ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
キィ…と、静かに部屋の扉が開いた。
自然と皆の視線がそちらに向く。
部屋に入ってきたのは、ウボォーギンと決着をつけに行ったクラピカだった。
左の袖が破れ、顔には少量の血が付いていた。
恐らく、ウボォーギンの返り血だろう。
何はともあれ、クラピカが無事帰ってきた事に、皆安堵の表情を浮かべた。
逆に心配の表情をしたのは、センリツだった。
クラピカに声を掛けようとするが、ただならぬ空気に、その声は最後まで口から出て行く事は無かった。
センリツの不安な表情から、クラピカの今の心情が異常である事がわかる。
部屋へ入って行くクラピカを見送ると、カシスはセンリツの肩に手を置いた。
『センリツ
大丈夫だから』
それだけ言うと、カシスはクラピカの入った部屋へと向かった。
部屋の前で一度、深呼吸をした。 少しの緊張の中、扉をノックした。
やはりと言うべきか、中からの返事は無い。
『…クラピカ、入るよ?』
一言告げ、部屋の扉を開けた。
5、6畳くらいの部屋に出窓とベットが一つのシンプルな部屋。
電気も点けず、ベットに腰を落として項垂れているクラピカの姿があった。 床には、いつも身につけている青い民族衣装が無造作に置いてある。
カシスが部屋に入っても、何の反応も無い。
そんな重たい空気の中、ドアの前で小さく息を吐いた。
『……これが貴方の望んだ結果よ
…満足?』
「……」
皮肉を込めて言うが、クラピカからは何も返ってこない。
カシスは、窓辺へ移動した。 くるりと反転し、窓の縁に寄り掛かる。
『なわけ、ないか…』
クラピカなら、尚更
『……私さ
結構見てきたんだよね
復讐者の、成れの果て
復讐からは、何も生まれない
有るとすれば
絶望感と虚無感
復讐をして心晴れた奴なんか、1人もいやしなかった
悲惨なものだよ』
復讐に縛られた心は、何をしても解かれるものじゃない
自由になるには
死ぬしかない
『そこまで知ってても、私にはクラピカを止める権利は無いし
クラピカの生き様を否定するつもりも無い
分かってて、この道を選んだんでしょ?』
「…」
”人を殺す事を
怖い怖くないで判断した事は無い”
以前
貴方はそう言った
でも、殺した相手に対して、憎しみがあるかどうかでは全く違ってくる
精神的負荷は、天と地ほどの差がある
クラピカ
あなたは今、その負荷を感じているの?
今だに項垂れているクラピカに、ゆっくりと近づいた。
・
『私が言いたいのは』
クラピカの綺麗な金髪を、優しく包み込んだ。
『貴方は、独りじゃないってこと』
「…」
『生き残ったのは独りかもしれない
でも、今のクラピカには仲間がいるでしょ?
信じ合える…仲間が』
少しくらい、弱音を吐いても
罰(バチ)なんか当たらないんだよ
ぎゅっと、強く抱きしめた。
「……カシス」
小さな声で呼ばれたカシスは、顔を上げたクラピカの瞳を見つめた。
光を無くした、虚ろな瞳。 縋りついてくるような、そんな瞳だ。
両頬を、少し冷たいクラピカの手がそっと包み込む。
「……」
『……』
何を求められているのか、考えなくても分かる
貴方の痛みを
私は分かってあげられない
##IMGR38##
こんなことで
貴方の苦しみが一時でも
癒されるなら…
そっと重なり合う唇。
##IMGR39##
抵抗はしなかった
今のクラピカには、必要なことだと感じたから
重なる唇は、次第に深く絡み合っていく。
後頭部に手を回され
何度も
何度も
重ねる。
『………っ』
唇の隙間から侵入してきた舌に、ねっとりと絡み取られていく。
初めての事に、かなり戸惑うカシス。
反射的に後ろへ引こうとするが、クラピカの手によってそれは叶わず。 クラピカからの行為を受け入れるしかなかった。
すると、ぐっと抱き寄せられたと思った。
何が起きたのか、一瞬理解出来なかった。
天地が逆になった感覚。
かと思ったら、背中には柔らかい布団の感触。
目の前には、クラピカの虚(ウツ)ろな瞳。
ベットに組み敷かれている事が分かった。
そのまま
クラピカの唇が落ちてくる。
今の現状からして、この後何をするのか
分からないほど鈍くはない
だから
・
おでこに、チョップをかましてみた。
「……」
『調子に乗るなっつーの』
驚いた様な表情のクラピカが、意外にも面白くて笑ってしまった。
『残念ながら、ここから先は有料になります♪』
「……クスッ
後払いでいいかな?」
『こらっ』
冗談に笑みが零(コボ)れる
さっきよりも空気が軽くなった
もう、大丈夫
そう感じた
少し体を離したクラピカは、バツの悪い顔をした。
「カシス……その」
『謝るんなら、さっきの返してもらうけど?』
「……ありがとう」
お礼を言われるのも、何か照れ臭い……
『仕方ないなぁ』
「ぅわっ!」
クラピカの体を抱き寄せると、くるりと反転させた。
狭いベットに寝転がる2人。
『朝まで、一緒にいてあげるよ』
クラピカの頬に触れながら微笑むと、クラピカも微笑んでくれた。
「カシス
もう一つ、頼みたいんだが」
『え? わわっ!』
ぎゅっとクラピカの胸板に顔を押し付けられたかと思ったら、優しく抱き締められていた。
「こうしていて、いいか?」
『ふふ…どうぞ』
クラピカの心音は、不思議なくらい落ち着いた音をしてて
キルアとは…全然違う音
何故だか
そんなことが頭に浮かんだ
――
―――
いつの間にか眠りについていたカシスのおでこに、そっとキスを落とす。
「カシス……」
好きだ
・END・
→おまけ
『ちょっと待って!』
「?」
ベットから降りるカシスを、不思議そうに見遣るクラピカ。
すると、徐(オモムロ)に服を脱ぎ出した。
当然、ビックリするのはクラピカで。
「カシス、何をしている?!」
『だって、このまま寝ると、服がシワだらけになっちゃうでしょ?』
と、スカートのチャックに手を掛た。 すとんっとスカートが床に落ちる。
「…」
『大丈夫だよ
ちゃんと短パン履いてるから』
キャミソールと短パンになったカシスは、再び布団へ潜り込んだ。
それを呆れながら見つめるクラピカ。
『おやすみ! クラピカ』
夢の世界へと旅立とうとするカシス。
カシス…
君は
もっと警戒心を持つべきだ
眠りにつく前に、こんなやり取りがあったとか、無かったとか…。
12/5/27
22/12/13(修正)
◆やってしまった…
微裏と言うより、微々裏ですね(+_+)
でも、一応☆は付けておきました!
続きを考えると、顔がニヤケてしまう…(v_v)