このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

短編集


夜遅く、静かに宿舎のドアを開ける。
流石にもうみんな眠って居るだろうと、音を立てないように靴を脱いで、リビングに入る。


「やっと帰ってきたか。」


なんで起きてるの。
早くここから離れないと。
そう思った頃には遅く、俺は既にソファの上に押し倒されていた。


「…ユンギ、ヒョン。」


「ふっ、怯えてんの?」


「…っ、」


「いいな、その顔。凄いそそる。」


そう笑ったかと思えば、唇を重ねられる。


「や、だ、退いて、ヒョン、」


「お前が俺を拒む権利なんて無いんだよ。」


そう言って、俺だけ服を全て脱がされた。


「やぁっ、ヒョン、」


「なぁ、なんで俺の言うこと守れねぇの?」


「他の男と会うなって言ってんのに、」


「しかも電話にも出ねえ。」


「俺を嫉妬させて、楽しいか?
テヒョンア。」


そう言いながら乳首を引っ掻かれる。
それだけで反応してしまう。


「あっ、違うっ、やめて、」


「ふは、感じてんの?」


「あっ、はっ、はぁっ、」


「こんな状況なのに興奮してんだ?」


にやりと笑う。
怖いはずなのに、嫌なはずなのに、これからされる事に期待してしまっている俺は、もうヒョンから逃げられない。


反応していた自身を直で触られ、快感の波に飲まれる。あと少しの所でヒョンの手の動きが止まる。


「んあっ、やぁ、ヒョ、」


「お前が愛してんのは誰だ?」


「はっ、ヒョン、だよ、」


「どのヒョン?」


「ユンギヒョ、っだけ、はっ、」


「なら俺以外の男なんて必要ないよなぁ?」


「っ、」


「答えらんねーの?」


それなら、とするりとユンギヒョンの両手が俺の首を包み、グイッと力をいれられる。


「このままお前を殺しちまおうか?」


「…っ、やめっ、」


「はは、苦しいか?テヒョンア。」


「っ、」


「俺も苦しかった。」


「お前が他の男と楽しそうにしてる度に、何回そいつ等を殺そうとしたか分からないぐらいにな。」


「俺の気持ち分かるか?」


「それほどお前を愛してんだよ。」


もうダメだ、
そう思った途端両手が離れた。


「はぁ、はぁ、」


必死に酸素を取り込む俺に、ハッとして正気に戻ったのか思い切り抱きしめられた。


「…っ、」


「テヒョンア、好きだ。好きなんだよ。」


「ごめんな、俺なんかがお前を愛してしまって、」



そう呟いてぎゅうと抱きしめてくる。苦しいのはこっちなのに、なんでヒョンが泣きそうなの。でもやり方は酷いけど、きっとこれがこの人なりの愛情表現なんだ。そう思うと不器用にしか愛せないこの人が、愛おしく無意識に手を伸ばし頭を撫でていた。


「…っ、んだよ、」


「俺も、愛してるよ。」


「ヒョンと恋人同士になったあの日から、俺の心はヒョンのものなんだよ。」


「苦しめられようが、傷つけられようが、俺はヒョンが好きだし、愛してる。だから、ヒョンは何も心配しなくていいんだよ。」


「…お前は馬鹿だな、」


「こんなやつ、捨てて逃げればいいのに、」


「そんなこと出来るわけないでしょ?」


「…俺はこれからも嫉妬して、お前に酷いことをすると思う。それでもいいのか?」


「全部受け止めるよ。」


「…なんで、」


「ヒョンを愛してるから。」


「…っ、」


「それが全てだよヒョン。」




*****



「あっ、んん、」


「痛くねえか?」


「んっ、だいじょぶ、んぁ、」



あの後部屋に移動して、冷めきっていた体に再び熱を持たせて、ユンギヒョンとひとつになった。ゆっくりだった動きが段々と早くなり、激しく腰を打ち付けられ、お互い限界に近づく。


「はぁ、テヒョンア、愛してるっ、」


「俺も、愛してる、よ、」


そう言って二人同時に果てた。
そのまま俺の上に倒れ込んで来たヒョンをぎゅうと抱きしめた。



「俺は絶対にヒョンから離れないよ。」


「…後悔しても知らねぇぞ。」


「しないよ、絶対。」


そう言って愛おしい人に、口付けをした。


fin.
3/18ページ
スキ