ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
闇夜に浮かぶ、ストライプの熱気球。 中には、今しがた競売会場を襲ってきた旅団員が乗っていた。
団員の1人ウボォーギンは、携帯で旅団のリーダーであるクロロに、状況を説明していた。
「あ! そういえば」
何かを思い出したシャルナークが、ウボォーギンに電話を代わるように言った。
「どうした?」
「会場襲った時、1人だけ殺(ヤ)り損ねた奴がいてさ
その時にシズクが、結構な傷を負ったんだ」
「それで?」
「ん~…、気にすることでもないと思ったんだけど、結構強い奴みたいでさ
シズクも苦戦したようだから…
それで一応、報告だけでもしとこうかと」
「……そうか」
その後の指示をしてから、電話を切った。
右手を口元に当て、何やら考えている様子。
…シズクがてこずる程の相手…か
……気になるな
――
―――
バショウの運転する中、ダルツォルネに電話しつつ、皆にも会場で何が起こったか説明した。
車の中は異様な空気のままゴルドー砂漠の方へ向かって行った。
「カシス、怪我の具合は?」
『問題無い……とは言えないけど、動けないほどじゃないよ』
「だけど、早く手当をした方がいいわ」
『暫くなら大丈夫
それよりも、あっちの方が気になる』
ゴルドー砂漠の方角を見据え、車は走って行く。
・
ゴルドー砂漠では、先に着いていたマフィア達が、旅団を追い詰め取り囲んでいた。
遅れること数分。
車から降りた所で爆発が起きた。
クラピカが双眼鏡で確認をする。
そこには、素手で人を紙屑のようにちぎっている大男が1人、化け物のように暴れ回っていた。
人間離れした芸当に皆、恐怖を覚えた 。
「?」
『センリツ、どうしたの?』
「心音が…
いつの間にか、一つ増えてるわ」
センリツが感じた心音は、十老頭が呼び寄せた陰獣のものだった。 いつの間にか、4人の陰獣が集まっていたのだ。
陰獣と旅団の1人、ウボォーギンとの戦いが始まった。
結果は、言うまでもない。
ウボォーギンの勝利。
戦いが終わったと同時にクラピカが動いた。
「クラピカ、どうする気だ!?」
「決まってるだろう
奴を捕える」
「ムリだ!
見ただろう! 奴の能力の凄まじさを!!」
「関係ない」
クラピカのただならぬ殺気と、狂気に満ち満ちた瞳。 背筋が凍るような感覚に恐怖すら感じた。
もはや、冷静沈着なクラピカは影も形もない。
クラピカ…
気づいたんだ
奴らが
幻影旅団だって…
「とにかく、体制を整えて出直す!!
これは命令だ!!」
電話から聞こえるダルツォルネの言葉など聞こえてはいない。
今、クラピカの意識にあるのは、遥か前方にいるウボォーギンのみ。
ダルツォルネの怒号が上がる。
復讐心に捕われたクラピカ
こうなる事は、わかっていた
「!?」
痛む右足を動かし、カシスはクラピカを後ろから抱き止めた。
『……落ち着いて…クラピカ』
「……」
『今のまま行っても、無駄死にするだけ
それでも、いいの?
貴方には、奴らを捕まえる他に…やらなきゃいけないことがあるでしょ?』
「……カシス」
腰に回した腕に、ぎゅっと力を入れる。
『少しでいい
少しでいいから…
落ち着いて……クラピカ』
消え入りそうな声で願うカシス。
動きを止めたクラピカの眼には、カシスの左腕の傷が映った。 痛々しい傷。
心が、少しだが徐々に落ち着いてくる。
ぎゅっと抱きしめるカシスの手に、そっと自分の手を添えた。
すると、急に辺りが花畑へと変化した。
いや、正確に言えば幻覚だ。
センリツの能力の一つ。
フルート演奏は、他者の心を落ち着かせる効果があるのだ。
その甲斐もあり、クラピカは冷静を取り戻した。
今だ腰に抱き着いているカシスに、優しく声をかけた。
「もう大丈夫だ
カシスのおかげで、頭が冷えた」
『クラピカ…』
酷く安心した彼女の表情。 心配をさせていたのだと、申し訳ない気持ちになる。
カシスがクラピカから離れると、ダルツォルネに告げた。
奴を捕らえさせてほしい、と。
皆驚いていたが、カシスは何も言わなかった。
今のクラピカなら、大丈夫だと確信していたから。
・END・
12/5/2
22/12/13(修正)