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砂糖

塩対応だと普段から言われているユンギヒョンは何故かテヒョンにだけ甘い。
確かに僕や他のメンバーも、テヒョンの事はついつい甘やかしてしまうことがあるけど、それとは比べ物にならないぐらい甘やかしている。

そして、現に今もテヒョンに膝枕をしてあげている。

膝枕ぐらい僕もするけど、でもあのユンギヒョンだよ?他のメンバーが借りようもんなら瞬時に殺される。
いやその前に借りようなんて絶対に死んでも思わないけど。

あと、絶対に入るなと言われている作業室でさえ、テヒョンは暇な時好きに来ていいと言われてるし。(本人から聞いた。)

皆でご飯を食べる時だって、テヒョンの好物があれば直ぐにお皿に装ってあげたりと、例を挙げるとキリがないぐらい甘すぎるのだ。


なんて考えている場合じゃなかった。


もう一度視線をソファに戻すと、膝で眠っているテヒョンの頭を少し微笑みながら撫でているユンギヒョン。
いいなあ、僕もテヒョンに甘えられたい。
なんて思いながらじいっと見ていると、そこに近づく勇者が1人。

チョン・ジョングクだ。

こいつもテヒョンへの愛が凄い。
ユンギヒョンが忙しくてテヒョンのそばにいない時は、必ずと言っていいほど此奴が隣にいる。おかげで僕は最近テヒョンに触れれてないのだ。


「ヴィヒョーン♡♡…って、あ!
またユンギヒョンがブィヒョンを独り占めしてんのかよ。」


「…なんだよ、なんか文句あっかよ。」


「別にぃ?
あーあ。ブィヒョンが好きなお菓子あったから一緒に食べようと思って持ってきたのに、寝てるなんて。」


「こいつ起きたら渡すから置いとけ。」


「やです〜。俺が自分で渡します〜。」


「…あっそ。」


「大体ユンギヒョンはスキンシップ苦手じゃなかったんですっけ?なんでブィヒョンにだけはそんなに積極的なんですか?他のメンバーにするみたいに同じように冷たくしてくれれば、俺だってブィヒョンと話せるのに。」


いいぞ、もっと言ってやれジョングク。
なんて心の中で応援しながら、二人の会話を盗み聞きする。


「恋人を甘やかして何が悪い。」


「「…は?」」


思わず声が出てしまった。


「ジミンまでなんだよ。」


「だって、恋人って、え??」


「あ、はは。
ユンギヒョン冗談はよして下さいよ。」


「冗談なんか言ってねえよ。」


「え…?
本当に付き合ってるんですか?」


「あぁ。」


俺らの目を見てしっかりと頷いたヒョン。


「「聞いてないんですけど!?」」


再びジョングクと声が重なる。

あまりにも大きな声で叫んだせいで、テヒョンが目を覚ましてしまった。


「…ん、なに?」


「ごめん、起こした?」


そう言いながら、目を薄らと開けたテヒョンのおでこをふわりと撫でるヒョンと、ふにゃりと笑って「大丈夫、」と返事をするテヒョン。


「あぁ、そうだ。テヒョンア。
俺らが付き合ってるのこいつらに言ってなかったの?」


「ん?ジミナとグガに?
…あー、言ってない、かも?」


「…やっぱり。今伝えたらこの有様。」


「え?そんなにびっくりする?」


「ビックリしてるみたいだな。」


「でも俺ずっとヒョンに引っ付いてるから、言わなくても普通に気付いてるだろうなって思ってた〜。」


「ふは、確かにずっと引っ付いてるなぁ。」


「…。」


「テヒョンア?」


「…もしかして、ヒョンは俺に引っ付かれるの嫌だったりする…?」


「嫌だったらとっくに言ってる。」


「ふふ、そっか。」


俺たちの存在を忘れたかのようにふたりの世界に入りだされ、何も言えず固まっていると、隣で同じように固まっていたジョングクが、口を開いた。


「…ヴィヒョン、本当に付き合ってるの?」


「うん、本当に言わなかったっけ?」


「じゃあ指輪見てたのって、」


「あー!それは言っちゃダメ!!」


「指輪?」


「ああ、ずっとペアリング見てたのはそういう事「ジミナ!!!」あ、ごめん。」


「テヒョンア?」


もう何となく分かったんだろう。
ニヤニヤした顔でユンギヒョンがテヒョンを見つめる。くそ、むかつく顔してるな。(怖いから心の中で悪口を言う。)


「もうすぐ、100日になるでしょ?
だから、ペアリングをプレゼントしようかなって思ってたのに、2人のせいで台無しじゃんか。」


「別に指輪じゃなくても、俺はお前から貰えるなら何だって嬉しいぞ。
あの時の陶器だって「あー!言わないで!」ははっ、」


再び2人の世界に入り始めたので、ジョングクと静かにリビングを後にした。




******



2人がリビングを出たのを確認すると、テヒョンが起き上がって抱きついてきた。


「どうした?」

「んー?充電中〜。」

「はは、俺バッテリーなの?」

「俺限定のね〜。そして俺はヒョンのバッテリーだから、ヒョンも充電中〜。
一石二鳥〜。」



意味が分からないけど、まあいいやって思えるのはこいつだからというのと、あながち間違いではないからだ。

テヒョンの背中に腕を回すと、最近作業詰めで疲れていたはずなのに、何故かすうっと疲れが取れていくような気がした。


ああ、俺は本当にこいつの事が

「「好きだなあ…」」

思わず重なった声にお互いびっくりして、そのまま顔を見合わせて笑った。

ああ、これが幸せって事なのだろうか。

なんてらしくないことを思っていると、

「ふふ、俺今なんか幸せ。」

なんてふにゃりと笑うテヒョン。

ああ、もう本当にこいつは、


愛おしくて堪らなくなって、「愛してる。テヒョンア。」そう言って唇に触れるだけのキスをする。

「うー、ずるい//」

「ふは、ずるい?」

「そんな事されたらもっと好きになっちゃうじゃん。」

「っ!///」

「…?ヒョン?」

「お前、それは反則。」

「…?」

キョトンとしている顔に悔しくて、軽くデコピンをしてやる。
無意識にそういうことを言うお前の方が、よっぽどずるいと思うけど。なんて言葉は口に出さず、痛い〜!なんて笑いながらおでこを押さえているテヒョンに、今度はさっきよりも深いキスをした。
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