薬毒同源
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首輪
「……ん…」
何かが頭上に当たり、目を覚ますとまだ私は傀儡の中だった。胎児のように膝を抱えながら狭い傀儡の中に丸まり、うっすらではあるが光が差し込み移動のペースと一緒に光が動いていくのをぼんやりと眺めた。傀儡の中に入ってからどれくらいの時間が経ったのか…光が差しているから昼まであるのは分かるが、それが数時間なのか数十時間なのかまでは意識を失ってしまったので分からない。
殺されるのを恐れで簡単に捕らえられてしまったが抵抗したって元忍びには殺されるのが関の山だ。元暗部と言っても第三次忍界対戦終結後の毒使いが必要だっただけの数合わせでしかない。濡れ衣で罪人として里を抜けるなど思いもしなかったがサソリに捕えられる前までは本当にこれで良かったと思っていた。薬屋で生計を立て里から抜けても生きていけそうな見込みがあったからだ。人を殺めるのではなく、助ける事が出来るなら何よりだったはずなのに、私が開発した物はどれも兵器として使われる方が多かった。そして、…今こうして捕まっている。
サソリはリリーを傀儡の中へ入れる際に印を結ばないように手足を縛り、ご丁寧に猿轡まで付けると腕に注射を刺した。手足の痺れが薬なのか縛られたからなのか分からずにいると、傀儡の動きが止まる。先程からずっと水が流れる音が聞こえていたのでアジトは川沿いにある事だけは耳で確認が取れた。岩が大きく揺れる音が地を這って響くと傀儡はまた動き出した。
傀儡から解放されたのはそれから間もなく、篭った生暖かい空気から冷たい空気が入り込んだ。ヒルコの背中が開いたがリリーは身体が麻痺し起き上がることも出来ない。その様子を覗き込むように見ていたサソリは普通の忍服ではなく黒い衣に赤い雲模様が入った外套に身を包んでいた。特徴的なサソリの赤い髪や人形の様な綺麗な長いまつ毛が目に入る。背後には壁に掛けられた傀儡が何体か掛けられ、部屋は薄暗く壁は石造りで洞窟を改装したようなドーム型の造りになっていた。サソリは腕を伸ばしリリーを抱えると開けた台に乗せ、身体を縛っていたロープを解くと首元辺りを触りながら顔色を見た。その近くにはいくつもの医療器具や大きな刃渡りの刃物が並び、どれも切れ味の良さそうなものばかりで肝が冷える。
『やはり起きていたか』
サソリはリリーの右腕の服を捲ると液体を染み込ませた布で拭き取りチューブの繋がった針を腕に刺した。得体の知れない液体の入った袋を吊り下げると今度は慣れた手つきでリリーの服に手をかけ腹部から捲りあげると手を潜り込ませ下着のホックを外し何かコードが繋がった粘着力のある少しひんやりとしたテープをいくつか胸囲周辺に取り付けた。抵抗できるはずもないがサソリはただの作業出しかなくリリーの胸が露になろうが無表情だったが、嫌そうな表情を見ると冷たい手を腹部から胸の膨らみを手の甲で円を描くようにゆっくりと撫でた。
「んー…っ…」
『だいたいここに連れてこられた奴は内臓を掻き出され綺麗に処理された後俺の傀儡になる。…まあ物によって人工物との割合も違う…背後に掛けてある傀儡も元は人間だった』
淡々とそう話すサソリの指差す方向に先程見た傀儡があった。元人間だと聞くと余計不気味さを感じる。どれもこうべを垂れてるが真夜中にひっそり動き出しそうなおどろおどろしい雰囲気だった。
『全て此処で傀儡にされたものばかりだ…そこで今お前が横たわってる所でな』
わざわざ説明しなくても良いのに悪趣味な奴だと思った。ここで血を抜かれ内臓を掻き出されたような嫌な想像ばかり浮かんでしまう。リリーはただ楽しそうに話すサソリから目を逸らすことしか出来なかった。
『後の傀儡の様にまではしないが逃げられちゃ困るからな…お前に特別な首輪をやる』
サソリはリリーの身体をロープで縛り付けると指を胸から首の後ろへと滑らせると何かが突き刺された。同時にそこから熱く皮膚を焦がすような焼け付くような痛みが襲い、身体が無意識に波打った。身体が縛りつけられているとはいえ痛みで暴れ、周辺の器具が散乱した。口の中にある猿轡が歯と共に軋む
「っ…んんーーーんんー!!!」
『元暁に呪印の詳しい奴が居てな…』
リリーがのたうち回ろうとサソリは呪印をかけている手を止めることなく暴れる身体をさらに押さえ込んだ。ドクドクと心臓が高鳴り頭の中で大きく爆発寸前の悲鳴の様に鳴り響いた。
『これだけで死んじまう奴も居るが…お前はどうだかな…』
その耐えられない痛みと同時に何か自分のチャクラとは違う何かが流し込まれた様な感覚にチャクラが乱れてしまう。どうにか正常にしようにもまず意識が保てるか保てないか…視界がチカチカ眩む中、サソリは嬉しそうに笑っていた。
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