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交わらない視線



「ジミナ、好きだよ。」




嘘つき。お前が好きなのは俺じゃないくせに。


身体を重ねる度に虚しくなる。


こんな関係終わりにした方がいいと分かってはいるのに、彼の手を離すことが出来ない。


何故かって?


それは俺が彼を愛しているから。


心が手に入らないのならせめて身体だけでも自分のものにしたくて、あの日弱っていたお前の欲を受け入れたんだ。



「俺は愛してるよ、テヒョンア。」


他の誰よりも。

最後の言葉は口にしない。

心も手に入れた時に伝えたいから。


ユンギヒョン。貴方が羨ましい。

テヒョンに愛されてる貴方が憎い。

ユンギヒョンになりたい。

そんなことは思わない。


だって、俺自身を愛して欲しいから。



だから、


ねえ、テヒョンア。

いつになったら俺を本当に愛してくれる?




「好きだよ。」そう言うと、悲しそうな顔をする。ごめんね、気付いてるんだよね。


俺が違う人を愛している事を。


優しいお前を利用して、

俺の寂しさを埋めてもらう。

こんな最低な俺でも

お前は「愛してる。」と口にする。


お前を本当に好きになれたら、


あの人を嫌いになれたら、


俺は幸せになれるの?


そんな事を考えながらジンヒョンと楽しそうに話している彼を見つめると、一瞬だけ目が合う。

慌てて逸らすと、舌打ちをされた。


ああ、また嫌われちゃった。

でも嫌われてても嫌いになれないんだ。


ねぇ、ユンギヒョン。


どうすれば俺の事を好きになってくれますか。





慌てて逸らされた視線に思わず舌打ちをすると、目の前のジンヒョンの焦った声が聞こえてきた。

すいませんと口では謝りながら視線をあいつに固定したままでいる。その俺の視線の先では“親友“にしては近すぎる距離でジミンと楽しそうに話をしている。


ズキンと胸が痛んだ。


俺のやりたい事を簡単に叶えてしまうジミン。


何度その姿に嫉妬をしたか。

何度同い年が羨ましいと思ったか。

何度ジミンになりたいと思ったか。



お前は何もわかってない。


俺がどれだけお前のことを愛してるのか。


なあ、テヒョンア。

いつになったら俺を見てくれる?
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