ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「話があるんだけど」
「私も、丁度聞きたい事があったんだ」
「んじゃ
オレ達は外の空気でも吸ってこようぜ」
重たい空気の中。
気を利かせて、ゴンと共にその場を後にしたレオリオ。
ゴンの座っていた所に、腰を落とすキルア。
ふぅ…と、小さく息を吐く。
ちょっと緊張
「……」
「カシスの事か?」
「…」
なかなか言葉が出て来ないキルアより先に、クラピカが口を開いた。
「…わかってんなら、話が早いや
単刀直入で聞くけど、カシスと寝たの?」
睨みつけるような瞳。
「…ああ」
「キスも?」
「カシスが、そう言ったのか?」
無言のキルア。
イエス、と言う事だろう
やはり
知り合いとは、キルアの事だった
そしてあの日
2人の間に、何かがあった
「他には?」
「?」
「ただ、一緒に寝ただけ?」
キルアの確認するかのような質問に、疑問を浮かべる。
それを聞いて、喧嘩をしたのではないのか?
カシスが嘘を教えたのか?
カシスの性格上、考えにくい
なら、この質問の意図は?
「勢いで抱いたとかさ」
「(…なるほど)
確かにキスはした
だが、あれは私がカシスの優しさに甘えてしまっただけの事だ
カシスには、そういった感情は無いだろう」
「じゃあ、ホントに寝ただけなんだ」
「…」
ドクンッと、心臓が跳ねた。
実際は、それだけ。
しかし
あの時のクラピカは、違う感情に支配されていた。
返事のないクラピカを、訝(イブカ)しげに見つめた。
「正直なところ
あの時の私は、精神状態が不安定だった
その場の勢いで、抱こうとした事は事実だ」
「…」
「だが、カシスが止めてくれた
”調子に乗るな”と言って、チョップのおまけ付きでな」
眉を八の字にしながら、おでこを擦(サス)る。
その姿に、嘘偽りのない事だと解った。
途端に、大きな溜息を吐き項垂れるキルア。
当然、クラピカは不思議に思う。
「…オレ
あいつの事、すげー傷つけた」
「傷つけた?」
疑問を返すクラピカ。
・
少しの沈黙。
「………キス…した
無理矢理…」
「…」
「クラピカとの事聞いて、何か…すげーイラついて…
カシスが嘘なんか吐いていないって分かってても
あいつの…あんな表情見たら、もしかしたらって思って……
勘違いして、思い込んで
あいつを、傷つけちまった」
自分の正直な気持ちを打ち明けるキルア。
彼がどれだけ反省と後悔をしているか、その姿で十分にわかった。
キルアの本当の気持ちも…。
「キルアは、どうしたいんだ?」
「え…?」
「今の現状をどうにかしたいから、話したんだろ?」
「オレは…
カシスと、遊んだり、冗談言い合ったり…友達に……戻りたい」
キルアの中でカシスは、あくまで”友達”定義のようだ。
今までクラピカは、そこに妙な違和感を感じていた。
キルアは、カシスに好意を寄せている
そう思っていた
やはり
それは正しくて
けれど、キルア自身
その事に、本当の意味で気付いていないのだとしたら
いや
今のキルアを見る限り、気付いていないのだろう
なら、私に言った
”譲る気無いから”
この言葉は、どういう意味で言ったのだろうか?
もしかしたら
子供が新しいオモチャを、他の誰かに譲らないのと同じ意味だったのかもしれない
クラピカは、少し息を吐いた。
「友達には、戻れないだろうな」
「!!」
「友達を友達以上の感情で見るようになったら、友達ではなくなってしまう
ゴンに対する”友達”とは、違うんじゃないのか?」
それは、キルアも気付いていた。
友達なのに、ゴンとは違う。
女だからなのか? とも思ったが、それも違うみたいで。
何て言ったらいいのか、わからない。
「好きなのだよ」
「!」
「キルアは…一人の女性として、カシスの事が好きなんだ」
「…」
ゆっくりと上げた顔には、目を丸く見開き、驚いた様な表情があった。
「……」
…そうか
そうだったんだ
簡単な答えだった
でも
・
「あいつ、怒ってるよ……きっと」
「そんなことはないと思うが…」
「だとしても…」
「許してくれるさ」
「…」
「誠意を持って謝れば、カシスは許してくれる
そんなに心の狭い奴ではない
そうだろう?」
少し考え込んだ後
決心がついたのか、立ち上がるキルア。
「オレ…謝ってくる」
「それがいい」
ホテルの玄関へ急ぐキルアの足が止まった。
「?」
「クラピカ
…ありがとな」
振り返らず、そのまま走って行った。
少し小さな声だったが、しっかりとクラピカには届いていた。
”どういたしまして”と、困ったような笑みを浮かべて、その後ろ姿を見送った。
「いいのか?」
クラピカの後ろから、タイミングを見計らったかのように、レオリオが声を掛けた。
「盗み聞きとは、悪趣味だな」
「お前としては、あのままギクシャクしてた方が良かったんじゃねーか?」
「…確かに、そうかもしれない
だが
何よりも、カシスが笑顔でいてくれるのなら、それに越したことはない」
「そりゃそうだ
にしても、お前までカシスに惚れてたなんてな~
外見はともかく、中身は立派な男だったわけだ」
「………レオリオ
他言などしたら…わかっているな」
「し…しねーよ
(殺されたくねーからな…)」
お人好し…とでも言うべきか
何よりも
キミの笑顔が 見たいから
・END・
12/7/14
22/12/15(修正)