ゾルディック家編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
無事、試しの門をクリアしたカシス。
中に入るとそこは、私有地とは思えないほどの密林だった。
『…なんか、広過ぎて驚きを通り越しちゃうけど』
おちゃらけるカシスだが、途端に何かの気配を感じた。
荒い息使いで姿を見せたのは、山のように大きな獣。 その瞳からは、何の感情も伝わってこない。
これが生きた者のする眼なのだろうか。
それはまるで、機械の様だ。
これが…ミケ
何て眼をしているの
今まで師匠に連れられて、色んな獣や珍獣を見てきたけど
こんな生き物、初めて…
これが
完璧に訓練された狩猟犬ってやつか
カシスを敵ではないと判断したのか、ミケはその場に伏せてしまった。
それを横目に、カシスは道なりに歩いて行った。
・
暫く歩くと、鉄線の囲いが見えてきた。 そして正面には、一人の少女が立っていた。
タキシードに、独特な髪形。
「出て行きなさい
貴女がいる場所は私有地よ
断りなく立ち入ることは、まかり通らない」
『…これは失礼
暗殺一家に、常識なんて通用しないと思ったから
でも、まさか不法侵入が通じるとは……矛盾だらけね』
皮肉に返すが、少女は眉一つ動かさずに言葉を続ける。
少女の足元に引いてある線を少しでも越えたら、実力で排除する…と。
『…』
その忠告も聞かず、カシスは少女の足元の線を躊躇(タメラ)わず踏み越えた。
刹那。
少女の素早い攻撃。
咄嗟に鉄扇を出し、受け止めた。
あっ…ぶなぁ
実力で排除するって、こう言う事か
さて
どうしようかな
あの子と戦うしかない…か
すると、カシスの視界にあるモノが映った。
少女の向こうにある大きな木。 その木の根元に置いてある、見覚えのあるスケートボード。
紛れもなく、キルアの物だ。
カシスは、鉄扇をしまった。
『ねぇ。 あそこにあるスケボーって、キルアのだよね』
「そうよ」
『アレ、どうしてあそこにあるの?』
「…頂いたのよ」
『へぇー…』
私が見ていた限りだと
あのスケボー、結構大事にしていた物だと思う
そんな物を、あのキルアが他人にあげるなんて…
『貴女、名前は?
私はカシス』
「…執事見習よ」
『じゃなくて。 名前だよ』
「教える必要はないわ」
『なんで?』
「…そう言われてるから」
『ふ~ん…。 でも、”言うな”とは言われてないんでしょ?』
「それは…」
『ね。 貴女の名前は?』
今まで変わらなかった彼女の表情に、僅(ワズ)かな変化があった。 戸惑う表情の彼女に、もう一度名前を聞く。
心の中で葛藤したのだろう。 少し震える唇が微かに動き、恐る恐る名を口にした。
「………カナリヤ」
小さく呟いたカナリヤ。
それにカシスは、笑顔を見せる。
彼女も、キルアのこと大切に思ってるんだ
キルアにとっても彼女はきっと、大切な存在
困ったな…
そんな子と戦う訳にもいかないし、通してくれる様子もなさそうだし
他の所から入るのは危険…
悩み込むカシス。
すると、背後から意外な声が聞こえてきた。
・
「なんだ。 まだいたの」
『!! イルミ…』
後ろを振り返ると、キルアの兄・イルミがいた。
ハンター試験から、帰ってきたようだ。
「言っただろ
お前じゃ辿り着けないって」
『まだギブアップしてないんだから、決めつけないでよね
絶対キルアに会いに行くんだから!』
「………会いに行くだけ?
連れ戻す、とかじゃなくて?」
『連れ戻すって、私が?
ここはキルアの家なんだから、連れ戻すも何もないでしょ?
私はキルアに会いに来ただけだし』
「……今は、会えないと思うけど?」
『なんで?』
「恐らく、独房にいるからだよ」
『独房か…』
真剣に考え込むカシスに、無表情だが少し驚いているイルミ。
他の奴らとは、何かが違う
そう思った。
「怒らないの?」
『え? なんで?』
「キル、今頃罰を受けてるんだよ
キミ達じゃ考えられないような罰をね」
『…キルアって、確かお母さんとお兄さんを刺して家出したんでしょ?
暗殺一家がどういうものかは知らないけど、それがこの家のルールなら仕方ないことだし、他人が口出しする事じゃない
それに暗殺一家に一般常識を言ったところで、無意味でしょ?
それこそ、大きなお世話だと思う』
ケロッと、さも当たり前のように言うカシスに、イルミの瞳は微かに開いた。
すると横の茂みから、笑い声と共に白髪の老人が出て来た。
「なんとも、変わった娘だな
いいだろう。 ワシが家まで案内するわい」
「ゼノ様!」
「良いだろ? イルミ」
「…あぁ」
突然出てきた老人が、家まで案内してくれるようだ。
だが、話がとんとん拍子に進んでしまい、思わぬ急展開について行けないでいるカシス。
前を歩き出す老人に、カシスは慌ててついて行く。
『あの! あなたは…?』
「わしか? わしはゼノ
キルアの祖父にあたるかの」
『おじい…さん?』
驚いた
まさか、そんな人物にまで会えるとは思ってもみなかった
・END・
12/2/4
22/12/12(修正)