Seesaw
「…おい、」
「…。」
「テヒ「あ、ぐがあ〜!」あ、ちょっ」
またか。小さくため息をつく。
もう、どのぐらいお前と話をしていないのだろうか。
なあ、テヒョンア。
俺たちちゃんと話をした方がいいと思うんだ。
離れていった背中を見つめると、一つ下の弟と何やら近い距離で話をしているテヒョン。その姿を見て再びため息をついてソファに腰をかけ目を閉じ俺らの関係が始まったあの日の事を思い出す。
顔を真っ赤にして俺の作業室にきたテヒョン。
(あの、ユンギヒョン。)
(どうした?)
(あの、)
(うん。)
(俺、ヒョンの事が好き。)
(…………え?)
(ヒョンは?)
(…。)
(俺の事どう思ってる?)
不安そうに見つめてくるテヒョンに、
俺の口は勝手に彼と同じ台詞を吐いた。自分の口から出た言葉に戸惑い、いや今のは違うんだと弁解しようとテヒョンを見ると、まるで花が咲いたような笑顔で俺を見つめてくるから何も言えずただ幸せそうな彼の顔を見つめていた。
それからというものテヒョンは前にも増して俺にベッタリと引っ付くようになった。
他のやつなら直ぐにやめろと言えるのだけど、恋人になったからなのか、テヒョンには文句のひとつも言えなかった。思えば付き合う前から俺はこいつには何故か強く突き放すことが出来なかった。今思えば俺はこの時点でテヒョンの事が好きになっていたのだ。
俺とテヒョンが付き合ってから、何日か経ったある日、その日は久しぶりのオフで各々好きな事をやって過ごしていた。俺はいつもの様に作業室にこもって作業を進めようとしても、何故か上手くいかず休憩がてらリビングに足を運んだ。
「休憩?」
リビングに行くと、丁度コーヒーを作っているジニヒョンがいた。まあ、そんなところです。そう答えて椅子に座り携帯を触っていると、ヒョンは二人分のコーヒーを持って向かい側の椅子に腰をかけた。
「はい。」
「…どーも。」
渡されたコーヒーに口を付けると、そう言えばさあ。
とヒョンが口を開いた。
続きを促すように視線だけ送る。
「最近テヒョンアお前にベッタリだね?」
「…そうですね。
やっと今日は1人でのんびり過ごせそうです。」
「ふふ、本当にそう思ってる?」
「え?」
俺の持っている携帯にヒョンの視線が行く。
これがどうしたって言うんだ。
「連絡、待ってるんじゃないの?」
「っ!」
図星だった。
いつも隣にいたテヒョンが側に居ないと何故か落ち着かなくて、いつ連絡が来てもいいように普段持ち歩かない携帯を握りしめていた。
「連絡してみたら?
あいつは急いで帰ってくると思うよ?」
「ヒョンは、知ってるんですか?」
俺達の関係を。
「ううん、何も知らないよ?
でもね、」
その後に聞こえてきた言葉に俺は顔を真っ赤にして、
再び作業室に急いで駆け込んだ。
「ユンギが愛おしいものを見るような目でテヒョンを見てるのは知ってるよ。」
作業室に戻り、遊びに行くと言ってきたテヒョンに
[気を付けて]
そう送ったっきり返ってこなくなったトーク画面を開き
文字を打ち込んだ。
[テヒョンア。]
[早く帰ってこい。]
[作業室で待ってるから。]
今、どうしてもお前に伝えたいんだ。
あの時不安そうなお前を、安心させるためにと思って口にした言葉を、今日はちゃんと俺の気持ちとして伝えたい。
暫くすると作業室のドアがバァン!と開いた。
息を切らしながら俺を見つめるそいつに、本当にジニヒョンの言う通りだったな。なんて思いながらも自分の口角が上がるのが分かる。そのままテヒョンに近付いてぎゅうっと抱きしめた。
「おかえり。」
「っ、ヒョン?」
「テヒョンア、」
「なん、ですか、」
「好きだよ。」
「っ!?」
そう言って少し体を離して、走ってきたからなのか、それとも俺の言葉のせいなのか、真っ赤にした顔を指で撫でながら、笑うと四角になる彼特有の口に自分の唇を重ねた。
「…。」
「テヒ「あ、ぐがあ〜!」あ、ちょっ」
またか。小さくため息をつく。
もう、どのぐらいお前と話をしていないのだろうか。
なあ、テヒョンア。
俺たちちゃんと話をした方がいいと思うんだ。
離れていった背中を見つめると、一つ下の弟と何やら近い距離で話をしているテヒョン。その姿を見て再びため息をついてソファに腰をかけ目を閉じ俺らの関係が始まったあの日の事を思い出す。
顔を真っ赤にして俺の作業室にきたテヒョン。
(あの、ユンギヒョン。)
(どうした?)
(あの、)
(うん。)
(俺、ヒョンの事が好き。)
(…………え?)
(ヒョンは?)
(…。)
(俺の事どう思ってる?)
不安そうに見つめてくるテヒョンに、
俺の口は勝手に彼と同じ台詞を吐いた。自分の口から出た言葉に戸惑い、いや今のは違うんだと弁解しようとテヒョンを見ると、まるで花が咲いたような笑顔で俺を見つめてくるから何も言えずただ幸せそうな彼の顔を見つめていた。
それからというものテヒョンは前にも増して俺にベッタリと引っ付くようになった。
他のやつなら直ぐにやめろと言えるのだけど、恋人になったからなのか、テヒョンには文句のひとつも言えなかった。思えば付き合う前から俺はこいつには何故か強く突き放すことが出来なかった。今思えば俺はこの時点でテヒョンの事が好きになっていたのだ。
俺とテヒョンが付き合ってから、何日か経ったある日、その日は久しぶりのオフで各々好きな事をやって過ごしていた。俺はいつもの様に作業室にこもって作業を進めようとしても、何故か上手くいかず休憩がてらリビングに足を運んだ。
「休憩?」
リビングに行くと、丁度コーヒーを作っているジニヒョンがいた。まあ、そんなところです。そう答えて椅子に座り携帯を触っていると、ヒョンは二人分のコーヒーを持って向かい側の椅子に腰をかけた。
「はい。」
「…どーも。」
渡されたコーヒーに口を付けると、そう言えばさあ。
とヒョンが口を開いた。
続きを促すように視線だけ送る。
「最近テヒョンアお前にベッタリだね?」
「…そうですね。
やっと今日は1人でのんびり過ごせそうです。」
「ふふ、本当にそう思ってる?」
「え?」
俺の持っている携帯にヒョンの視線が行く。
これがどうしたって言うんだ。
「連絡、待ってるんじゃないの?」
「っ!」
図星だった。
いつも隣にいたテヒョンが側に居ないと何故か落ち着かなくて、いつ連絡が来てもいいように普段持ち歩かない携帯を握りしめていた。
「連絡してみたら?
あいつは急いで帰ってくると思うよ?」
「ヒョンは、知ってるんですか?」
俺達の関係を。
「ううん、何も知らないよ?
でもね、」
その後に聞こえてきた言葉に俺は顔を真っ赤にして、
再び作業室に急いで駆け込んだ。
「ユンギが愛おしいものを見るような目でテヒョンを見てるのは知ってるよ。」
作業室に戻り、遊びに行くと言ってきたテヒョンに
[気を付けて]
そう送ったっきり返ってこなくなったトーク画面を開き
文字を打ち込んだ。
[テヒョンア。]
[早く帰ってこい。]
[作業室で待ってるから。]
今、どうしてもお前に伝えたいんだ。
あの時不安そうなお前を、安心させるためにと思って口にした言葉を、今日はちゃんと俺の気持ちとして伝えたい。
暫くすると作業室のドアがバァン!と開いた。
息を切らしながら俺を見つめるそいつに、本当にジニヒョンの言う通りだったな。なんて思いながらも自分の口角が上がるのが分かる。そのままテヒョンに近付いてぎゅうっと抱きしめた。
「おかえり。」
「っ、ヒョン?」
「テヒョンア、」
「なん、ですか、」
「好きだよ。」
「っ!?」
そう言って少し体を離して、走ってきたからなのか、それとも俺の言葉のせいなのか、真っ赤にした顔を指で撫でながら、笑うと四角になる彼特有の口に自分の唇を重ねた。
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