ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
交渉通り、人質交換は無事に終わった。
その直後。
クラピカは、高熱を出し倒れてしまった。
センリツの笛も効果が無く。
単純な疲労や病気ではないようだ。
『レオリオ
私がやってみるよ』
「やってみるって
どうするんだよ?」
『たぶん、精神的なものだと思うから、その辺をね』
「その辺って…」
『一先ず
皆、外で待っててくれる?』
レオリオの背中を押し、ドアの外へ出した。
「おい、カシス!」
『大丈夫だから! 任せて』
パタリと閉まる扉。
「ったく…………」
レオリオの心を何かが掻き立てる。
恐る恐る右手がドアノブへと伸びた。
しかし、それを予知していたのか、レオリオがドアノブに触れる前に、ゆっくりと再び扉が開かれた。
「!!!」
『言い忘れてたけど
終わるまで、この扉は決して開けることなかれ
いい? レオリオ』
「………はい」
全部、お見通しってわけね…
パタリと扉を閉め、クラピカの側に座る。
苦しそうな息遣い。
尋常ではない汗。
顔に張り付いた前髪を横に流し、頭に手を置いた。
『クラピカ…』
貴方は、人の死を背負って生きていけるほど
強くない…
今は
焦らないで
綺麗な金色の髪を、優しく撫でてやる。
『さてと』
カシスは、瞳を閉じて集中した。
左手に鉄扇を出し、閉じたままクラピカの足元の地面に突き刺した。
もう一つ右手に出し、頭の上に同じように地面に突き立てる。
スッと開いた瞳は、深い深い碧色だった。
クラピカに手をかざすと、緑色の淡い光が鉄扇を通し、クラピカを包み込んだ。
1時間ほど経過した。
開く扉に、外で待っていた二人が視線を集めた。
「クラピカは?」
『熱は下がってくると思うよ
センリツ、後でもう一度、笛の音を聞かせてあげて?』
「わかったわ」
「しかし、一体何をしたんだ?」
『それは
企業秘密ってことで♪』
「…」
『あ、レオリオ
ゴンとキルアは?』
「サザンピースのオークションに行ってるよ」
そっか
今日からだった
・
「あーーーーー! ムカツく!!
絶対受かって、アイツ黙らせるもんね!
言いたい放題言ってくれちゃってさ!」
『どうしたの? あれ』
「それがさ…」
帰ってくるなりムカつき度MAXなゴンに、何があったのかキルアに聞いた。
ゴン達がオークションに参加したのは、バッテラという大富豪を見つけるため。
バッテラは、グリードアイランドを数十台所有しており、クリアデータには500億もの懸賞金をかけているほどだ。
今回のオークションにも、来る可能性は高かった。
そして真の目的は、ゲームをやるため、ハンターとして雇われること。
欲しいのは、ゲームでなく中身。
発想の転換ってやつだ。
だが、そう上手くはいかず、門前払いをされたようだ。
なるほどね
練を見せてみろって言われて
素直に”練”だけを見せたわけだ
そりゃ、門前払いもされるわな
「そろそろ、次の段階を考えてもいい頃だと思うんだよな」
「次の段階?」
「”発”
つまり、必殺技さ!!」
ということで、2人は10日の選考会に合格すべく、修業を開始することに。
ゴンを部屋に残し2人は外へ出た。
『キルアはいいとして、問題はゴンか…』
「ま、こうでもしないとアイツすぐ横道にそれるからな」
『言えてる』
隣の部屋に入って行くキルアに、声を掛けた。
『んじゃ
私はちょっと出掛けてくるね』
「どこ行くんだ?」
じと目で見てくるキルア。
ニヤリと心で笑う。
『デ・ー・トv』
「は?!」
思った以上の反応に満足したカシスは、ぐっとキルアに近づき耳元で囁いた。
『ウ・ソv』
じゃね♪ と、出掛けて行くカシスを固まったまま見送るキルア。
不意に、右耳に手を宛てた。
カシスの
あの声と、微かな吐息がかかった耳は、紅く染まり熱を帯びていた。
……くそ…あいつ
これから修業だってーのに
余計な事しやがって…
こんなんじゃ、集中できねーだろ!
――
―――
建物の外に出て、空に向けてぐっと手を伸ばした。
さて
私も、ちょいと行ってきますか!
向かうは
バッテラ氏がいる高級ホテル
・
「こちらでお待ち下さい」
通された部屋は、溜息が出るくらい豪華な部屋。
数分たったころ、漸く現れた人物は…。
「待たせたな」
顎髭が特徴のツェズゲラだった。
ツェズゲラは、カシスの向かい側に座った。
「グリードアイランドの選考会についての話しだと聞いたが」
『はい
10日に、サザンピースのオークション会場で選考会が行われると聞きました
仕事の都合上、私は10日にはすでにヨークシンを離れています
そこで、先に審査をして頂きたいと思いまして』
大笑いしたツェズゲラは、微笑気味みにカシスに告げた。
「いや…突然笑ってしまってすまない
今日、君と同じ事を言ってきた子供が2人いてな」
『そうですか
(知ってるっつーの)
それで…』
「あぁ、審査だったな
残念だが、今回の選考会はその日にしか行われない
あとは、有能なハンターの枠しかないんだよ」
君みたいな子供に、使わせる枠はない。
そんな言い方だ。
やっぱり。 と思いつつ、内心で溜息をついた。
『私は、自分の力を過信しているわけじゃない
だけど、興味本位の馬鹿でもない
グリードアイランドから、帰還できるだけの力量は持ち合わせています
審査して、損はないと思いますよ』
強い眼光でツェズゲラを見上げた。
その眼差しに根負けでもしたのか、仕方無しにカシスの力を見ることにした。
ソファーを立ち、広いスペースへ移動する。
「では、練を見せてもらおう」
腕組みをし、目の前に仁王立ちするツェズゲラ。
なんか、ムカつく…
『では』
瞬きをした、ほんの一瞬だった。
気づいた時には、自分の膝が床に着いており、喉元には鉄扇が突き付けられていた。
余裕のあった顔は、見る影もない。
な、何が起きた………!?
いつの間に…っ
スッと鉄扇を納め、ツェズゲラを解放した。
「…」
『どうでしょう?
貴方の経験上、グリードアイランドで生きていけますか?』
「…あ、あぁ
これなら、十分合格だ」
『ありがとうございます!』
雇って貰えることとなり、説明と仕事のスケジュールを合わせた。
『ツェズゲラさん』
帰る際、カシスはツェズゲラに向かった。
「なんだね」
『貴方は、懸賞ハンターとしてグリードアイランドに参加しているんですよね?』
「ああ」
『人の事をとやかく言うつもりはありませんが、これだけは言っておきます
貴方は、とても経験豊富です
故に
自分の力を過信し、甘えていませんか?
その経験に見合うくらいの、日々の鍛練を行うことをお勧めします
でなければ、いつか足元をすくわれますよ?』
今の貴方なら
私は 余裕で
仕留められるから
・END・
12/8/26
22/12/17(修正)