ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「くそっ! 電源オフにしやがった」
蜘蛛の情報と念を教わるため、クラピカに電話を掛けたゴン達だったが、話もろくに聞かず、電話を切られてしまった。
「!
だったら、カシスに連絡してみたら?」
「そうか、カシスなら出てくれるはずだ!」
と、2人の視線はキルアへと向いた。
何故なら、カシスの携帯番号はキルアの携帯にしか入っていないからだ。
その視線の意図が分かっているのか、キルアはポケットから出した携帯をゴンに放り投げた。
「キルア?」
「電話すんだろ?」
「あ、うん…」
「…」
そっぽを向くキルアに、2人は顔を見合わせた。
どうにも、あのデートの日から虫の居所が悪いキルア。
普段はそうでもないのだが、カシスの絡む話になると途端に機嫌が悪くなる。
どこかよそよそしいと言うべきか。
そんな事を感じつつも、理由を聞けないでいる2人は、受け取った携帯でカシスに電話をした。
「………ダメだ。 繋がらない」
「そうか…
もしかしたら、連絡取れる状況じゃないのかもしれねーな」
見上げるは、闇夜を照らす光と、微かに聞こえる爆音や銃声のみ。
・
薄暗い廊下。
戦いの後なのか、部屋は無残な姿となっていた。
瓦礫の中には男が1人、大の字になって寝転がっている。
『かなり派手に暴れたんだね』
大の字になっていたクロロの視界に、ひょっこり顔を覗かせたのは、呆れ顔のカシス。
『ボロボロだし』
「無茶言うなよ
あの2人が相手だったんだ」
『生きてるのが、不思議なくらいね』
「そこまで言う…?」
なんとも和やかな会話だが、クロロが起き上ると空気が変わった。
「殺らないのか?
オレが蜘蛛だって、気付いているんだろ
ダメージのある今が絶好のチャンスだと思うけど?」
『殺りにきたなら、声なんか掛けないでしょ?』
「そりゃそうだ
でも君は、殺し屋チームに参加してるんだろ?」
『…なんでそう思うの?』
「オークションに参加する格好じゃないから」
なるほど
盲点だった
正装は愚か、普段着である。
「他にオレに用事でも?」
『聞きたい事があって来たの』
胡坐(アグラ)をかいているクロロの前に座った。 何故か正座で。
「聞きたい事?」
『さっき、ネオンに占ってもらった時
何をしたの?』
クロロの瞳を鋭く睨みつける。
驚いているのか、目を見開いていた。
へぇ~…
気付いてたか
上手く隠したつもりだったんだけど
「オレはね、スキルハンターなんだ」
『スキルハンター?』
「相手の念能力を盗むのが、オレの能力」
『………』
##IMGR42##
ポカンとした顔のまま止まるカシスに、クロロは”何?”という表情。
『…っていうか、そんな簡単に言っていいわけ?
自分の能力』
「あぁ……何故かな
つい口から出てしまった」
天然…?
それとも
ただのアホ?
『まぁ、いいけど
なら、あの時
ネオンの念能力を盗んだって事?』
「ああ」
なるほど
だとすると
盗まれたネオンは、どうなるんだろう?
盗んだって言うんだから、無くなる…?
それとも、一時的に使えなくなるだけ…とか?
考え込んでいるカシスに、クロロは疑問をぶつけた。
「そこまで気付いていたなら、何故黙って見てるだけだったんだ?」
ネオンの護衛なら、主を守るのは当たり前の事。 その為に雇われたのだから。
『私の任務は、あくまでネオンの身を守ること
あの時、ネオンに向けられたのは悪意や殺意の類(タグイ)じゃなかった』
「…なるほど」
念能力は、対象外…ということか
しかし、だからと言って……
…面白い女だ
内心、笑みを浮かべるクロロ。
「オレも一つ、聞いていいかい?」
『ん? うん』
「前にここを襲った時、1人だけ殺り損ねた奴がいてね
メンバーの1人が重傷も負った」
『…』
「キミだろ?
カシス」
ピリッとした威圧感。
この場にいるのが、怖いくらいだ。
だが、逃げる必要はない。 何故なら、クロロから殺気が出ていないから。
『ご名答
よく分かったね、私だって
どうする?
始末でもする?』
「いや…少し興味があって」
クロロから伸びてきた右手は、カシスの頬を撫でた。 そして、親指で目元をなぞっていく。
「シズクからは、碧い瞳の少女だと聞いたんだが
カシスは、水色に近い灰色だな」
『見間違いでしょ?』
じっと見つめるクロロに、笑みを浮かべた。
そう簡単には、教えてくれない…か
アレを持っているんだとしたら、かなり貴重な人材だったんだけど
頬を撫でていた手を離し、カシスの左手を取った。
そして、そのまま手の甲に唇を落とす。
「カシス、オレと一緒に来ないか?」
魅惑な表情に、女性を虜にしてしまいそうな色香。
しかし、カシスにそんなものが通じるわけもなく。
『お誘い頂き、とても光栄ですが
私は、盗賊に興味ありませんので
他を当たってください』
するりと手を抜き、背を向けて部屋を出て行ってしまった。
静まり返る部屋には、溜息が一つ。
「…残念」
せっかくの
貴重なお宝だったんだけどな
それに
あの娘の護衛ってことは、鎖野郎の情報も持っているだろうし
一石二鳥
ってわけには、いかないか
まぁいい
そのうち…
・END・
12/7/1
22/12/15(修正)