ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日。 ノストラード氏がヨークシンに到着した。
今までの出来事を細かに説明したのち、ネオンは家に帰されることとなる。
帰り支度をするために、ネオンが部屋に戻った事を確認し、本題に入った。
オークションは今夜から再開し、場所も同じ所で行う。
陰獣も全員殺られ、十老頭は旅団の抹殺をプロに依頼したそうだ。
「そこでだ、カシス、クラピカ
2人には、殺し屋のチームに参加してもらいたい」
――
―――
解散となり、部屋の外のロビーに出た。
「カシス
昨日、何かあったのか?」
『どうして?』
振り向いたカシスの目元に、そっと親指で触れた。
「戻った時、目が赤くなっていた」
そう見つめてくるクラピカに、昨日の事を思い出していた。
『そう思うなら、あったんじゃない?』
微笑むと、するりとクラピカの手をすり抜けた。
『それよりも
クラピカこそ良かったの?
殺し屋チームに参加する事』
「…」
その問いに、クラピカからは短い返事が返ってきただけだった。
――
―――
とある高級ホテルの一室の扉を開けた。
中には、殺し屋チームとして召集された8人の男が、既に集まっていた。
カシス達で10人。
全員揃った所で、スキンヘッドの中年太りの男が依頼内容を話し出した。
内容は、幻影旅団の抹殺。
今夜再開するオークションに、奴らが来る事を想定し、現れたら始末してほしい。 というものだ。
そんな話を聞き流しながら、集まった男達を見回す。
……殺し屋と言っても、所詮この程度
こいつら
旅団の強さを目の当たりにしたくせに、戦力不足もいいとこだ
これじゃ、返り討ちにあうのが………あれ?
カシスの目に止まった、見覚えのある老人。
記憶が正しければ、あの老人はキルアの祖父だ。
じっと見つめていると、ゼノと目が合った。
あっ…と思うカシスに、ニッと笑みを見せた。
覚えていてくれたんだ
何か、嬉しいカモ…
ってことは、隣にいる銀色の長髪の人も、キルアの親族なのかな?
思わぬ再会だった。
説明が終わり、部屋を後にする。
「親父。 あの娘を知っているのか?」
「ん? あぁ、ほれ
前に家に遊びに来た、キルアの友達じゃ
…カシスと言ったかの?
なかなか面白い娘じゃよ」
「そうか…」
「キルアも、ええ娘を見つけたものだ」
「…」
「あの娘なら、キルアの嫁に来てほしいのう
ワシは、賛成だ」
「……」
・
オークションが始まる数時間前。
カシスは、一足先にオークション会場へ来ていた。
その理由は、ネオンだ。
帰る前に買い物がしたいと、センリツとバショウを連れてショッピングモールへ出掛けて行ったネオン。
先程センリツに連絡したところ、機嫌も良く、買い物を楽しんでいるそうだ。
だが
あのネオンが、ノストラード氏の言う事を素直に聞くとは到底思えない。
そう直感し、オークション会場へ先に向かったのだ。
何も無ければ、それに越したことは無い
しかし
やはりと言うべきか…
見事にカシスの直感は、的中した。
今まさに、話していたお嬢様が目の前にいらっしゃるのだ。 しかも、見知らぬ男と一緒というおまけ付き。
盛大な溜息を付き、ネオンの後を追った。
追い付いたカシスは、彼女の腕を引き、背中に回した。 男が振り返るのと同時に、2人の間に割って入る。
男は、スラッと背が高く、黒髪には包帯が巻かれていた。 クラピカにも引けを取らないほど整った顔は、驚きの表情を浮かべている。
「…」
『彼女が誰なのか、知っていて近づいたのか?』
鋭い眼差しを向ける。
この業界。
誰に嫉(ネタ)まれ、恨まれているか分かったもんじゃない。
優しい顔をした殺し屋なんて、腐るほどいる。
カシスが警戒するのも、当然の事だ。
そんな彼女の腕を後ろから掴み、止めようとするネオン。
「カシス、違うの!
私がお願いして、連れて来てもらったの!」
だから、彼は悪い人じゃない! そんな表情のネオンに、仕方なく警戒心を和らげた。
『……わかりました
でも、ここからは私も同行します
いいですね?』
カシスの言葉に、向日葵が咲いたようにパァっと笑顔になった。
ネオンは簡単な紹介をし、再びクロロと名乗る男と歩き出した。
その後ろを、やれやれと言った様子のカシスが付いて歩いていく。
ちらりと向けられた視線には気付かずに…。
オークションまでは時間があるため、会場内にあるカフェで休むことになった。
ネオンとクロロがテーブルを挟んで向かい合い、ネオンの隣にカシスが座る。
隣では楽しそうに会話が弾んでいた。
カシスはそれに参加するでも無く、目の前の紅茶を啜(スス)った。
「占いが得意なんだってね」
「うん、得意だよ
えらい人にも頼まれるもん」
話題は、ネオンの占い。
興味があるらしく、クロロは占ってもらう事になった。
スラスラと必要事項を紙に書いていくクロロ。
その様子を、警戒しつつ見遣るカシス。
見た感じ、普通の青年。
だけど
さっき彼と目を合わせた時、連想させられた”闇”。
ほんの僅(ワズ)かだったが
それが、カシスに警戒心を捨てさせなかったのだ。
初めてじゃない
前にも、どこかで感じた…
もしかして…こいつ……
紙を受け取ったネオンは、早速占うため念を発動した。
勢い良くペンが走ると、ものの数分で書き終えた。 それを、クロロへと手渡す。
すると内容を読むクロロの瞳からは、何の前触れも無く、涙が流れ落ちた。
「!?」
「君の占い、すごいね
当たってるよ」
内容を言いかけるが、ネオンは自分の占いを一切見ないという。
「なるべく自分が関わらない方が、当たるような気がするから」
「なるほどね」
「あ! 私ちょっとトイレに行ってくる」
と、席を立った。
ネオンがいなくなり、静まり返るテーブル。
口を開いたのはクロロだった。
「君は、占ってもらったの?」
『そういうの興味無いから』
短く答えると、クロロからは一つ質問が飛んできた。
「君は、死後の世界ってあると思う?」
『…さぁ。 死んだ事ないから』
「…」
窓の方に向けていた瞳を、ちらりとクロロに向けた。
そしてすぐに、元に戻した。
『…ただ
思うのは自由でしょ?
有っても無くても、どちらかが正しくて、間違っているなんて一概に言えないし
人それぞれだと思う
それに』
「?」
『冷徹非道集団かと思ってたけど、そんな涙も流せるんだ……』
窓の外を見ながら呟いた。
・
ネオンも戻って来て、オークション会場へと向かった。
その途中、突然ネオンが倒れ込んだ。
急いでゲストルームへ運び、医者を呼ぶよう手配した。
501号室。
ベットで眠るネオンの傍らには、カシス1人だけが佇(タタズ)んでいた。
『ごめんね…ネオン』
―――
――
部屋にネオンを運び、ベットに寝かせた。
「何故、彼女を気絶させた?」
単なる疲れや病気の類で倒れたわけではない。 カシスが首を打ち、気絶させたのだ。
勿論、常人では見えないほどの素早い手刀で。
『あんたから、ネオンを離すため』
「…君、ただの護衛ってわけじゃなさそうだな」
『ただの護衛よ』
今は…ね
―――
――
その後、クロロは人混みに紛れ姿を消した。
敢えてそれを見逃したのは、ネオンの安全が最優先だと考えたから。
すると、携帯の着信音が鳴り出した。
電話の相手はクラピカだった。
ネオンが逃走し、ここセメタリ―ビルにいるのだと。
『心配しなくても、目の前にいるよ』
「本当か?!」
『うん
501号室のゲストルームにいるから』
電話を切ってから、ものの15分でノストラード氏が到着した。
クラピカは、調べ物があると言って途中で別れたそうだ。
――
―――
クラピカが部屋へ来た時には、カシスの姿は無かった。
「カシスは?」
「ネオンを連れてきた男を始末しに行った」
「…」
気掛かりではあったが、今ここを離れるわけにはいかない。
依頼主を危険に曝(サラ)すかもしれないのだ。
恐らく。
カシスもそのつもりだったのだろう。
だから、クラピカ達が来るのを待ってから、ここを離れた。
・END・
12/6/23
22/12/14(修正)