ヨークシン編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
時は少し遡(サカノボ)る。
ゴン達が、天空闘技場で奮闘中の頃。
古びたビルが立ち並ぶ、スラム街にも似た街並み。
その中の一つのビルに、カシスは入って行った。
昼間だというのに薄暗い階段。 それを上り、奥にある扉を開けた。
中には、短髪にピアスと刺青をしたファンキーな女性が、パソコンの画面を見つめていた。
その瞳は、扉を開けたと同時にカシスへと向けられた。
「いらっしゃい
貴女みたいな女の子が来るなんて、珍しいわね」
『前に、師匠に連れて来られたことがありますから』
すると女性は何かに気付いた。
「もしかして…5年くらい前に連れられて来た子かしら?」
『覚えているんですか?』
「ここに来るお客は、少ないからね
中でも、あんな小さな子は、後にも先にも貴女だけ
さ、どんな雇い主をお探しかしら?」
机に頬杖をついて、片手をキーボードに置き、尋ねてくる。
ここは千耳会といって、雇い主を探す仲介所だ。
見つけにくい場所にあるが、ここの雇い主は裏に糸を引く者がゴロゴロいる。
『ヨークシンで開催されるオークションに、強いコネクションを持っている人物』
「そうねぇ~
貴女は前にもここで依頼をこなしているし、実力もあるけど、実際ハンター歴は0年
貴女を雇うかは、難しい所ね
それに強い権力を持つ依頼人は、当然要求も厳しいわよ」
言いながら、カタカタとキーボードを打ち、条件に合った人物をピックアップしていく。
「5人いるわ
経歴問わず、面接で判断っての
さぁ、どの雇い主にする?」
5人の紹介と依頼内容を順に読み上げていく。
すると、あるキーワードが引っ掛かった。
ノストラード氏の娘の護衛。
依頼内容は、いたって普通。 だが、その娘の趣味が人体収集家だという。
故か、クラピカの顔が思い浮かんだ。
きっと彼なら、迷わずこの依頼にするだろう。
だからというわけではなかった。
依頼主の娘・ネオンは、前にも護衛で付いたことがあったからだ。
女性にこの依頼でと告げると、パソコンで申し込みをしてくれた。
すると、女性の元に一本の電話がかかってきた。
少し話した後、受話器を置いた女性は思わぬ事を口にした。
『雇い主からよ
貴女、前にもこの依頼受けたことあったのね
雇い主直々に、改めて貴女に依頼があったわ』
これはビックリ
そんな昔の事を、覚えていてくれたとは
承諾の意を伝え、店を出た。
『さて
行きますか!』
意気込むカシスは、一歩を大きく踏み出した。
行き先は
ノストラード氏の屋敷。
・
――
―――
―――――
カシスが護衛任務に就いてから暫く経った。 新たに4人の採用が決まった。
今日、その新人と対面する事になる。
どんな強者が揃っているか。
窓辺に座り、ポツポツと落ちてくる雨を何となく見つめていた。
部屋の中は、珍しく静寂が流れている。
いつもは何かと五月蝿いネオンだが、今は分厚い本を嬉しそうに眺めていた。
オークションのカタログだ。
ネオンから再び窓の外へと視線を戻した。
シトシトと降る静かな雨。 まるで、何かが起こる前触れのように…。
暫くすると、扉の外からダルツォルネの入出許可の声がかかった。
ダルツォルネは、護衛団リーダーに当たる人物だ。
静かに開く扉。
ダルツォルネの後ろから、4人の男女が付いて入ってきた。
どうやら、新入り君達のようだ。
ネオンに4人を紹介すると、誰かを探すように、彼はキョロキョロと辺りを見渡した。
「ボス
カシスはどこに?」
「(カシス?)」
「カシスなら、あっちよ」
指差す先から現れた姿に、少なからずクラピカは驚いた。
「他の奴らは?」
『別室に集めてあるよ』
ネオンを残し、他の護衛が待つ部屋へと移動した。
扉を開けると、中には4人の男が各々座っていた。 皆、護衛として雇われた者達だ。
簡単な紹介をし、すぐにヨークシンへと出発した。
・
ヨークシンへ向かう飛行船の中。
クラピカ、センリツは外周の警護にあたっていた。
コツコツと響く足音に、センリツが口を開く。
「あのカシスって子、知り合いなの?」
「何故そう思う?」
「そういう心臓(音)、してたから」
「……
ハンター試験で一緒だったんだ」
視線を前に向けて話すクラピカ。
センリツも、それ以上は何も聞かなかった。
心音は正直よ
貴方にとって、彼女がとても大切な存在だってことも、しっかり伝わってくる
歩いていると、船首の方に一つの人影が見えた。
それを見たセンリツは、向こうを見てくると、来た道を引き返して行ってしまった。
気を遣ったのだろう。
クラピカは、外を眺めている人物の隣で立ち止まった。
「こんな所にいて、いいのか?」
『ダルツォルネもいるし
トイレって言って、少し抜けてきた』
「そうか」
なんだか、妙に緊張する
いや、気まずい…と言うべきか
ハンター試験の時は、ちゃんとした”さよなら”は、していなかったからだろうか
妙な沈黙。
先に口を開いたのはカシスだった。
『久しぶり…だね
ハンター試験以来、かな?』
「ああ…
キルアとは、無事に会えたみたいだな」
『うん、なんとかね』
ギクシャクした会話に、何だか笑いが込み上げてきた。
『フフ…。 でも、まさか本当にクラピカに会うなんて思わなかった』
自分の考えがこんなにも的中してしまうとは…
何とも、天晴(アッパレ)だ
カシスの言葉の意味を、クラピカは聞いた。
『ネオン…ボスの趣味
人体収集って聞いた時、クラピカの事が思い浮かんだんだ
クラピカなら、迷わずこの依頼にするだろうなぁって思ってさ
あ、だからってわけじゃないよ?
ボスとは、少し面識があったから』
少し慌てた様子のカシスに、クラピカはクスリと笑った。
「しかし、こんな偶然もあるものだな
約束を交わしたわけでもないのに、同じ依頼人にたどり着くとは」
『ホントにね』
笑いあう2人。
その笑みが、真剣な物へと変わる。
『クラピカはさ…やっぱり…』
「…あぁ。 同胞の眼を取り戻すためだ
カシスは?」
『私は、オークションに出品される物が目当て
師匠の手掛かりがありそうなんだ』
「そういえば、師匠を探すのが目的だと言っていたな」
そんな感じで再会したクラピカ。
積もる話もあるが、ヨークシンへの到着が迫っていた。
9月1日。
ヨークシンシティ。
役者が揃うまで
あと1日。
・END・
12/4/15
22/12/12(修正)
◆ヨークシン編に突入しました☆
ヨークシンでは、クラピカとの行動が圧倒的に増えます・・
しかし!
キルアとの、じれったいこの距離がぐっと縮まる章でもありますv
・・する予定です(-.-;)