとの恋の距離は、ほぼ平行線だと思われます。
が、しかし! G.I編ではキルアのヒロインに対する見方が”想い人”になっている、というところがミソです(>_<)
ただ、色々とヒロインのタネ明かしするのはキメラアント編に入ってからになります。