短編集
コンコンと控えめにノックされたドアを開くと、ニコニコしているテヒョンがいた。
「どうかしたのか?」
「いや、大して用はないんですけど、」
****
ちょっと出掛けませんか?と誘われ、断ることが出来なかった俺は、もう3月に入ったってのに寒い夜道をテヒョンと二人並んで歩く。
「寒っ、」
小さく呟いた俺の声に振り向いたテヒョン。
「ふふ、そうですね。」
顔を少し赤くしながら笑うテヒョンがあまりにも可愛くて、そういえば、と目を逸らしながら話題をふる。
「お前が来るなんて珍しいな。」
「うん、追い出されたの。」
「はあ?」
思わず大きい声が出てしまって、はっと口を抑えるとその行動を見ていたテヒョンは、また楽しそうに笑った。
「あはは、嘘だよ。
今みんな宿舎で料理作ったりしてるでしょ?
で、俺は料理出来ないから、何しようかなって思ってたらジンヒョンが、ケーキ作る時間なさそうだから2人で買ってきてくれない?って。」
「あー。なるほどな。」
絶対わざとだろ。
そんなことを思っていると携帯が震えた。
噂をすればなんとやら、ジンヒョンからだ。
「…はい。」
「ユンギ楽しんでる〜?」
「…要件はなんですか。」
「もー!可愛くない!!
せっかくナイスアシストしてあげたのに!!」
ジンヒョン?と口パクで聞いてくるテヒョンに頷くと、もしもし!?と騒がしい声が聞こえてくる。
「…なんですか。」
「ちょっとテヒョンに変わって!!」
「なんでですか。」
「ユンギが可愛くないから!!」
「…はあ?」
「いいから変わって!!」
携帯を耳元から離してテヒョンの方に差し出す。
「テヒョンア。
なんかジンヒョンがお前に変われって。」
「え?なんだろ。」
余計なこと言わないだろうなあの肩幅ヒョン。
じぃっとテヒョンの様子を見つめていると、ちらりとこちらを見たテヒョン。俺が見てるとは思っていなかったのか、視線が交わると慌てて逸らして電話口でボソボソと何かを話している。
なんだ、今の。
不思議に思いながらぼうっと辺りを見渡していると、目の前に携帯が差し出される。
「終わったのか?」
「うん。」
「なんか、顔赤くねえ?」
「!!気の所為だよ!」
ほら、行こ?と手を引かれる。
繋がれた手を見ながら付いていくと、あ、そういえば、と振り向いたテヒョン。
「あ、ご、ごめんなさい。」
俺が嫌がっているとでも思ったのか、離そうとする手をぎゅうと握る。
「俺は別にいいけど?」
「〜っ!」
「で?何?」
「あ、うん。
ジンヒョンが後1時間はかかるからゆっくり買い物してきて良いよって。」
「そっか。なんか見てえのある?」
「んー、」
テヒョンが場所を考えている間、俺はこいつに今日告白するかを悩んでいた。ジンヒョンが言っていたアシストとはそういう意味だろう。でももし、振られたら俺は…「決めた!」
「ん、どこ?」
「ふふ、内緒〜!」
そう言って歩き出したテヒョン。
まあ、着いたらわかるかと、特に何も触れずたわいもない話をしながら付いていくと、見覚えのあるカフェに着いた。
「…ここ。」
「ふふ、ヒョンも覚えてるの?」
「…初めて2人で来たカフェだろ。」
「えへへ、そうだよ。」
ああ、もう。
これ以上俺を好きにさせてどうする気だよこいつ。もう、振られてもいいや、ここで思いを伝えよう。そう思った。
「…入るか?」
「うん!」
席に着いて飲み物を頼み待っていると、ヒョンはさ、テヒョンが口を開いた。
「うん?」
「好きな人とか、いる?」
「…え。」
まさかテヒョンからそんなことを言われるとは思わず、固まったままテヒョンを見つめる。そんな俺を真剣な顔をして見てくるから、俺も真剣な顔をしているよ。と答える。
「そ、そうだよ「目の前に。」……え?」
今度はテヒョンが固まったまま俺を見つめる。
丁度そのタイミングで飲み物が運ばれてきて、お礼を言いながら受け取る。
「ヒョン、今、なんて?」
「お前のことが好きだって言ってんの。」
「…本当、に?」
「ふは、本当に。…で、返事は?」
溢れそうな涙を目に溜めているテヒョンに手を伸ばすと同時に、返ってきた返事に口角が上がる。
「俺も、ヒョンが好き、」
********
「ただいま〜!」
「ただいま。」
2人で手を繋ぎながら宿舎のリビングのドアをあける。丁度準備も終わりかけみたいで、全員揃っておかえり〜と出迎えてくれた。
「ふふ、上手くいったみたいだね。」
繋がれている手を見て嬉しそうにそういったジンヒョンに、お陰様で。と返す。
「良かったなテヒョンア。」
テヒョンはジミンに相談をしていたのか、ポンポンと頭を撫でられている。気に食わないけど、今日だけは許してやろうと思っていると、「ヒョン顔ww」と笑われたのでこいつのケーキはなしに、って、あ、やばい。
「すまん、ケーキ忘れた。」
「「「「「え?」」」」」
「もうなしでいい「ダメです。」」
「はあ、なんでまた外に出なきゃいけねんだよ。」
「あはは、あいつ変なとここだわりあるからね。」
結局何言ってもダメの一点張りのジョングクに負けて、再び買い出しに行かされた俺とテヒョン。
「それならあいつが行けばいいのに、」
「ふふふ、でも、」
「…ん?」
そう言いかけて携帯を見ながら固まったテヒョン。なんだ?一緒に携帯を覗き込むと、丁度日付が変わった。
「おめでとう、ヒョン。」
「ありがと。」
「ふふ、あいつのお陰で1番にヒョンのお祝い出来たから、俺は感謝しなくちゃ。」
「あー…、それじゃ俺も怒れねえじゃんか。」
なんて言いながら、あいつの好きなケーキでも買ってやるかなんて考え始めている自分がいた。
HappyBirthDayユンギさん!!
fin.
「どうかしたのか?」
「いや、大して用はないんですけど、」
****
ちょっと出掛けませんか?と誘われ、断ることが出来なかった俺は、もう3月に入ったってのに寒い夜道をテヒョンと二人並んで歩く。
「寒っ、」
小さく呟いた俺の声に振り向いたテヒョン。
「ふふ、そうですね。」
顔を少し赤くしながら笑うテヒョンがあまりにも可愛くて、そういえば、と目を逸らしながら話題をふる。
「お前が来るなんて珍しいな。」
「うん、追い出されたの。」
「はあ?」
思わず大きい声が出てしまって、はっと口を抑えるとその行動を見ていたテヒョンは、また楽しそうに笑った。
「あはは、嘘だよ。
今みんな宿舎で料理作ったりしてるでしょ?
で、俺は料理出来ないから、何しようかなって思ってたらジンヒョンが、ケーキ作る時間なさそうだから2人で買ってきてくれない?って。」
「あー。なるほどな。」
絶対わざとだろ。
そんなことを思っていると携帯が震えた。
噂をすればなんとやら、ジンヒョンからだ。
「…はい。」
「ユンギ楽しんでる〜?」
「…要件はなんですか。」
「もー!可愛くない!!
せっかくナイスアシストしてあげたのに!!」
ジンヒョン?と口パクで聞いてくるテヒョンに頷くと、もしもし!?と騒がしい声が聞こえてくる。
「…なんですか。」
「ちょっとテヒョンに変わって!!」
「なんでですか。」
「ユンギが可愛くないから!!」
「…はあ?」
「いいから変わって!!」
携帯を耳元から離してテヒョンの方に差し出す。
「テヒョンア。
なんかジンヒョンがお前に変われって。」
「え?なんだろ。」
余計なこと言わないだろうなあの肩幅ヒョン。
じぃっとテヒョンの様子を見つめていると、ちらりとこちらを見たテヒョン。俺が見てるとは思っていなかったのか、視線が交わると慌てて逸らして電話口でボソボソと何かを話している。
なんだ、今の。
不思議に思いながらぼうっと辺りを見渡していると、目の前に携帯が差し出される。
「終わったのか?」
「うん。」
「なんか、顔赤くねえ?」
「!!気の所為だよ!」
ほら、行こ?と手を引かれる。
繋がれた手を見ながら付いていくと、あ、そういえば、と振り向いたテヒョン。
「あ、ご、ごめんなさい。」
俺が嫌がっているとでも思ったのか、離そうとする手をぎゅうと握る。
「俺は別にいいけど?」
「〜っ!」
「で?何?」
「あ、うん。
ジンヒョンが後1時間はかかるからゆっくり買い物してきて良いよって。」
「そっか。なんか見てえのある?」
「んー、」
テヒョンが場所を考えている間、俺はこいつに今日告白するかを悩んでいた。ジンヒョンが言っていたアシストとはそういう意味だろう。でももし、振られたら俺は…「決めた!」
「ん、どこ?」
「ふふ、内緒〜!」
そう言って歩き出したテヒョン。
まあ、着いたらわかるかと、特に何も触れずたわいもない話をしながら付いていくと、見覚えのあるカフェに着いた。
「…ここ。」
「ふふ、ヒョンも覚えてるの?」
「…初めて2人で来たカフェだろ。」
「えへへ、そうだよ。」
ああ、もう。
これ以上俺を好きにさせてどうする気だよこいつ。もう、振られてもいいや、ここで思いを伝えよう。そう思った。
「…入るか?」
「うん!」
席に着いて飲み物を頼み待っていると、ヒョンはさ、テヒョンが口を開いた。
「うん?」
「好きな人とか、いる?」
「…え。」
まさかテヒョンからそんなことを言われるとは思わず、固まったままテヒョンを見つめる。そんな俺を真剣な顔をして見てくるから、俺も真剣な顔をしているよ。と答える。
「そ、そうだよ「目の前に。」……え?」
今度はテヒョンが固まったまま俺を見つめる。
丁度そのタイミングで飲み物が運ばれてきて、お礼を言いながら受け取る。
「ヒョン、今、なんて?」
「お前のことが好きだって言ってんの。」
「…本当、に?」
「ふは、本当に。…で、返事は?」
溢れそうな涙を目に溜めているテヒョンに手を伸ばすと同時に、返ってきた返事に口角が上がる。
「俺も、ヒョンが好き、」
********
「ただいま〜!」
「ただいま。」
2人で手を繋ぎながら宿舎のリビングのドアをあける。丁度準備も終わりかけみたいで、全員揃っておかえり〜と出迎えてくれた。
「ふふ、上手くいったみたいだね。」
繋がれている手を見て嬉しそうにそういったジンヒョンに、お陰様で。と返す。
「良かったなテヒョンア。」
テヒョンはジミンに相談をしていたのか、ポンポンと頭を撫でられている。気に食わないけど、今日だけは許してやろうと思っていると、「ヒョン顔ww」と笑われたのでこいつのケーキはなしに、って、あ、やばい。
「すまん、ケーキ忘れた。」
「「「「「え?」」」」」
「もうなしでいい「ダメです。」」
「はあ、なんでまた外に出なきゃいけねんだよ。」
「あはは、あいつ変なとここだわりあるからね。」
結局何言ってもダメの一点張りのジョングクに負けて、再び買い出しに行かされた俺とテヒョン。
「それならあいつが行けばいいのに、」
「ふふふ、でも、」
「…ん?」
そう言いかけて携帯を見ながら固まったテヒョン。なんだ?一緒に携帯を覗き込むと、丁度日付が変わった。
「おめでとう、ヒョン。」
「ありがと。」
「ふふ、あいつのお陰で1番にヒョンのお祝い出来たから、俺は感謝しなくちゃ。」
「あー…、それじゃ俺も怒れねえじゃんか。」
なんて言いながら、あいつの好きなケーキでも買ってやるかなんて考え始めている自分がいた。
HappyBirthDayユンギさん!!
fin.