ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一時的に止んでいた雨は、瞬(マタタ)く間に土砂降りとなった。
ホテルに戻り、作戦開始。
「さて…んじゃ
オレ、行くよ」
「キルア、気をつけてね!!」
「おう
任しとけって」
『何かあったら、電話するんだよ!』
キルアを見送り、残った4人は、車に乗り込んだ。
―――
――
廃墟をアジトとしている幻影旅団。
ネオンから盗んだ占いの能力により、ヨークシンに残る事となった。
単独行動は危険だと判断し、今後は班で行動する。
クラピカを探すため、ハンターサイトからネオンのボディーガードの顔写真のコピーを皆に配った。
「…こいつね」
「どうした?」
「シズクに痛手を負わせて逃げた奴ね」
二段目の左にある顔写真。
そこには、カシスの写真が載っていた。
「へぇ~、結構可愛い子じゃん」
「あんま、強そうには見えねぇな」
「実力がどれくらいかは知らねーが、オレの念弾を弾くぐらいの強さはある」
興味のある者、無い者、まちまちだ。
「フランクリンの念弾を弾き返せるなら、入団させるのも面白いかもね!」
冗談を言うシャルナークに、野次が飛んだのは言うまでも無い。
「そいつになら、セメタリービルで会ってる」
「マジ?!」
「ああ
というか…すでに、フラれてる」
………。
はぁああ!!?
それには全員、ギャグ漫画の様な驚き顔だ。
「何!? 団長入れるつもりだったの?」
「即答で返された時は、一瞬どうしようかと思ったな」
旅団員に欠員が出た場合、団員を補充するのはクロロの役目だ。
しかし、疑問が残る。
クロロが気に入るだけの何かが、この少女にあるのだろうか?
それを察してか、クロロは理由を話した。
「理由は二つある
一つは、コイツの度胸やふてぶてしさ、冷静さ
旅団に入れるだけの強さがある事
二つ目は、世界でもかなり希少価値の高い宝を所持している可能性がある事だ」
宝と聞き、目を丸くするメンバー。
「オレはまだ拝んでないが、シズクは恐らく見ている」
「私?」
「ああ」
「それって…」
「シズクが言っていただろう?」
「…!!」
碧い瞳
・
作戦を開始した一行に、キルアからの電話が鳴った。
旅団のアジトに、昨日には無かった建物が密集しているという。
恐らく
死体の偽物を作った、具現化系能力者の仕業だろう。
だが、逆に言えば
奴らが、まだそこをアジトとしているという証拠でもある。
カシスは、クラピカから携帯を奪い取った。
『キルア、建物内には一歩も踏み入らないこと! いい?』
「わかってるよ
つか、頼まれたって御免だね」
それだけ伝えると、携帯をクラピカに返した。
すると
どうしてか、ゴンからの質問が飛んできた。
『具現化した物には、何らかの効果を付ける事が多いの』
「効果?」
『例えば、具現化した物に”練”の効果を付ければ、何処に何があるか、離れていても把握できる』
「そんなこと出来るんだ…
じゃあ、この場合は?」
『建物を具現化したってことは、カモフラージュの他に”円”の役割も担っている可能性が高いかな
具現化した建物に一歩踏み入れば、即座に感知されてアウト
だから、不用意に立ち入らない方がいい』
なるほど…
と納得しているが、多少耳から煙のような物が上がっている気がする。
携帯を受け取ったクラピカは、一度電話を切り、再びどこかへ電話を掛けた。
『どうしたの?』
「センリツを向かわせた
彼女がいれば、建物に近づかずに奴らの動向が探れるからな」
センリツを向かわせたのは、正解だった。
旅団が動き出したのだ。
電車で、市内へ移動している。
「確かに、中心街に向かっているな」
「競売市があるのも、こっち方向だね」
『私達のホテルも、同じ方向よ』
スクワラに電話をし、その場を離れるよう警告した。
駅前に到着。
数百メートル離れた場所に車を止め、作戦準備に入る。
雨の中
現れた幻影旅団。
数は6人。
クロロ
パクノダ
コルトピ
ノブナガ
マチ
シズク
他の団員は見当たらない。
すると
関を切ったかのように、走り出した蜘蛛。
そのスピードは、車と同等だ。
車で先回りするにも、そろそろラッシュの時間帯。
居ても立ってもいられないのか、クラピカは車を降りて旅団を追いかけて行ってしまった。
『ゴン!!』
「2人はここにいて!」
『もうっ!
これじゃ、何のために作戦立てたのか分かんないじゃん!』
「カシス、オレ達も行くぜ!」
クラピカを追ってゴンまで、車を降りて走って行ってしまった。
2人を追うため、レオリオが車を走らせるが、ラッシュ時の混雑は半端じゃない。
…ったく
旅団の事になると、本トに周りが見えなくなるんだから!
カシスの携帯が鳴った。
「カシス、ゴンは!?」
『クラピカについて行っちゃったよ
今、レオリオがベータクルホテルへ車を走らせてるけど
これじゃ、走った方が速いかも』
「わかった
オレ達もクラピカ追う!」
少し乱暴に電話を切った。
『っつーわけで
私も追いかけるね』
ガチャッと、ドアを開けた。
「カシス!」
『レオリオは、このまま車でベータクルホテルへ向かって』
「わかった…」
『心配しないで
少なくとも、この中で私が一番、場数踏んでるから
大丈夫だよ、レオリオ』
「ああ…頼んだぜ」
助手席の窓からレオリオに伝え、カシスは急いで2人を追った。
走って追跡
あいつらには、確実に気付かれてる
目的がクラピカなら、ホテルと追跡者、両方に対処するはず
だとすると、二手に分かれる可能性は大
半分だとしても、ヒソカクラスが3人
もしかしたら、クロロが入るかもしれない…
一先ず
クラピカ達に追い付かないと!
早まった事だけは、しないでよね
クラピカ
・
人の間をすり抜けながら、街中を進んで行った。
十字路を左に曲がった時。
……いた!
クラピカ達の数百メートルも離れていないくらい先に、旅団も確認出来た。
ていうか
追跡するにも近過ぎ!
頭に血が昇っているからって、やり過ぎだ!
あれじゃ、不測の事態に対処できない
スピードを上げた。
刹那。
奴らの行動に、微かな変化を捉(トラ)えた。
瞬間にゴンをゴミ箱の後ろに突き飛ばし、クラピカの腰を抱き、反対側の通路へ跳んだ。
一秒にも満たない時間での行動。
旅団に姿を捉えられたか、微妙な所だ。
「見えたか?」
「影だけ…姿までは
路地に1人」
「ゴミ箱の後ろに1人」
「…OK
凝を怠るな」
追跡に気付いていた旅団は、二手に分かれていた。
クロロ
マチ
シズク
この3人が追跡組で残った。
ゆっくりと、隠れた3人に近づいてくる。
どう切り抜けるか模索しているカシスとは裏腹に、クラピカはやる気満々だ。
来るなら来い
鎖に念を込めるクラピカ。
そのクラピカの右手をそっと掴む。
状況から見て、こちらが絶対的に不利
今戦えば、確実に全員死ぬ
とにかく、今は…
すると、突然ゴンが奴らの前に飛び出した。
「ごめんなさい!!
もう追いかけないから、許して下さい!!」
『(ゴン!? 何してっ)』
カシスも動こうとした時、後ろから肩を掴まれた。
キルア!?
キルアは、人差し指を口に宛て”静かに”と、合図した。
そして、そのままゴンの隣まで出て行ってしまった。
2人は旅団に捕まり、一緒に連れて行かれた。
ギリッと歯を食いしばる。
情けない
2人を囮に、隠れていることしか出来ないなんて…
ゴン…キルア
「……くそっ」
「焦りは禁物よ、クラピカ」
「わかっている!!」
センリツが、クラピカを落ち着かせようと声を掛けた次の瞬間。
雨の中、乾いた音が鳴り響く。
掛けていたサングラスが、濡れた地面に音を立てて落ちた。
何が起きたのか
痛みの走る頬に気付いて、漸く分った。
『…なんで、あんな無茶な追跡したの?
危険だってわかりきってたでしょ!?』
「……」
『復讐のために、かけがえのないモノを失くすつもり?』
「…っ」
わかってる
冷静でいられるはずがない
だからこそ
言葉にして言わなきゃいけない
「…すまない」
『……はぁ』
地面に落ちたサングラスを拾い、クラピカに差し出した。
『さ、行くよ!
2人を助けに』
・END・
12/8/5
22/12/17(修正)