ハンター試験編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
中央に並ぶ2人を、下からの強風が煽る。
「相手が女子供とて、容赦はしない
オレは、一戦目と同じデスマッチを提案する」
『いいよ』
相手が負けを認めるまで戦い続ける。
すると、カシスからも一つ提案。
『一つだけ追加したいんだけど』
「なんだ?」
『”気絶”した時も負けってことで
さっきの二の舞にはなりたくないからね』
「よかろう
では、行くぞ!」
猛然とダッシュをしたベンドットは、あっという間にカシスの目の前へ。 素早い動きで、拳を振り落とした。
後ろに飛び退き、それを交わす。
「ほう…これを避けられるとは」
『どっかのオッサンと一緒にしないでくれる』
それからも、カシスの防戦一方が続いていた。
「避けてばかりでは、オレには勝てんぞ!」
『!』
ベンドットの拳がカシスを捉えた。
咄嗟に両腕でガードをしたが、そのまま後ろに弾き飛ばされてしまう。
「「カシス!」」
飛ばされたカシスは、リングぎりぎりの所で留まった。
『ふぅ…見た目以上に怪力だね
腕が痺れちゃった』
「大丈夫か!? カシス」
『問題ないよ!』
クラピカは一つ溜息をつき、カシスを見据えた。
「私は、試合ではなくカシスの事を心配しているんだ!」
これには、カシスも驚きの表情を見せた。
自分のことを心配してくれているんだと伝わってくる。
視線を心配してくれるクラピカに向けた。
『ありがと、クラピカ
でも、大丈夫だから…ね?』
「…」
『まぁ、見ててよ!』
笑顔で言うカシスは、ベンドットへ向き直した。
『とは言っても、あんまり時間を掛けてられないんだよね
あなた達の刑期を短くする義理は無いし
直ぐに終わらせようか』
「ふっ…ナメられたものだ
やれるものなら、やってみろ!!」
ベンドットは、再び物凄い勢いでカシスに迫り、拳を振るった。
刹那。
捉えたと思ったベンドットの視界から、カシスは忽然と消えた。
ベンドットの腕を掴み、彼の背後に飛び上がっていた。
『はぁ!』
カシスの膝が、ベンドットの後頭部を直撃。 ベンドットの顔面が、そのまま地面へとめり込むほどの威力。
しん…と静まり返る場内。
『ふー。 これで私の勝ちでいいでしょ?
あ、安心して! ちゃんと手加減はしたから死んではいない…はず』
ちらりと横目で確認する。
皆の所に戻ると、一番にゴンが絶賛してくれた。
「カシスすごい!」
『エヘヘ、ありがとう』
「ただの怪力女だろ?
いてっ」
『うっさいわ』
憎まれ口を叩くキルアには、チョップをお見舞いしてやった。
「だが、今のは見事な身のこなしだった
相手の攻撃の隙をついて反撃するとは、一朝一夕では出来ない事だ」
『さすがクラピカ! 見る人が見ればわかるのね』
何はともあれ、これで漸く前へ進める。
と思いきや、忘れてはならない。 これから、負け分の50時間を小部屋で過ごさねばならないのだ。
試験官のリッポーには、別の道を用意すると言われたが、カシスはそれを丁重に断った。
小部屋に通される6人。
勿論、皆と同じ道を選んだカシスも、50時間を支払うことになる。
「カシスよ~
何もオレ達に合わせる必要ないんだぜ?
そうすりゃあ、もう少し楽に合格できたものを」
『レオリオは私と一緒は嫌なの?』
「そうじゃね~けどよ」
『なら、いいじゃん!
私、皆と一緒がいいもん』
「く~! お前は、なんでそんなに可愛い事を」
「レオリオ! それ以上近づくな」
「な、何だよテメーら!」
「これ以上近づけたら、何しでかすか…危ねーんだよ」
キルアがカシスを遠ざけ、クラピカが武器でレオリオを拘束していた。
もがいた揚句、最終的にはゴンに助けを求めたレオリオであった。
それから数時間。
各々の時間を過ごし、今は就寝の時間。
部屋の隅にある小さなランプだけが、淡く灯っていた。
皆疲れもあり、眠りに就く中。 二つの影だけが、眠りに就くことなく仲良く並んでいた。
「なぁ…カシス」
『なに?』
「ヒソカと同じ道って言ってたけど、もしかして2人きりだったのか?」
『…そうだけど?』
「ふーん……じゃあ…」
スッと伸びてきたキルアの手は、カシスの紺色の髪を掻き上げ、耳に触れた。
「コレ、ヒソカに噛まれたわけ?」
言い当てられたカシスは、直ぐさま耳を手で隠した。
その表情と反応で、当たりだと安易に分かる。
『なっ…』
「何で分かったかって?」
『……』
「それ、明らかに噛まれた跡じゃん
2人きりで、こんなトコ噛まれるような事してたわけ?」
迫るキルアに、身体を後ろに反らせた。
『こ、これはアイツが勝手に…』
「カシスってさ、意外にそういうトコ、隙だらけだよな」
キルアは、そのままカシスを押し倒す形に。
瞳と瞳が数秒、ぶつかり合う。
『…キルア……?』
「…もっと、警戒心持てよな
こういう時のさ
悲鳴上げるとか」
『みんな、寝てるし…』
「ふ~ん…
じゃ、このまま襲ってもいいわけだ」
この時のキルアが、本気だったかどうかは、わからないけど
何故か
身体が硬直して動かなかった
ヒソカの時とは全く違う
いつもは生意気な子供の癖に、こういう時は男の顔になる
不覚にも、それに見惚れてしまった自分がいた
我に返れば、キルアの顔が真ん前に。
それは咄嗟の行動でした。
「…おい」
『な、何かな~? キルア君?』
「この手はなんだよ」
『何って…エヘv』
「エヘv じゃね~よ
普通ここまできたら、されとくのが筋ってもんだろ」
怒るキルアとカシスの今の現状は、手の平を一枚挟んだ距離で会話している。 これが、からかいなのか本気なのかは、キルアしか知らない。
もしかしたら、本人もわかっていないのかもしれない。
『キルア、よ~く考えてみて!
こういう事は、好きな人とするものよ! 師匠もそう言ってたから、間違いないわ!』
こいつが男に対して、免疫がねーのは、そのバカ師匠って奴のせいか
「でもお前、オレの事好きって言ってたじゃん」
『あれは仲間としてよ! な・か・ま・として!』
「…ム」
2回も言われた事が癪だったのか、カシスの額にデコピンを食らわし、起き上った。
「カシスみたいな色気もねぇ女、間違っても襲わねーから安心しろよ」
『…うん、安心する』
するのかよ!
そこは怒るところだろ! と、突っ込みたくなるキルアだが、カシスの姿を見てそんな気は失せた。
起き上ったカシスは、キルアと反対を向き、体育座りをしていた。
微かに
ほんの微かに手を震わせて。
それに気付いたキルアは、バツの悪い顔をした。
そう言えば、あの時
カシスが上から落ちてきた時も、本の僅かだが、触れた手が震えていた気がした
「……悪かったよ
その…もう、しねーから…」
『ホントに!?』
「!!」
その反応の速さに、一瞬間抜けな顔をするキルア。
良かった! と、ニコニコ笑顔で毛布に包まるカシス。
『じゃ、おやすみキルア!』
こいつ…
本気(マジ)で襲ってやろうか
毒づくキルアであった。
だが、朝方。
2人仲良く寄り添って寝ている姿を、レオリオ氏が目撃していたとか。
・END・
11/11/27
15/11/21(修正)