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短編集

収録を終え、宿舎に戻ろうとする時にテヒョニヒョンから『ちょっと寄り道して行かない?』とお誘いを受け、俺とヒョンだけ歩いて帰ると伝えると、すんなりと許可がおりた。
いつもなら俺もテヒョンアと行くだの、お前とテヒョンアをふたりきりにさせる訳には行かねえだの、文句を言ってくるヒョン達(誰かは察して)も、ナムジュニヒョンとホソギヒョンに押さえつけられている。その光景を不思議に思いながらも、久しぶりのデートと言ってはなんだけど、ふたりきりで外に出かけられる。それだけで口角が上がるのが分かる。


「「じゃあまた後で。」」


そう言い残して皆が乗るバンから離れると、『お前今日だけだからな!』『次はねえから!』なんて未だにしつこく叫んでいるヒョン達。そんな声を無視して、テヒョニヒョンの手を握ると嬉しそうに握り返された。これだけの事なのに幸せな気持ちになれるのは、ただの夜道がいつもより綺麗に見えるのも、きっとヒョンだからなんだろうなあ。なんて本人には言ってあげないけど。


「ねぇ、グガ。」


「ん?」


「ちょっと遠くのコンビニ行かない?」


「いいけど、なんで?」


「んー?なんとなくかなあ。」


「そっか。」


「ふたりきりの時間長くなるね。」


「…っ、くそ。
ここが外じゃなかったら襲ってたよ今。」


「じゃあチューだけしよ?」


「え、?」


「やだ?」


上目遣いでそう聞かれてしまえば、俺はノーなんて言えない。


「俺がそれに弱いの知っててやってる?」


「うん、もちろん。」


「くそ、」


憎たらしく笑う唇に思い切り噛み付くようなキスをした。息ができないほど深いキスをすると、だんだん苦しくなってきたのか俺の背中をトントンと叩いてるけど、知らないふりをする。これはさっきの仕返しだよ、ヒョン。それから暫くして唇を離すと、はぁ、はぁと肩で息をして俺の方を軽く睨んでいるヒョンに、満面の笑みを送り返し、手を繋いで目的のコンビニへと歩き出すと、大人しく着いてくるヒョン。本当にそういう所が可愛くてたまらない。


「ヒョン怒った?」


「…怒ってないけど。

苦しくて死ぬかと思った。」


「大袈裟だなあ。」


「えへへ」


そう笑ったヒョンにまた軽く触れるだけのキスをした。たわいもない話をしながら歩いていると、いつの間にか目的のコンビニに到着した。自分が食べたいものと、ヒョン達へのお土産としてお菓子をカゴに入れていくと、コーラとお菓子を持ったヒョンが近づいてきた。



「ふふ、グクこんなに食べるの?」


「んーん。俺のはこれ。
後はヒョン達の。」



そう言うとコンビニの中なのにも関わらず、思い切りぎゅうと抱きついてきた。



「ん?どうしたの?」


「ううん。好きだなあって。」


「…は?」


「あはは、顔真っ赤だよ。」


「…うるさい、」



からかってくるヒョンを無視して、他になにか必要なものが無いか回ってから、レジへと向かう。いつものように財布を出そうとすると、「ちょっと待って!」と阻止される。



「え?」


「今日は俺が出す!」


「…なんで?」


「出したい気分なの!」


「え、俺好きな人にはお金使わせたくない主義なんだけど。」


「…っ、」


「次はヒョンが真っ赤だね。」


「っ、グガ嫌い!」


「…ふーん、そうですか。」


「あ、や、あの。」


「ほら、帰りましょ。」


支払いを済ませ、先程まで繋いでいた方の手でレジ袋をもってコンビニの外へ出る。そのまま無言で歩いていくと、くいっとシャツを引っ張られた。


「ごめ、グガ、さっきの嘘だから、」


「なにが?」


「俺、グガのこと大好き、だから。」


「うん。知ってる。」


「…っ!バカ!」


「冗談でも嫌いって言われたから、意地悪しちゃってごめんね?ほら、手繋ぎましょう?」


「うん!」



そのまま手を繋いでヒョン達の待っている宿舎へと戻った。ドアを開け中に入ると、パァン!と盛大な音ともにヒラヒラと何かが舞っていくのが見えた。



「誕生日おめでとう!!」


「え、」


ちらりと時計をを見ると丁度12の所で針が重なっていた。そこでやっと気がつく、なぜテヒョニヒョンが俺を誘った時、うるさく言われなかったか。なぜわざわざ遠いコンビニまで行ったのか。全部仕組まれてた事なんだと。後ろを振り向くと、ニコニコと嬉しそうに笑っているテヒョニヒョンが居た。その笑顔を見て初めて、幸せだなあと思った事は内緒にしておこう。


ヒョン達による豪華な料理と飾りつけと、テヒョニヒョンが事前に買っていたらしいケーキを並べ、再びお祝いの言葉をかけられる。食事を終え、プレゼントを受け取る。お酒も準備してあったため、きついステージのあとに飲んだせいか酔いがすぐ回ったジミニヒョンと、ユンギヒョン、ホソギヒョンを介抱するために、ナムジュニヒョンとジンヒョンは謝りながらリビングを離れていった。つまり、いまここには俺とテヒョニヒョンしかいない。



「…ねぇ、グガ。」


「…ん?」


ぴったりに背中にくっつかれる。これはテヒョニヒョンが何か言いたい時の癖だ。振り向かずそのままヒョンの言葉を待つ。


「誕生日おめでとう。

生まれてきてくれてありがとう。
防弾少年団になってくれてありがとう。

多分この先お前以上に好きになる人なんて現れないと思う。それぐらいお前のことを愛してる。

それなのに、いっぱい傷つけて、寂しい思いさせて、沢山迷惑かけて、わがままばっかりだし、めんどくさくて、いい所なんてひとつもないのに、こんな俺を好きになってくれて、愛してくれてありがとう。」


「…ヒョン。」


「世界で1番愛してるよ、グガ。」


「うん、俺も誰よりも愛してます。」


振り向いてそう伝える。


「お前が俺を必要としなくなる日までそばに居させてくれる?」


「それならヒョンはずっと俺の隣に居なきゃだめだね。」


「…え?」


「俺がヒョンを必要としなくなる日なんて一生来ないから。」


「…っ、」


「なんでヒョンが泣くの。」


「嬉しくて、」


「ふふ、本当に可愛いんだから。
でも泣くのはちょっと早いかなあ。」


「どういうこと?」


「ヒョン、左手だして?」


「?」


薬指にそっとリングをはめる。


「…何、これ。」


「一生そばに居てくれるんでしょ?」


そう言って自分の左手の薬指を見せる。


「…え、」


「ふふ、意味分かった?」


「っうぅ、グク、大好き。」


「ふふ、また泣くんだから。」


「…だって、」


「ま、そんな所も可愛くて好きだけど。」


「っ!」


驚いて顔を上げたヒョンに優しく口付けをした。そのまま優しくソファに押し倒し、シャツの中に手を入れ敏感な部分に触れる。


「あっ、やぁ、ダメっ」


「ダメなの?」


「んっ、おかしく、なる、から、」


「おかしくなってよ、ヒョン。」


そう言ってズボンを下ろし、上と下を同時に攻めると呆気なく果ててしまったヒョン。肩で息をしているヒョンに休む暇も与えずに、すっかり俺の形になってしまったそこに、自身を埋め込む。そのまま奥を激しく突くと、きゅうと締め付けてくる中に自分のものを吐き出した。久しぶりだったため、俺もヒョンも止まらなくて、クタクタになるまでお互いを求めあった。


ヒョンが意識を飛ばした所で行為を終え、身体を綺麗にしてベッドまで運んだ。

ベッドに下ろして、隣に寝転ぶと左手の薬指に光るお揃いのリングが目に入ってきて思わず口角が上がる。人生で1番の誕生日プレゼントを貰ったんじゃないだろうか。


「愛してるよ、テヒョンア。」

そう言って唇に触れるだけのキスをして、自分も眠りについた。


2人のペアリングに気付いたヒョン達に冷やさかれるのは数時間後のお話。


fin.
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