霞と氷と拠り所
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『しのぶ!!』
勢い良く蝶屋敷の玄関を開け放ち、この屋敷の主である蟲柱・胡蝶しのぶの名前が響き渡った。
道場破りかと思う程の大きな声に、屋敷で働くアオイ達は、かなり驚いたに違いない。
何事かと駆け付けたアオイは、ズカズカと廊下を早歩きしていた雪華と鉢合わせた。
その姿に、少し目を見開いて驚いた顔をする。
あの冷静で穏やかな氷柱が、こんな大声を上げるとは思ってもみなかった。
「雪華さん?! どうなさったのですか?」
『アオイ! しのぶは?!』
「しのぶ様なら」
「雪華。 こちらへ」
『しのぶ!』
「先ずは、彼の手当てをしますから」
先程の声に、しのぶも駆け付けていたようで。 雪華の姿を目にして察したのだろう。
何故、彼女が柄にもなく、こんなにも慌てているのか。
それは
雪華に背負われ、ぐったりした時透無一郎が原因だった。
―――
―――――
個室のベットに寝かされた無一郎は、穏やかにその翡翠の瞳を閉じていた。
「外傷は、大したことありません」
そう告げるも、彼女の表情は曇ったまま。
「時透君は、眠っているようですが
何があったんですか?」
心配そうに無一郎の顔を覗き込んでいた雪華も、しのぶに話をする為、側にあった丸椅子に腰掛けた。
無一郎と一緒に救援へ向かった先にいたのは、下弦の鬼だった。
その鬼を倒すのは、そう難しくはなかった。
柱2人も向かう程でもなく。 あっけなく鬼の頸を無一郎が斬った。
しかし、鬼の頸が地面に転がったと同時に、無一郎はその場に倒れてしまった。
何の前触れも無かった為か、雪華もすぐに状況を把握する事が出来ないまま。
無一郎に駆け寄る雪華に、地面に転がった鬼の首は楽しそうにこう告げた。
―俺の頸を斬った褒美をくれてやる
七日七晩、そいつは自分の一番見たくない過去を見続ける。 俺の血鬼術でな
そして最後には、精神崩壊して廃人になる―
「厄介な血鬼術を…」
『しのぶ、何とかならない?
無一郎の目を覚ます方法は無い?!』
「落ち着きなさい」
しのぶの肩を掴み、食って掛る雪華に、落ち着くよう強く言った。
『……ごめん』
冷静さを欠いていた事に気付き、しのぶの肩を掴んでいた手を放した。
頭を冷やしてくると、病室から出て行ってしまった。
その姿を見送ったしのぶは、ベットで眠る無一郎に視線を向けた。
あの時から不思議に思っていた
産屋敷邸に保護された重症の時透君を、雪華が世話をさせてほしいと、お館様に願い出た時
この子は、雪華の家族でも友人でも知人ですらない、赤の他人
にも拘らず、何故この子にこれほど執着するのか?
聞けば、雪華もこの子と知り合ったのは最近の事だと
他の隊士や柱達とは違う
雪華が時透君へ抱いている感情は、仲間内だとか恋愛感情だとか、そんな生易しいものではないのかもしれない
どんな時でも
冷静で、情に流されることなどない雪華が、ああまで取り乱すなんて…
「…あなたは本当に
雪華にとって、かけがえのない人…のようですね」
微笑むその表情は、憂いを帯びた様な、切なさが滲んでいた。
ーー
ーーー
無一郎に掛けられた血鬼術を解く方法を、しのぶは調べてみると言った。 しかし、あまり期待はしないように。とも言われた。
病室に戻った雪華は、再び丸椅子に腰掛け、無一郎の髪を撫でていた。
七日七晩
そいつは、自分の一番見たくない過去を見続ける
鬼が最後に言った言葉
一番見たくない過去って…
無一郎の場合は、きっとあの頃の記憶
失った記憶とは言え、無一郎の中から完全に消え去ったわけじゃない
鬼に襲われ 有一郎を失った日
絶望を知った あの出来事…
無一郎の右手を両手で包み込み、額を寄せた。
あんなものを、七日間も見続けるなんて…っ
寝顔を見る限り、魘されている様子はない。 穏やかなものだ。 しかし、それがいつ苦しみに歪んでしまうかも分からない。
だから、早く目を覚ましてほしい…。
『無一郎…』
鬼の頸を自分が斬っていれば。
無一郎が、こんなことにはならなかったのに…。
何も出来ない自分が、腹立たしい。
「雪華」
いつからそこにいたのか、静かに佇んでいた鎹鴉の天が雪華を呼んだ。
長年一緒にいるためか、その声色、声の掛け方、タイミングで任務だという事が分かる。
『すぐに、戻って来るから』
立ち上がり、眠る無一郎に声を掛けた。
名残惜しそうに握っていた手を離し、足早に病室を出る。
――
―――
―――――
少し空気の冷たい竹林の中を駆ける。
任務後に来た救援要請。
仲間を抱きかかえ、折れた日輪刀で応戦する隊士。 今にも鬼の爪が隊士に届きそうだった。
『…氷の呼吸、弐の型』
そのままの速度で走り込み、鞘から抜刀する。
その速度は素早く、隊士達も一瞬の出来事に何が起きたのか分からなかった。 気付いた時には鬼の頸は落ちていた。
ハラハラと氷の欠片が舞い散る中、雪華は隊士に声を掛ける。
『他に鬼は?』
「こ…この鬼だけです!
た、助かりました」
『なら、泣きべそかいてないで
早く、その隊士の応急処置しなさい』
「は、はいっ」
地面に寝かせ、手当てを始める。
震えながら手当てをする隊士と、地面に置かれた折れた日輪刀を見つめた。
『私が来るまで、よく頑張ったわね』
「!?」
顔を上げる隊士。
表情を和らげた柱からの、自分を労う言葉。
その瞳からは、涙が零れ落ちた。
死を覚悟した、あの瞬間。
生きている実感と安堵。
諦めずに戦い続けた誇り。
それが、雪華の言葉によって溢れ出したのだ。
一息つく間もなく、天が肩に止まった。
「雪華
北東方面。 竹林ヲ抜ケ、川ヲ渡ッタ先ニアル小サナ集落
救援要請ダ」
『今日は、立て続けね』
言いながら、現場へ急いだ。
―――
―――――
蝶屋敷へ戻れたのは、昼前だった。
丁度、病室から出てきたアオイと出くわした。
『アオイ、無一郎の様子は?』
「雪華さん。 まだ、目は覚ましていません
魘されている様子も、ありませんでした」
『そう…』
安堵した表情の雪華に扉を開け、どうぞと中へ入るよう促す。
ベットの脇まで行き、眠っている顔を覗き込む。
数時間前、ここを出た時と何ら変わりはなかった。 それを喜ぶべきか、哀しむべきか。
ただ、魘されていない事には安心した。
『…無一郎……無一郎』
頬をぺちぺちと軽く叩いてみるが、無一郎の瞼が上がるわけも無く。
こんなことで目覚めるのなら、苦労はしない。
一つ溜息を吐き、丸椅子に腰掛けた。
そこからの5日間。 何かの示し合わせの様に、担当地区のあちこちに鬼の出没が相次いだ。
それに伴い、無一郎の抜けた穴も埋める為、本当に引っ切り無しだった。
無一郎の病室に行っては、小一時間も滞在すること無く任務や救援要請が入る。
それは確実に、焦りや苛立ちを募らせていった。
特に、殆どが救援要請ときた。 普段は、然程気にならなかった事。
しかし、無一郎の事があり、腹の中に沸々と煮え滾(タギ)るものを感じていた。
3日目を過ぎた辺りから、それは明らかな変化だった。
目撃した隠によると、いつもとは全く違っていたという。
救援に来ては、無言で鬼の頸を斬り、無言で去って行くのだと。 要請を出した隊士達も、その様子に呆然としていた。
ーー
ーーー
ーーーーー
「しのぶ様!」
パタパタと小走りに駆け寄って来たアオイに、疑問の声を上げる。
「どうしました?」
「それが…
雪華さんが、またこちらに
屋敷に戻って、ちゃんと休んでくださいと、何度か声を掛けているんですけど…」
「…わかりました
私からも、言っておきます」
「お願いします」
無一郎が眠りに付いてから4日が経っていた。
毎日、時間を見つけては様子を見に来る雪華を、アオイは心配していた。
睡眠や食事は取ってはいる。 任務に支障をきたす事も無い。
しかし、身体は休まっても、心が休まる暇が無いのではないか? それを懸念していた。
このままでは、雪華まで倒れてしまうかもしれない。
ノックをし、扉を開ける。
窓から入る涼しい風が、カーテンをそよそよと靡かせていた。
すぐ下のベットには、眠っている無一郎と、その脇で丸椅子に座り、ベットに突っ伏して眠ってしまっている雪華の姿があった。
握っていたであろう無一郎の手は、眠った雪華の頬辺りにあり、その手を抱き締めるかのように雪華の手が重なっていた。
それは、まるで
かけがえのない大切な人を、失いたくない心の現れのようだった。
自分も彼女も
それを失う悲しみは、十分すぎるほど知っている。
だからと言って、今彼女に倒れられては非常に困る。
しのぶが病室に一歩入った所で、肩に鎹鴉の天が止まった。
「胡蝶シノブ
今ハ、雪華ノ思ウヨウニ、サセテホシイ」
「柱である雪華に、倒れられるわけにはいきません
只でさえ、時透君の抜けた穴を埋めなければならないのですよ」
「ワカッテイル
ダガ、ココニ来ルコトデ…時透無一郎ノ無事ヲ確認スルコトデ
今ニモ切レテシマイソウナ、貼リツメタ糸ガ、少シ和ラグノダ」
だから、今はこのままここで寝かせてやってほしいと願い出た。
天はとても優秀な鎹鴉だ。
柱である雪華が倒れでもしたら、どうなるかなど解っている。
本当ならば、しのぶの言うように、屋敷でしっかりと休養を取らせるべきだ。
しかし、雪華の心の不調を直で感じているのも、一番近くにいる天だった。
天に向けていた視線を、再び眠っている2人に向けた。
そして、溜息を一つ。
「わかりました
ただし、限界だと私が判断した時は、ここに来ることを禁じますからね」
「………承知シタ」
青筋を浮かべた顔に、笑顔を張り付けた顔で言われた。
そして、5日目を迎えたその日。
遂に、雪華の苛立ちが頂点に達した。
「ありがとうございます!
不知火さん、助かりました!」
いつもの様に口々に感謝の言葉が飛び交う中、くるりと隊士達に振り返った。
『この程度の鬼で、救援要請を出すな
5人も集まって、たった1匹の鬼の頸も斬れないなんて
あんた達の階級は全員”癸”なわけ?
日々の鍛錬が、全く足りてない証拠だ』
蔑(サゲス)むような氷の瞳で睨まれた隊士達は、その迫力と凄みに背筋を凍らせた。
背を向け、その場を去って行く雪華に、氷漬けにさせられた隊士達の中には、何故か胸をときめかせた輩がいたとか。
『……はぁ~~~…』
大きな溜息を吐く雪華の肩に、羽音を一つさせ、天が止まった。
「苛立ッテイルナ」
その言葉に額に手を当て、また一つ溜息を吐く。
『下の子達に、あたってしまった…』
苛立っていたからと言って部下に当たるなんて、柱としてあるまじき行動だ。
少しの後悔と反省をしていると、天が口を出した。
「シカシ、雪華ノ言ッタ事ハ、概ネ正シイ
最近ハ、スグニ救援ヲ出ス者ガ多イ。 甘エタ輩ガ増エテイル
アレグライ厳シクシタ方ガ良イダロウ」
「雪華ハ、甘スギル」と続けた天。
そんな天の嘴(クチバシ)を撫でて、感謝を伝える。
すると天は、ついでのようにこうも続けた。
「モウ一ツ
時透無一郎ガ目ヲ覚マシタ」
『…』
嘴を撫でている手が見事に止まったことは、言うまでもない。
『なんでそれを一番最初に言わないのよ! バカ!!』
肩にいる天をその場に置き去りにし、物凄い速さで走って行ってしまった。
「…」
少し、寂しく思う天であった。
木々の枝を蹴り、家屋の屋根を飛び越え、文字通り真っ直ぐに蝶屋敷へ走って行った。
休憩も入れず、走って蝶屋敷へ戻った。 玄関先で膝に手を付き、苦しそうに息を切らす。
こんなことは初めてで、心臓が壊れるんじゃないかと言う程、脈打っている。
少し息を整え、蝶屋敷の玄関を開けた。
草履を無造作に脱ぎ払い、中に入って行く。
「雪華さん?! すごい汗ですよ!」
『ごめんっ、急いでるから!』
途中、アオイとすれ違い際に心配の声を掛けられたが、今の雪華にはそれに対応する余裕などありはしない。
目を覚ました無一郎が、今どういう状況にあるのか。
不安と焦りに、静まりつつあった心臓が嫌な鼓動を奏で出す。
……無一郎っ
廊下を真っ直ぐ行き、突き当りを右へ。 更に真っ直ぐ行った一つ目の通路を左に曲がり、二つ目の扉。
『無一郎!!』
ばんっ!と、病室内に響き渡る大きな音と共に、中の光景が目に入った。
中にいた2人は、大きな音もそうだが、それを発した原因が扉を開け放った雪華だという事の方に驚いているようだ。
「…」
「雪華
ここは病室ですよ? 静かにしてくださいね」
青筋を額に浮かべたしのぶの言葉など、耳に入ってこなかった。
ベットの上には、上半身を起こして座っている無一郎の姿があった。
ずっと閉じられたままだった綺麗な翡翠の瞳が、こちらを向いていた。
その表情は、悪夢を見た後とは思えない程、いつも通りだった。
『…っ』
ズカズカと中に入り、無一郎に歩み寄った雪華は、ベットに膝を付き、そのままの勢いで無一郎を抱きしめた。
「え?」
「まぁ」
突然の出来事に、目を丸くする無一郎としのぶ。
まさか雪華が、こんな行動をするとは予想もしていなかった。
そんな彼女に、しのぶは口元をフッと上げた。
「では、また明日の朝、診察に来ますね」
「はい…」
丸椅子から立ち上がり、病室を出て行ったしのぶ。 気を利かせたのだろう。
パタリと閉まる扉から、未だ自分に抱きついたままの雪華に意識を向ける。
「…雪華?」
名前を呼ぶも返事が返って来ない。
この状況を、自分はどうすれば良いのか。 全く答えが見つからない。
…僕も、抱きしめた方がいいのかな?
と、雪華の背中に手を伸ばそうとするも、本当に良いのか手が彷徨(サマヨ)ってしまう。
『…大丈夫‥なの?
嫌な夢…見てたんじゃない?』
反応があった。
少しホッとした。
「…よくわからない
目が覚めたら、何も覚えてなくて…
でも…悲しい気持ち…なのかな?
残ってるような感じがするんだ」
それは、やはり眠っていた5日間。 見たくない過去を見続けていたのは間違いない。
あの時の光景だったのかは、今となっては確かめようがない。
何を見ていたのか、覚えていない事が唯一の救いだ。
「…雪華がこうしてくれると、すごく安心する」
そう言った無一郎も、今度は迷うことなく雪華の背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめ返す。
それが、どうしようもなく哀しくて、嬉しくて。
胸につっかえていた不安が安堵に変わり、瞳からぽろぽろと溢れ出してしまった。
思っていた以上に、不安を募らせていたのだと、今になって気付くなんて。
ほんの少し震える雪華に、気付かない無一郎ではない。
「雪華…泣いてるの?」
『……っごめん』
謝る雪華を、ゆっくりと自分からひっぺがした。
離れた雪華は、俯いていて表情が見えない。
前髪で隠れる瞳からは、ポタポタと雫が落ちていくのが見える。
こてんと首を傾げて雪華を見つめた。
「なんで、雪華が謝るの?
何も悪い事、してないのに…
……ねぇ、雪華」
俯く頬を両手で包み込み、顔を上げさせた。
いつも優しい笑顔を作っている眉は、八の字に下がり。 潤む金色の瞳には、溢れんばかりの涙。
涙のせいで、目元は少し腫れぼったくなっていた。
『……血鬼術の…せいで、無一郎が…見たくもないモノを、見るって…わかってたのに……
私…何も…してあげられなくて…
起こしてあげることも…代わって、あげることも…できなくてっ……』
無一郎が
またあんな思いをしてしまうのかと思うと
心が 抉られるようで
溢れる涙が再び零れ落ち、頬を包んでいる無一郎の両手を伝っていく。
そんな雪華に、そっと顔を近づける無一郎。 コツンと額をくっつけた。
「胡蝶さんが言ってた
毎日、少しの時間でも、僕の傍にいてくれたって」
この5日間
雪華の担当地区は、鬼の出没が多くて
本当に忙しかったんだって
そんな中
僕のために、大切な時間を使ってくれた
「ずっと、手を握ってくれてたって…
それだけで十分だよ」
目を少し細め、笑む様な無一郎に、また涙が溢れた。
なかなか泣き止まない雪華に、今度は困った顔をする。
「雪華…もう泣かないで」
『……うん』
頷くも、涙を引っ込ませるには、もう少し落ち着く必要がある。
滅多に涙を見せることが無い為、一度溢れ出してしまうと、なかなか涙腺が締まってくれなくて困る。
無一郎が優しいのも悪いのだと、心の隅で思う。
困った無一郎は、雪華の目尻に口付けをし、溢れる涙を吸い取ってやる。
反対の目尻も、同じ様に涙を吸い取った。
「雪華が泣いてると、僕も悲しい
雪華が笑ってくれると、僕も嬉しいから」
そんな風に言ってくれる無一郎に、まだ涙が残る金色の瞳を細めて笑って見せた。
本当に 良かった
無一郎が 目を覚まして
見ていた夢を 覚えていなくて
本当に…本当に……
「ねぇ、雪華
もう一回、ぎゅってしていい?」
『…うん』
あなたが安心するのなら
何度でも…
・END・
23/11/5
おまけ↓
蝶屋敷へ、たまたま来ていた蛇柱と恋柱。
無一郎が目を覚ましたと聞いて、お見舞いに来た。
「時透君。 お2人がお見舞いに…」
「……何やってんだ、お前ら」
「(なになに? この状況?!
あれ、雪華ちゃんよね? 無一郎君と抱き合ってるわ!
きゃ~~~~っ!!
かわいいわv かわいいわ!!)」
「すみません。 お邪魔でしたか?」
「あ。 胡蝶さん
雪華、寝ちゃったみたいで…」
「珍しいことも、ありますね
このまま寝かせてあげましょうか?」
「…僕は、構わないけど」
「冗談です♪」
「…」
本当に、このままで良いと思っていた無一郎。
雪華は起こされ、他の病室のベットに行かされた。
もう少し
一緒にいたかったなぁ…
…残念
・終わり・